IT時代の最先端カルテ情報は?

10月 28th, 2004 Categories: 健康

thunderball-01先生が、 IT時代の最先端医療革命!! (かな??)という記事を書かれております。なかなか面白いので、自称IT関係者の目からコメントを付けさせて頂こうと考えました。


保険診療にある各個人のクリニックはフランチャイズ化されることが多くなる。これはマツモトキヨシのクリニック版みたいなもんである。

個人的なクリニックがフランチャイズ化されるというアイデアは(専門外ですが)面白いですね。いきなり蛇足になりますが、開業医さんがフランチャイズに加入するメリットを列挙してみました。
●オンライン化されたシステムの提供。カルテや事務処理のシステムには困らないでしょう。
●患者紹介。フランチャイズに加入する一番大きなメリットでしょう。
●患者の共有。治療期間中に出張などで別の場所へ来ても、その街のフランチャイズドクターに継続して診てもらえるでしょう。


通常使われる回線とはまったく別のラインで、各病院は情報が共有化される。
これにより電子カルテが独自のネットワークでつながると。それによるメリットとは??

ようやく得意な分野の話しです。

わざわざ「まったく別のライン」、「独自のネットワーク」という言葉を使われていますので、恐らく専用線のような理論的に隔離されたネットワークを想定しておられるのだと思います。世の中では、まだインターネット+VPNの接続は怖い印象があるようです。でも、フランチャイズという大規模かつ企業化された組織では、コストというのは非常に大きな要因です。同じ事がより安い費用で実現可能ならば、それを積極的に採用してゆくのが企業の良いところでしょう。というわけで、都市部では安価に普及しているFTTH(光ファイバー)、郊外ではADSLをベースにしたインターネット+VPNファイヤーウォールで仮想専用線ネットワークを構築し、安価でかつセキュアなシステム接続、内線TV電話、内線ファクスなどの実装を行うようになるでしょう。場合によってはインターネットではなくてIP VPN(インターネットではないが、単独企業が管理しているTCP/IP通信網)になるかもしれませんね。IP VPN業者の今後の努力次第でしょうか。


山田さん(仮名)が日本のどこかでケガをした場合、その支店的な病院に行く。その病院では、今までの処方内容、診察内容、既往歴、検査歴等が本人に聞かずとも一発でわかる。


これの便利なことはですね、たとえば意識障害などで病院に運ばれた場合や、自分で正確に病状を伝えられない人の場合などで威力を発揮しますね。また、新たに検査を繰り返し行わなくても、ある程度の状況がその場ですぐに分かる。もちろん、大学病院等で撮影したCT、MRI等もすぐにブラウズされるようにすると。

うーん、これはちょっと問題ですね。上記の山田さんが意識障害で倒れた場合、どこの病院へ運ばれるかは分かりません。日本にたった一つのフランチャイズなら、ネットワーク化されたシステムは全国統一されているでしょうからかなり便利でしょう。でも、大学病院や大きな個人病院は、フランチャイズのネットワークから外れているでしょう。別々の組織がいろいろな意図を持ってつくられたシステムを相互に接続するのは、今も将来も極めて困難なはずです。

しかも、フランチャイズ組織は全国にいくつも出来るでしょう。カルテのネットワークを一つのシステムにインターフェイスするのは現実的でない気がします。

じつは、もっとよいテクノロジーがあるのです。

その名はRFID。日本ではスイカという非接触型プリペイドカード(鉄道の運賃支払い用?)がありますが、あれはRFIDの仲間です。RFIDは中にICチップが埋め込んであり、書き換え可能なメモリを入れる事もできます。データの出し入れ時には、信号を暗号化してデータの盗み見を防ぐ事もできます。RFIDへのアクセスにはパスワードが必要です。いま米国では、このRFIDをパスポートへ組み込むよう、各国政府に働きかけています。

このRFIDに患者の生体識別情報(指紋等)とカルテ情報を電子的に保存します。もちろん、このRFIDは政府の後押しでプログラムインターフェイスを公開し、どのフランチャイズや病院でも、あるいはソフトハウスでも、このRFIDとインターフェイスがとれるシステムが作れるようにしておきます。

さて、このようにするとどうなるでしょうか。

ある患者がどこかの広場の真ん中で倒れたとします。まずは救急隊員がやってきました。かれは、ハンディースキャナ(手持ち式RFID読み取り端末)を取り出し、患者の指をスキャナに押し付けて、持病、常用している薬、主治医、病歴などをオフライン(どこのサーバーにも接続する事なく)で瞬時に読み取りして、今すぐすべき事を確認する事ができます。

べつの患者は、フランチャイズの開業医から大学病院へ紹介されてきました。ここでも、電子化可能な情報は全て、患者が身に着けているRFIDを介して、大学病院のシステムへ受け渡します。

ちなみに、このRFIDはぜひとも、日本国政府が発行管理する正式な身分証明書に付加してほしいものです。この身分証明書の番号を、各病院のシステムが、患者の認識コードとして使用できれば、病院が発行する診察カードが不要になり、現場の人、事務の人、お役所ともに業務をより効率化する事ができると思います。

さて、ここで個人情報の漏洩についてです。RFIDの場合には、個人の情報は個別に管理されているので、その人が指紋確認しれば、どこの病院でも閲覧できるでしょう。たぶんパソコンにつける指紋確認装置と市販のカルテソフトを購入してPCにつなげれば、自分でも電子カルテ情報を閲覧できるでしょう。またRFIDには他人のカルテ情報がありませんので、多数の患者の情報漏えいとは関係ありません。

フランチャイズで使うオンラインシステムの場合には、多数の患者情報を一覧できなくするような設計にしないと、たちまち個人情報の漏洩騒ぎが起こるでしょう。フランチャイズ・オンラインシステムでは更に、カルテ情報はRFID身分証明書と連動した本人確認を行うか、医者本人が持つ管理者権限によるパスワードがなければ患者本人がいない場所でのカルテ表示を禁止するなどの設計が必要かと思います。(それでも、お医者さん本人が悪意を持てば、情報漏えいを防ぐ事はより困難になりますね)


さらには、さらには(まだ続くんかい!!)CT、MRI、SPECT等の高価な機械ありますね。あれを各町ごとにそういった「放射線画像検査センター」のようなものを作るのである。

これも蛇足ながら、このような検査専門のクリニックみたいなものは、香港には多数あります。町営ではなくて個人営業なんですが。詳しくはここをクリックして下さい。ちなみに香港では、こういうところで検査した写真や資料には、検査した機器に関する専門医の所見がかならず付いています。フランチャイズドクターは、その所見を参考にする事もできますし、自分で診断する事も出来るわけです。


ほんと、安全性、情報の漏洩が絶対にない技術さえ確立できれば、現実になります。

ほんとにそんな技術があれば良いのですが...実際には部分毎に検討しなければなりません。

ネットワークに関しては、新しい病院がフランチャイズのネットワークへ接続する時に、きちんとした技術を持つネットワーク業者が、フランチャイズ側が用意した指示書に従って、きちんとした設置と設定を行えば、今でも、インターネットを使っても現実的な問題はまったくありません。

情報の漏洩については、
1)一般のアクセス権限は患者の一覧データを閲覧も印刷もダウンロードもできなくするような設計思想でシステムを開発する必要があります。
2)それでも患者のリストなど既存の印刷物を持ち出す事も可能で、最後は人間を管理する以外に方法がありません。

yahooの顧客情報漏洩も、社員が社内端末で行った訳で、外部からのハッキングでの情報漏えいなんて、よほど管理が甘い組織(を知りたい方はここここをクリック)じゃないと不可能ですから、あえて検討する必要はないと思います。

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