社畜になりたがる人々(2)

5月 5th, 2009 Categories: 1.政治・経済

池田氏がこちらの記事で、社畜はいかにして生まれたかという理由について述べていますが、前回の私の社畜になりたがる人々という記事に、DLKさんからコメントを頂きましたので、以下に反論を試みてみました。

>今終身雇用の方がメリットが多いですよ。東大などの優秀な学生は今でも大企業の正社員か公務員など終身雇用の職種を目指しています。

それは、大企業が転職者を積極的に雇用しないという前提条件を固定させたままで、雇用の流動性を考えるからだと思います。前提条件がかわれば、結果も変わります。

何でもそうですが、供給に制約がある状態で流動性が高まると、市場価格は上昇します。ある業務に対する「有能な人材」は、市場では常に供給量が少ないので、雇用が流動化して、大企業が積極的に「有能な経験者」を雇用するように前提条件が変われば、企業内で飼い殺ししている「有能な人材」の市場価値が高まり、転職が合理的になります。

大企業が東大などの新卒者を積極的に雇用するのは、大企業が転職者を積極的に雇用しない条件化でにみ有効です。つまり大企業は現在のルール(新卒採用)の中でベストな選択をしているだけです。転職が一般的になれば、管理ポストは基本的に「有能かつ実績を持つ転職者」が得るようになり、新卒採用者は外部から来る転職者と競争する事になります。ですから、よほどに有能な人間でなければ、新卒入社して、転職せずに同一企業内でポストをどんどん上って行く事は難しくなるでしょう。また、能力=待遇というスキームが確立すると、サラリーマンの職種も専門職化が進みます。これはサラリーマンの経験・能力のポータビリティーが高まる事を意味します。自分の知識や経験が生かせる企業が多い業界ほど、転職機会が多いという事になります。

>中小企業に転職する場合、不利になる可能性も。(ただ、誰も好き好んで不利な転職はしませんが)

転職の前提条件は、より良い条件の企業です。今の待遇より良い転職先を見つけられなくなったら、その時が、その人の人生におけるピークの待遇という事でしょうから、そこから先はその会社になるべく長く居られるように努力すればよいという事です。

>解雇されることがない(少ない)ため、社員は自分の首を気にせず仕事に専念できる。

解雇される恐れが無いので、学校を卒業しても夜間の学校へ通ったり、コツコツと自分で勉強する人が本当に少ないですね。気がつけば、転職しても使いまわしの効かない、いまの職場に特化した知識と経験だけが身についているのではないでしょうか。うちの会社の香港人スタッフは、大学院の夜間コースに通ってネットワークやセキュリティーの修士の学位を取ったり、同じく夜間コースでMBAの勉強をしたりして、常に新しい知識を身に付けようと頑張っています。それもみんな、自分を高めて、より良い転職をしようと言う強い目的意識があるからだと思います。

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One Response to “社畜になりたがる人々(2)”

  1. 5月 8th, 2009 at 09:58
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    >>
    池田氏がこちらの記事で、社畜はいかにして生まれたかという理由について述べていますが、前回の私の社畜になりたがる人々という記事に、DLKさんからコメントを頂きましたので、以下に反論を試みてみました。

    >今終身雇用の方がメリットが多いですよ。東大などの優秀な学生は今でも大企業の正社員か公務員など終身雇用の職種を目指しています。

    それは、大企業が転職者を積極的に雇用しないという前提条件を固定させたままで、雇用の流動性を考えるからだと思います。前提条件がかわれば、結果も変わります。
    <<

    26年前に東大工学系の大学院の修士を出た経験から少し。今は大学院の定員も増えて、その構成員の属性も当時と変わっていますが、学部レベルはそれほど大きな違いはないと思います。

    「優秀な学生」という括りが曲者。創造的な能力があるという意味なら2割くらいは該当すると思います。事務処理能力に長けた受験秀才はもっと多くいるのでしょうが、そういう連中が主として大企業や公務員を目指す。これは理系よりも文系に多いと思いますね。文系、特に法学部で成績のいいのは司法試験か公務員試験を目指す。でも、昨今は霞ヶ関に行っても創造的な能力があるのは20代から30代前半くらいで見切りをつけてスピンアウトしますよ。

    私の同期も50人くらいいるけれど、途中で職が変わっているのがけっこういます。50過ぎて、卒業時の職場(会社)と今の職場(会社)が同じ、という方が少数です。私は最初から公務員や大企業を拒否して「はずれたコース」を歩んでいますが(笑)…

    東大出ても1つの大企業にずっと居続けたとすると、よほど能力がないかぎり、池田信夫氏の言うノンワーキングリッチになっている可能性も充分に考えられます。

    大企業社員や公務員になって一生高給で安定した生活を送ろうと考える東大卒は多いのかもしれないけれど(違うかもしれない)、本当に優秀なら実際にそういう生活で一生を終えるとは限らない、いやそうでない道が彼(女)を待っていることも多いと思いますね。

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