政府が終身雇用を守りたい理由

5月 2nd, 2009 Categories: 1.政治・経済

立法府という言葉が示すように、法律を作るのは国会議員の仕事です。しかし実際に法律を「書く」のは行政機関の役人(東大法学部卒の役人)のようです。行政機関の主な仕事は、国民(日本国居住者)を管理する事です。

行政機関が国民の雇用(生活)と年金(老後)を管理しようとする時、終身雇用という言葉はとても便利な言葉のようです。国民(家庭)の大半が終身雇用のサラリーマンであれば、それらの家庭における雇用問題、年金問題、医療保険問題について、行政機関が積極的に、リスクの高い改革を考える必要は生じません。惰眠をむさぼる事ができるでしょう。

しかし池田氏のこちらの記事によれば、「終身雇用と呼べるような実態は従業員1000人以上の大企業の男性社員に限られており、その労働人口に占める比率は8.8%にすぎない。これは戦後ずっと変わらない事実であり、終身雇用が日本の伝統だなどというのは幻想である」と述べています。

しかし行政機関は、終身雇用という幻想を、これからも国民に押し付け続けるのではないかと考えます。終身雇用という幻想を企業と国民に信じ込ませる事によって、行政機関が企業と国民を管理する仕事は非常に容易になるからです。

終身雇用という言葉から生じる「雇用責任」を大企業へ押し付け、大企業は「系列化」というしくみを通じて「生かさず殺さず」の雇用安定化をピラミッドの底まで浸透させる事で、日本の行政機関は企業コストによる社会の安定化を図ってきました。行政機関は、これからもこの成功体験を崩す事を嫌がるでしょう。終身雇用という幻想の崩壊は、すなわち、行政機関によるリスクの高い政策の実施を求められます。リスクの高い政策の立案と実行は、安定と完璧を好む行政官僚の「本能」に反する行為だからです。

しかし、日本は今や、没落へと滑り落ちはじめました。年々、落下は加速を増すでしょう。日本に活用できる資源が残されているうちに、経済を復興させる新しい産業が必要です。衰退産業から新興産業への労働者の移転(あるいは誘導)は、待った無しの、政府の急務です。

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