マスクは新型豚インフルエンザを予防しない

ついに日本に、新型豚インフルエンザが本格上陸したようです。朝日新聞には国内の感染者「数百人規模か」という見出しで報道しています。日本ではインフルエンザの予防といえば、まず「マスク」をする事が常識になっているようです。今朝のテレビでも、多くの人が(普通の)マスクをして道を歩いているシーンを映していました。しかし残念ながら、このような一般的なマスクはウイルス性の感染症を予防する事ができません。それは香港でSARSがアウトブレークした時に、初期の院内感染によって証明されています。

一般的なマスクは、なぜインフルエンザを予防できないのでしょうか。それはウイルスが小さすぎて、普通のマスクの網の目を容易にすり抜けてしまう為です。大きさの比較をすると、花粉の大きさは数十ミクロン(1ミクロンは1mmの千分の一)ですが、ウイルスの大きさは数十~数百ナノメートル(1ナノメートルは1ミクロンの千分の一)です。

最近はウイルス用マスクとして、N95マスクというのが販売されています。これは0.1~0.3ミクロン(つまり100~300ナノメートル)の微粒子を95%以上捕捉する性能を持つマスクで、結核やSARSの感染予防に効果があったそうです。たとえばこれです。このようなマスクでない限り、インフルエンザ感染予防の役に立たない事を理解するべきです。

香港でSARSがアウトブレークし、院内感染で医療関係者へ感染が広がった時にわかった事があります。我々はインフルエンザのウイルスを直接吸い込む感染方法をイメージしますが、より効果的な感染方法は、手に付着したウイルスが、鼻や目などの粘膜から体内へ侵入して感染する方法です。ウイルスが手に付着する理由は、感染者の飛沫等により体外に出たウイルスが、もよりの手摺やドアノブ、その他の器具へ付着するからです。次にそれを触った人の手に、ウイルスが付着するのです。ウイルスは、思いもよらないところで、あなたに触られる時を待っています。

そこで香港では、インフルエンザの予防といえば、マスクよりも手洗い、または手の消毒(消毒用アルコールによる)が主流となっています。今回の新型豚インフルエンザでも、街のあちこちに、たちまち手の消毒用アルコール装置が置かれるようになりました。ウイルスが手に付着する事を防ぐには、手袋も有効です。(手袋で鼻や目を触っては意味がありません)

感染者が他者へ感染を広める事を予防するという意味でも、一般のマスクによる効果は疑問です。先に述べたようにウイルスは一般のマスクの網の目を容易にすり抜けます。感染者の「息」はかならずマスクの外で出ますから、ウイルスも「息」と共にマスクの外へ漏れていると考えるべきです。「息」と共に体外に出たウイルスは、感染者の周辺を漂い、いづれ何かに付着する事が考えられます。

外から帰ったら、「うがい」ではなく「手洗い」を励行しましょう。うがいもインフルエンザには意味がありません。外で喉粘膜にウイルスが付着していたら、すでに感染したと考えるべきです。うがいでウイルスを「洗い流せる」と考えるのは非科学的です。

このように、非科学的な予防手段が日本で広く普及して、信じられている理由は、情報を広める役割を務める政府とマスコミの無知が挙げられると思います。政治家がアホなのはしかたがないとして、日本のマスコミはもっとよく勉強するべきです。情報を扱うのがマスコミの仕事なのですから。

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