イルカ漁は正しいか?
イルカ漁(あるいはクジラ漁)を否定する人たちがいます。かわいそうだから止めようというのは論外なので無視しますが、知能の高い動物を殺して食べてはいけないという考え方については、良く考えてみる必要がありますね。貴方はどちら派ですか。
イルカ漁やクジラ漁について、いろいろな観点から考えて見ましょう。
Edinblog on Sundayさんのブログで、イルカ漁についての記事にコメントしようとしたら、文字数制限を超えてしまったので、こちらで記事をつくって、TBさせて頂きました。
■食料としての観点から:
鯨は美味しいし、子供の頃から食べています。アイヌと同じかどうかはわかりませんが、私はクジラを食べる文化の中で育ちました。ですので、文化的食料観から言うと、鯨漁は継続(というか拡大)してほしい。今も、日本の某所にある田舎に帰省すると、鯨の刺身をスーパーから買ってきて毎晩のように食べます。ちょっと癖のある香りと味ですが、食べ慣れると病み付きになります。地酒のにごりに良く合います。
ちなみにですが、田舎の母(今年72歳)に電話で聞いたところ、昔の鯨肉のほうが明らかに美味かったそうです。鯨のなかでも美味しい種類のを、たくさん獲る事ができたんですね。
イルカも食べた事があります。きちんと血抜きしていなかったからかもしれませんし、家庭で母が調理したので味付けが悪かったのかもしれませんが、大変癖のある匂いと味で、もう一度食べたくなるようなものではありませんでした。故に、わざわざたくさんのイルカを一度に屠るイルカ漁を存続させる必要があるとは(個人的には)思いません。
たぶんイルカ漁の継続には別の意味(漁師が獲る魚と、イルカが食べる魚が同じなので、漁場において漁師とイルカは競合関係)があるのではないでしょうか。
■美しい動物の希少価値という観点から:
私は鯨の刺身や鯨カツが好きですが、すべての種類の鯨を食べたいという事ではありません。もちろん、より美味しい鯨を食べたいのですが、妥協することもできます。たとえば、世界最大の動物といわれるシロナガスクジラは美しい生き物であるので保護しましょうという事を多くの人が認めれば、それを追認するにやぶさかではありません。
■イルカや鯨は知能が高いのか?
イルカや鯨、類人猿、犬は、地球上で人間に次いで知能が高いと言われています。といっても、これらのどれも、種全体の知能が高い訳ではないでしょう。犬を飼っている人なら、どんな種類が知能が高いか分かると思います。イルカでも鯨でも同様です。知能が高い動物として良く知られているのは、バンドウイルカやチンパンジーです。どの種類の知能が高いかを特定してから、議論を始めるべきだと思います。
(詳しいサイトを参照する場合はここをクリック)
■知能と倫理的観点
動物の知能の高低と、漁の良し悪しを考えてみます。知能が低くて食料として適している動物の漁については、無視して、知能が明らかに高いと証明された、特定の種類の動物を、殺して食べるべきかどうかという事に絞り込みましょう。
ところで、これは非常に微妙な問題なので、まずは極端な例(非日常的な例)を使って考えて見ましょう。
SF映画に宇宙人とのファーストコンタクトものがあります。そこには、2通りの宇宙人が頻繁に登場します。良い宇宙人(地球人と平和な関係を結ぶ)と悪い宇宙人(地球を侵略して人間を虐殺する)です。
だれでも知っているところで、H.G.ウェルズの火星人来襲という小説(映画)があります。ここでは、大きな蛸のような火星人(人類とは異なる異種の知性体)が地球を侵略して、人間をたくさん殺します。
このとき、火星人は良い宇宙人でしょうか?悪い宇宙人でしょうか?
もし投票すれば、多数の人が「悪い宇宙人」の方へ一票を入れてくれるでしょう。
これは、非常に分かりやすい考え方だと思います。
ところで、良い宇宙人、悪い宇宙人という価値判断は、どんな倫理観から来るのでしょうか?
もし、未来の地球人が傲慢かつ貪欲で、他所の星へ行って、そこの星で知能を持つ種族(それがたとえ地球の縄文人以下であったとしても)を侵略して、虐殺したとしましょう。そうすると、その星や、他の星の(平和共存を望む)種族の目から見て、地球人は悪い宇宙人という事になるでしょう。
相手が地球人である・ないという区別(星の垣根)を超えて、自分がしてほしくない事は、相手にもしてはいけないという倫理観を、相手の宇宙人にも適用しようというのが、この倫理観の考え方なのではないでしょうか。
さて、荒唐無稽な話しから、現実の世界に目を向けましょう。上記のような倫理観を、そのまま地球のなかの別の種の動物へとあてはめれば、最初の問題が見えてくるように思います。
相手が人間である・ないという区別(種の垣根)を超えて、自分がしてほしくない事は、相手の動物にもしてはいけないという倫理観を、動物世界全体に適用しようとしているのが、イルカ、鯨、類人猿に対する考え方だと(自分では)思っています。
しかし、この倫理観をそのままストレートに適用すると、ほとんどすべての肉や魚が食べられなくなってしまいます。生きてゆく為には、肉も魚も食べなければなりません。人間の種としての生存を守るために、この倫理観になんらかの制限を設ける(妥協する)必要があります。
その条件というのが、相手の動物の知能ではないかと思うのです。
相手の種(種類)が、遠い将来に、人間のパートナーに成り得るような潜在的な可能性(人類に準じる高い知能)を持つかどうかを、その動物(の種類)を食べてよいかどうかを判断する為の判断条件(妥協点)にしているのだと考えます。
結論として、あなたがこのような価値観を持ち得る方であれば、知能が高いと科学的に認められた種類の動物を否定し、自らもそのような動物の肉を食べない為の合理的な理由を持っていると言えるのではないでしょうか。
しかしながら、このような倫理観は一般的ではありません。現在の倫理観は基本的に、人間を頂点に作られています。宗教が示す倫理観(たとえば他の生き物への慈悲)も、この考え方とは異なると思います。相手の生き物を平等として認める考え方は、いまの我々には異質な考え方でしょう。
人間が人間へ適用させている倫理観を、他の種族へ適用させるかどうかは、長い時間と、多くの人の理解(文化的に大きな進歩?)が必要となるのではないでしょうか。
■私の結論:
とりあえず知能がかなり高いと認定された特定の種類の動物は食料の対象から外して、それ以外の種類のクジラや、(食べたい人が居れば)イルカ・犬・猿などを食べるようにするというのが、将来に(末裔が)後悔するリスクが少ない、現時点での妥当な結論ではないでしょうか。
つまり、バンドウイルカとチンパンジーを殺す・食べるのは止めたほうが良いかもしれませんね。
自然の摂理に適っているかどうかが重要で、自然の摂理に反する事は近い将来人類を滅亡に導きます。
①人間が他の動物を獲って食べるのは自然の摂理に適っています。
人間以外の、生き物対生き物でも同じです。
②スポーツのために狩する事は自然の摂理に反します。キャッチ&リリースは虐待です。
まず、イルカ漁を”正しい”か”誤り”かで判断するのは危険、と言うより第三者の傲慢です。
イルカは漁をする方にとっては害獣という見方もあるそうです。
定置網の魚を食い荒らします。イルカは一頭で一日に9〜13kgほど食べるそうです。
イルカは群れをなしていることが多い生き物なので、一度群れに食い荒らされれば被害額は相当なものでしょう。
鯨・イルカの声や世界の憐憫の声だけでなく、漁をなさっている方の声にも耳を傾けるべきではありませんか。
漁=悪・誤りだと決めつけてしまうのは浅慮です。
哀れに思う感情と多数の人間が共存する上での制約である倫理・道徳は違います。
倫理は「人として守り行うべき道」「善悪・正邪の判断基準」です。
知能が高いから殺すべきではなく、知能が低いから殺しても構わない、というのは倫理にもとる行い・思想です。
知能が高いと科学的に証明されている生き物を食べたり殺したりしてはならないのなら、
知能だけを見れば豚は犬にも匹敵することが科学的に証明されている賢い生き物なので食べてはならないという事になります。
鯨を殺すのは聞くのも嫌だが豚を殺すのは何とも思わないというのは最早、イメージによる偏見です。
何より生物の知能に優劣はつけられません。
適応すべき環境によって知能は多様ですから、種類ごとに測定方法が異なるので単純に比較できません。
世界のあらゆる所で生態系のバランスが崩れつつあります。海洋生態系も例外ではありません。大量捕獲を繰り返していると、イルカがいずれは太地町から姿を消すのも時間の問題ではないかと懸念します。イルカがいなくなれば漁だけでなく観光にも影響が及び町の経済に大きな打撃を与えるのではないでしょうか。目先の利益の為に、取り返しのつかない様な過ちを犯しているように思えます。
どうもこの問題は一般的に、イルカ=癒し系・かわいい=殺すのは野蛮、という見た目からの図式でしか語られていないと感じます。
猿の脳を食べる文化もあります。知能で考えればそちらの方が余程野蛮ですよね。
しかし地元住民がイルカ漁で得ている収入を誰が保証するのですか?アカデミーを受賞した監督は、興行収入を彼らに与えるのか?
反対するのであればそこに生活がある方への配慮を行う必要はあると思います。感情だけで論ずる問題でないと考えます。
Hiroさん、仰る通りと思います。イルカ漁には、「価値観」と「経済合理性」の2つの問題が含まれており、この2つは相互に関連しているので、議論する相手の真意がどこにあるのかを見抜く事ができないと、不毛な議論になってしまうと思われます。
価値観は人により異なりますし、国や民族により価値観の傾向も異なります。イルカを食べる漁師の漁村では、イルカ漁を止めさせるなら、欧米人も羊を食べるのは止めろ、という意見は「正しい」事が考えられます。キリスト教文化圏では、羊は神から与えられた食物ですから、イルカと羊を同列で語る事は理解不能かもしれません。
経済合理性は、金銭で定量的に計測できるのである意味で世界共通です。もしイルカ漁の目的が、イルカを食べる事ではなくて、イルカが餌とする魚(アジやカンパチ)の漁獲高の減少を防ぐであれば、イルカによる漁獲高の減少を欧米の環境保護団体が金銭補填して、漁師によるイルカ漁を止めさせるような方法は双方にとって合理的かもしれません。
すいません、見当違いの横レスです。
知能ウンヌンより、あまり食べ慣れていない動物を食べると、新種のヘンな病気に罹るんじゃないかと、それが心配。
SARSも中国人の好奇心旺盛な食欲が、新手の野生動物を食べたところから始ったのでは。
狂牛病も、草食性の牛の飼料にに羊を混ぜたことから始ったことです。サルとか、哺乳類の脳は食べない方がいいですよ。脳の病気に罹るのはイヤなものです。野生のサルは食べなくても、エイズとかデボラ熱とか、アフリカの野生のサルと人間との接触から始ったのでは。
鯨でもイルカでも伝統的に食べ継がれてる動物はその点安全ですよね。
>鯨でもイルカでも伝統的に食べ継がれてる動物はその点安全ですよね。
仰る通りです。ただ、鯨は旨いので日本に帰るといつも食べますが、イルカは不味いので、一度しか食べた事がありません。美味しく食べられる方法があれば、ぜひ普及させてほしいです。