Posts Tagged ‘民主化’

中国は変って良いんです。

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中国へ民主化を強要する事は得策ではないと、以前から述べて来ましたが、そういう意見をブログで発信しているのは私だけではないと知り、ちょっと嬉しい気分になりました。

中国は民主化できるか?

ある国の文化を他国へ強制的に押し付けるのは文化的侵略であると書きました。人権という概念は欧米文化に属するものであり、まったく同じ概念に基づくルールを、多様な文化を持つ世界中へ、十分な文化的融合期間を設けずに押し付ける事は、文化的侵略に等しい行為ではないかと思っています。ある民族が固有の文化を持ち、他国からの文化的概念を導入した場合には、それが固有の文化に適合するように「カスタマイズ」される事は許されるべきです。

世界に目を向けると、欧米の価値観に照らして、より非人権的な慣習を保持し続けている国は沢山あります。イスラム圏です。イスラムの「非人権」的な慣習やルールのほとんどは、宗教(=文化)と密接に関連しています。彼らの価値観は、それが非人権的だと判断しないでしょう。彼らが自ら望むようになるまで、人権という価値観を外から無理やり押し付ける事に正当性はあるのでしょうか。

イスラム圏に較べれば、中国の人権問題の解決はより容易に見えます。共産党と名前は付いていても、現代の中国に共産主義の理念を心から「信じている」共産党員なんてどこに居るのでしょう?共産党は今や、政治的なエリートである為の閉鎖的な会員制クラブとして機能しており、共産党員が信奉する理念は「資本主義」です。

共産党政府が人権的な法的規制を緩めない理由は、ただただ政権維持の為の「道具」としての治安維持手段を手放したくないだけです。手放したくない理由は、むりやり糊付けした他民族国家と、高度成長に乗り遅れた人々の不満により、社会の屋台骨が脆弱であるからです。政府の最優先事項は社会の治安維持です。

欧米先進国が、政治的な道具として人権問題を振りかざすのではなく、真面目に中国の国民の為に民主化を支援する気持ちがあるのなら、やるべき事は、中国の資本主義の発展を支援し続ける事です。国土の隅々まで、資本主義の恩恵が染み渡り、社会が自ら安定するようになれば、治安維持の為の「道具」を持ち続ける必然性は消失し、共産党政府は国民の人権をより尊重するようになるでしょう。


Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2011/09/04 at 21:47

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags: , , ,

民主化問題をこう考える

中国の人権問題について、チベットや内モンゴル等についてどう考えているのか、という宿題をap_09さんより頂いておりました。チベット問題に続き、今回は民主化活動に対する抑圧を「ネタ」として考察します。

この話題の代表選手といえば、獄中でノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏、昨年のノーベル平和賞候補者であった胡佳氏、成田空港で篭城した馮正虎氏がすぐに思い出されます。これら民主活動家の人たちの共通項目は、天安門事件に参加した事を隠そうとしなかったり、民主化問題で中国政府への批判を繰り返した人たちと思われます。

日本や米国や私の居住する香港特別行政区では、人民が政府の、特に民主化政策を公然と批判する事は、それぞれの国内法に違反しません。故に、それらの国では、政府を公然と批判する事で政府から酷い目に会う事は、少なくとも表面的にはない筈です。しかしながら中国では、社会を不安や混乱に陥れる可能性があるような政府批判は、「社会の治安を乱す」為に法律違反となるようです。故にそのような民主活動家は、政府によって強制的に「口を塞ぐ」処理がとられるようです。口を塞ぐといっても、昔の南米のように、政府の暗殺部隊の標的にされるほど酷い訳ではありません。更生施設へ送られて「従順さ」を身に付けさせられるか、スーチーさんのような自宅軟禁になるか、刑務所に入るか、この3つの道があるようです。

さて、政府の民主化政策を公然と批判する事が、どうして「社会の治安を乱す」事になるのか、あるいは国家政権転覆扇動罪のような罪状で投獄されるのでしょう。安全で平穏な日本に住んでいる我々には想像もできない事かもしれませんが、他民族国家であり、13億人の人民の多くがまだ貧困から抜け出せていない中国は、社会的に不安定な状態がずっと続いています。チベットなどの民族問題、改革解放後にはじまった経済格差問題、なくならない地方政府の腐敗問題、軍閥問題などが縦・横・斜めから複雑に入り組んでおり、中国は見た目ほど「一体」ではありません。そこで、不安定な社会的バランスを意図的に崩そうとする勢力の代表選手である民主活動家は、たとえ少数でも感染性の強いウイルス病原体のように、中国政府から忌み嫌われていると考えられます。

ところで中国政府は社会の民主化をどのように考えているのでしょう。これは私の推測ですが、中国政府は経済システムとしての資本主義を社会に導入し、経済の発展の道具にしました。しかしながら、社会の民主化を積極的に行う事を目標にした事は一度も無いと考えます。なにしろ指導者層はみんな、エリート共産党員であり、バリバリの社会主義者である筈ですから。

しかしながら資本主義と民主主義は表裏一体ですから、資本主義が浸透すると、民主的な社会システムも同時に広がりました。資本主義制度によって人民の生活が豊かになった地域(特に沿岸地方)では、人民の民主化要求圧力は高まりました。この圧力を封じ込めたままで資本主義的経済発展は困難です。

経済発展を最優先目的の一つとする中央政府指導部では、経済発展と民主化意識向上の因果関係を、ある時点で理解したと考えます。内部でいろいろ検討を重ねた上で、社会の民主化圧力の段階的開放を「必要悪」として受け入れた筈です。ニュースや出版物の表現の自由、インターネット検閲などを比較すれば、30年前・10年前・5年前・現在で、平時の政府検閲レベルは明らかに違う(だんだん緩くなっている)事が見て取れると思います。これが中国における、結果としての民主化の進行状況です。

今後も中国政府(指導者)は、社会的安定の度合いと経済発展のレベルに応じて、人民が求める民主化圧力を段階的に認め、社会制度を更新して行くと考えます。必要悪とはいえ、それを認めなければ資本主義的発展が安定しないからです。このような理解の上に立ち、中国の経済発展が民主化レベルを今後も継続的に向上させるという事を述べました。

最後になりますが、人権という思想は、私にとって多くのメリットを与えてくれる便利なものと理解ており、これを否定するつもりはありません。しかしながら人権とは、資本主義や民主主義と同様に西欧文化の産物であって、世界共通・時間軸を超えて共通の絶対的な権利だとも考えていません。20世紀から21世紀にかけて、他にもっと良い社会システムや思想がないので、取り得る最善のものとして資本主義、民主主義、基本的人権などのスキームを採用しているに過ぎないと考えます。

要するに、「人は生まれながらに基本的人権を持っている」というのは実際にはフィクションです。日本の江戸時代は、人権という思想がなくても、それなりに人道的な政治を行った時期もありました。つまり人権思想がなければ常に非人道的国家になるという事ではありません。故に今の中国が、仮に日本の人権レベルに遠く及ばないとしても、それを理由に中国を「野蛮人」と批判する事は合理的と言えないと考えます。

追記:
こんな記事を書いていたら、私も有る日、中国で入国拒否される事になるのだろうか。そうなると、お客と共同経営者に迷惑をかけそうだ。

参考:
1)民主主義は魔法の杖か

8 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2010/10/29 at 20:13

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中国のジレンマ:治安が先か人権が先か

言語空間+備忘録のmemo26さんから、ノーベル平和賞と、中国の立場で、中国で服役中の民主活動家である劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞した事を伝えています。中国政府は自国の民主活動家に対してノーベル賞を与える事を、強い「内政干渉」と受け取り、かなりムカついているものと思われます。

現在の状況を知らない人は驚くかもしれませんが、私がはじめて羅湖の国境を越えて広東省の地を踏んだ1989年とくらべて、いまの中国は驚くほど民主化されています。結果として民主化の引き金を引いたのは鄧小平の改革開放政策です。資本主義を導入して経済を豊かにしようとした訳ですが、資本主義と民主主義は表裏一体の関係にあるようで、経済発展と共に、民主的な制度への転換が進みました。いまの中国は、共産党の存在感がどんどん薄まり、国家資本主義としての政策が前面に押し出ているように感じています。

しかしながら中国は大変広い国で、その中には多数の少数民族が居住しており、沿岸部と内陸部で経済格差が大きく、様々な社会問題を抱えています。その代表例が、少数民族による分離独立運動(西蔵自治区(チベット)、新疆ウイグル自治区内モンゴル自治区など)です。あまり報道されませんが、少数民族による列車や飛行機の爆弾テロ、あるいは暴動がしばしば発生しています。

経済格差問題も深刻化しています。富める沿岸部と、貧しい内陸部というのはよく聞く話しです。地方政府の役人の腐敗もまだ残っています。最近は他に、土地再開発で耕作農地を失った小作農民による暴動騒ぎも聞こえてきます。更に、そういう人たちが最終的に都市部に流入して欲求不満な貧困層を形成し、いつでも暴発しそうな状況があります。経済が発展した結果、国家が崩壊する事は望みません。

いまの中国政府が最も恐れているのは、民族問題・経済格差問題・宗教問題などで、治安が崩壊して国家が分裂する事ではないかと考えています。ゆえに、社会を混乱させる問題を未然に防ぐ事に非常なエネルギーを注いでいるようです。たとえば情報統制(メディアの統制、インターネットのアクセス制限)、民主化運動の抑圧、公的機関による監視(身分証番号による追跡、インターネット情報の監視)などです。

では、このような事はいつまで続くのかといえば、中国内陸部まで一定レベルまで経済発展し、平均所得が欧米並みに向上し、社会弱者が十分に少なくなれば、いま抱えている社会的問題は自然消滅するでしょう。そうなれば、中国も日本なみ(欧米並みじゃなくて)に人権が擁護される国になると考えます。(欧米人と東洋人は根本的なところの価値観に違いがあると感じるので、民主化が進んでも、人権の捉え方は多少異なるでしょう。それは日本の検察をみれば明らかですね。)

つまり中国にとって人権は、社会が到達する目的ではなく、経済発展によって得られる報酬と考えられます。ゆえに欧米社会は、人権問題ゆえに対中経済制裁を課すなどというのは本末転倒です。中国の人権問題を解決したければ、1年でも早く、中国全体が経済発展するように経済支援を続けるべきです。

中国人民を豊かにする事は、中国の軍事リスクを減じる事でもあります。現在の人民解放軍は、貧困家庭の若者の雇用バッファーとしての役割が非常に大きいのです。日本のように豊かになれば、高校を卒業して軍隊に就職しようという若者はほとんどいなくなります。また、豊かになる事で、戦争してまで自国領土を広げたいと考える人も減り、社会的なエネルギーも総じて減少するでしょう。高度成長期が終わって、ひ弱な若者が増大した日本と同じようにです。

対決するだけが解決策ではありません。国家間の問題は、手段よりも結果が大事なのです。

21 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2010/10/09 at 11:13

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