サンプロ 加藤vs竹中戦観戦記
今朝のサンデープロジェクトで、小泉政権時代の問題点を非難する加藤氏と、それに反論する竹中氏のバトルを観戦しました。加藤氏の論点は、大衆の直感的な感情を代弁していてなかなか分かり易いと思いました。論点を整理するとこんな感じでしょうか。
1)非正規労働者を増やした。
2)輸出依存度を高めた。
3)自殺者を増やした。
4)ゼロ金利で家計の金利収入を奪った。
番組説明(*1)では、加藤氏を永田町で「屈指の論客」と紹介していますが、自分の意見を「お茶の間の視聴者」へ分かり易く伝え、相手の論理的な反論には情緒的な詭弁で巧みに争点をずらし、なおかつ相手の反論中に意図的に割って入って反論の邪魔までする戦術。さらに「虐げられた大衆の見方」という姿勢、熱意に溢れた表情や話術で「正義の味方」ぶる態度はなかなかのものだと思います。
それに対する竹中氏の反論も、論理的で、短くまとまっていてわかり易かったと思います。小泉政権で政治家を経験したからでしょうが、加藤氏の老獪な詭弁戦術に対しても、かなり落ち着いて対応していました。ところで竹中氏の反論は、池田氏のブログを読んでいる人なら難しくない内容だったと思いますが、「お茶の間の視聴者」にどれだけ理解できたのかが疑問です。せっかく正しい事を言っても、理解されなければ意味がありません。竹中氏の説明は言葉でなはなく、図解で直感的に分かり易く説明した方が良かったのではないでしょうか。
バトルの結末ですが、議論としては竹中氏が加藤氏を理論的に論破していました。しかし議論の雰囲気としては、時間切れ引き分けと見る視聴者は多いのではないでしょうか。たっぷり時間があれば、知識が不足し、理論も破綻している加藤氏が不利だと思いますので、テレ朝はぜひとも朝ナマでバトルの続きを企画してほしいものです。
(*1)
「自民党の加藤紘一元幹事長が、「劇場政治の誤算」という本を書き、かつての盟友小泉元総理大臣と竹中元大臣の構造改革を批判している。小泉・竹中構造改革を「新自由主義に基づいた規制緩和は非人道的な許しがたい失政」と断じて、「倫理観や良心を新自由主義はバッサリ捨てた」とするまた、経済政策は「極端な外需依存」になったため、日本経済がこんなに傷ついたと指摘し、「改革」の名の下に企業は空前の利益を上げながら、「景気好調の波が個人にはなく、痛みばかり増し続けた」と糾弾している。いったい「小泉・竹中」構造改革は、失政だったのか?永田町で「屈指の論客」とされている、加藤元幹事長と竹中元大臣が、田原総一朗の司会でガチンコ討論する!」
私も竹中平蔵氏と加藤紘一氏の討論を興味深く見ました。
その中で竹中氏が「失われた10(数)年を招来した政権中枢に加藤氏は深く関与していた。その失態を招いた責任をどう考えているか?」と質問しましたが、加藤氏はそれに答えていませんでしたね。
細川非自民連立政権の崩壊から、自民連立政権そして小泉政権の成立まで政府に大きな影響を与えてきた加藤氏には是非答えて頂きたい質問でした。
それにしても、新・報道2001ではクルーグマン氏と与謝野氏の対談を行っていましたが、ここでは「ビンを埋めて再び掘り起こせ!」と話していましたので、竹中氏の話から見た人々は益を得たのではないかと思います。
しかし、加藤氏も竹中氏もこれまでメディアを通して話されてきたことの繰り返しのようで新味がなかったことが残念です。
番組は見てませんが…
加藤は山形の自宅に放火された、という日本人の感情論からすると「同情すべき」点がある。
これは論理性とは関係なく、視聴者に訴える点があるのでしょう。メディアはそこをうまく使っていると思います。
「加藤の乱」の不首尾で、彼は政治家としては終わった人物のはずなのですが、大衆扇動にはまだ使えるということなのでしょう。
どうでもいいことですが、20年近く前、まだ加藤が政治的に力があった頃、彼の政治団体の機関誌に知り合いから頼まれて一度都市論を寄稿したことがあります。これは自慢ではありません。逆に私の人生における「汚点」です。あの時点で、彼が今日のようなグダグダのリベラルもどきになることが予想できていたら、寄稿は拒否していたと思います。
ひろ”ゆ”きさん、フロレスタンさん
コメント有難うございます。テレビで経済問題を理論を使って、論敵やお茶の間(含サラリーマン)に説明するのはなかなか難しいようですね。年初に池田氏が雇用問題でテレビ出演した時にも感じました。素人にも直感的で分かり易い絵を、院生やアシスタントを使って作成しておくべきではないかと思います。大学院の授業や、次に出す本にも使い回しできるはずですし。
素人にわかりやすい絵を、というのは一般論としては賛成できます。
ただし、地球温暖化問題でのホッケースティック曲線のような例もあるので、やはりメディアリテラシーは重要ですね。
>竹中氏が「失われた10(数)年を招来した政権中枢に加藤氏は深く関与していた。その失態を招いた責任をどう考えているか?」と質問しましたが、加藤氏はそれに答えていませんでしたね。
冒頭、いきなり竹中氏から放たれた致命的な議論を、顔色ひとつ変えずに、議論のすり替えで対応するあたり、加藤氏も大したものだと関心しました。
番組の中で田原氏が自由民主党が、他国の保守政党とは趣を異とするユニークな政党である、と述べていました。
他国の保守政党が国民に自助努力を求めるに対して、自民党は保護を行ってきました。
これは保守主義と言うよりは社民主義です。
加藤氏は盛んに、竹中氏に新自由主義とレッテル張りを行っていましたが、彼は家父長的に振舞う社民主義者のようです。
自由民主党は加藤氏(国民の保護者を振舞う社民主義者)から竹中氏(市民が自立・自律した行動を取ることを求める立場)まで内包する政党である、と言う事です。
この二人の対立軸は同じ政党内では解かり難い。
むしろ政界再編を行って、保守主義vs社民主義で選挙を戦ってくれたほうが日本のためになりますね。
>>竹中氏が「失われた10(数)年を招来した政権中枢に加藤氏は深く関与していた。その失態を招いた責任をどう考えているか?」と質問しましたが、加藤氏はそれに答えていませんでしたね。
>冒頭、いきなり竹中氏から放たれた致命的な議論を、顔色ひとつ変えずに、議論のすり替えで対応するあたり、加藤氏も大したものだと関心しました。
竹中氏はそのことをもっと掘り下げるべきだったと思います。
10数年前に加藤氏らが失敗した政策を、今麻生氏が懲りずに行っています。
中央官僚が全国一律的で社民主義的な経済運営を行う、と言うよりは、むしろ確実に厚みを増している市民社会の自助能力を活用して日本を構造改革すべきです。
竹中氏はその一点で話してくれていれば今回の対談が判り易かったように思えます。
>むしろ政界再編を行って、保守主義vs社民主義で選挙を戦ってくれたほうが日本のためになりますね。
私はいまでも個人的に、小泉元首相が自民党と民主党を壊して、改革派の議員を引き連れて新党を立ち上げてくれないかと、夢のような愚かな期待をしています。
>私はいまでも個人的に、小泉元首相が自民党と民主党を壊して、改革派の議員を引き連れて新党を立ち上げてくれないかと、夢のような愚かな期待をしています。
私は愚かとは思いませんね。
次回総選挙で政権交代が起こり、来年夏の参議院選挙でその流れが確固としたものとなり、次々回の総選挙が岡田克也氏のような”原理主義者”が一方の旗頭となって私たちの支持を迫るようになると思っています。
政界再編による真の保守主義政党とこれに対抗するリベラルな政党という対立軸は私も随分前から望んでいますし、知り合いの民主党関係者(保守主義の人です)にも、早く政界再編してほしいと要望しています(^_^;)。
心ある日本の有権者の多くはそう思っているのではないでしょうか。
数度しか違わない生温いコーヒーを2杯出されて、どちらを飲むかと言われているようなのが現状です。それよりは熱々の入れ立てホットコーヒーとアイスコーヒーを並べて出してもらいたいものです。
自民党と民主党を一度壊して、思想信条によって所属政党がきちんと整理されれば、日本の政治もなかなか面白くなるのではないでしょうか。ちなみに、割れた後に再編されるのがどんな政党になるか、勝手に考えてみました。
政党1:小さな政府、規制緩和、自助自立国家。
党首:小泉
政党2:大きな政府、規制維持、家父長的管理国家。
党首:亀井
政党3:大きな政府、より多くの規制、社民的福祉国家。
党首:??
bobbyさん、うまいなぁ
>政党2:大きな政府、規制維持、家父長的管理国家。
> 党首:亀井
うるさい静香ちゃんは”日本のお父さん”を象徴していますからね。
静香ちゃんが某自民党の枢要な地位にあった時、サンプロに出演していた時の事を思い出します。
「田舎では水洗便所がある文化的な生活をしてはならないのか?」
確か、副都知事に何か言われての反論だったと思います。
今遅れて私たちの地方でも各家が水洗便所を設置するために下水を流すために暗渠工事を行っています。
しかし子供の教科書に載る位の特異な平野部のために、その工事のために他の地方の数倍の費用がかかっています。
それで各戸から下水を集めて下流部で集合して処理するよりは、小さな処理施設を複数設けて処理するほうが費用が少なく済みます。
ところが中央で、地方の実情を考慮せずに河口部の近くに大規模処理施設を造ることになりました。
これからココでも大・小便をする人が減ってゆくと言うのに、高度成長期の感覚でまだ、役人達は考えてるんだなと思います。
確かに静香ちゃんは、私たち地方の事を考えてるように思えます。が、私たちが自分の考えで行動し、責任を取ると言う生き方を好ましく思ってないように感じます。
「ツベコベ言わんと俺についてこればいいんだ!」と言うオーラ全開だからでしょうか?
>政党2:大きな政府、規制維持、家父長的管理国家。
政党1に入れてもらえなかった自民党の議員全員が、たぶんここの門を潜るのでしょうねぇ。石破茂氏が政党1に行かない(でしょうねぇ)のはちょっと残念です。
>政党3:大きな政府、より多くの規制、社民的福祉国家。
民主党の左寄りの人全員が、たぶんここに集まるでしょう。
民主党の鳩山氏、小沢氏、岡田氏、枝野氏は、いまさら政党1にも政党2にも行けないような気がするので、更に政党4を作るかもしれません。そうなったら小沢氏はもう政界を引退した方が良いと思います。