実技試験はなぜ批判されるか(1)

3月 26th, 2009 Categories: 1.政治・経済

池田氏がはじめたアゴラという言論プラットフォームで、ソフトバンクの「特別採用コース」の是非を巡って、安富氏(経済学者)と米重氏(学生で実業家)の論争が起こっています。議論の発端となった米重氏のこちらの記事では、特別採用制度を批判している学生の「気持ちの持ちよう」を批判しています。一方の安富氏はこちらこちらの記事のように、「起業側のルール違反」を批判しています。

ソフトバンクの特別採用コースが、営業職の採用を前提としたものであれば、私は安富氏の批判している「2つの異なるゲームの混同」は間違っていると考えます。営業職の採用試験として、実際の営業活動を行う事は、プログラマの採用試験として、試験時間内に課題のプログラムを作成するのと本質的な違いは無いと考えるからです。ゆえにこれは混同ではなくて関連ととらえるべきです。

米重氏の意見には賛同します。学生は与えられた機会を有効に活用すれば良いのです。学歴(大学ランク)と学力(問題回答式の入社試験)に自信のある人はそちらを選べば良いし、学歴と学力に自信の無い人は、特別採用コースはソフトバンクへ入社する為の素晴らしい機会を得た事になるでしょう。

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2 Responses to “実技試験はなぜ批判されるか(1)”

  1. shiro
    3月 28th, 2009 at 10:24
    1

    > 営業職の採用試験として、実際の営業活動を行う事は、
    > プログラマの採用試験として、試験時間内に課題の
    > プログラムを作成するのと本質的な違いは無いと考えるからです。

    問題の所在は実技試験かどうかという点では無いのでは。営業職の実技試験が、当該企業に直接の利益をもたらさない仮想的な設定であれば何も問題はないでしょう (そういう試験を設定するのは難しそうですが)。

    同じ設定をプログラマの採用試験に当てはめるならば、「試験で業務用のプログラムを書かせ、(応募者の採否にかかわらず)その成果を企業のものとする」あたりでしょうか。現実には業務で使うプログラミングを業務から切り離したコンテキストで書かせるのは難しいですが、枠組みとしてはこういうことになると思います。

    もしプログラミングの例が現実的でないなら、こういうのはどうでしょう:「営業力をつける有料セミナー。修了条件となる最終課題は、そのセミナー自身を他人に売り込み、セミナーを受けさせること。」
    一昔前にはやった自己啓発セミナーでよく使われていた手法ですが、今回のソフトバンクへの批判の根本は、実技であるというところではなく、この構造との類似性にあるのではないでしょうか。

    なるほど、論理的には間違っていませんし、考えようによってはwin-winの関係とも言えます (従ってこのスキームを肯定する人もいます)。しかし、私はフェアでないと感じます。

    その理由のひとつは、おそらく課題を課す側と課される側の力関係の非対称性にあるのではないかと推測します。課題を課す側にはメリットが二つあって(応募者の実力を見ることと、自分に対する直接の利益)、そのメリットを自由に使い分けることができる。一方、課題を課される側が挑戦したいのは自分の実力を示すことであるのに、そのためには課題を課す側のもう一つのメリットに強制的にコミットしなければならない (選択の余地がない)。応募者の方がカードが少ないんですね。

    ソフトバンクに応募するからには、受かった暁にはソフトバンクの利益になることにコミットするわけだからいいだろう、という論理もあり得ますが、それは事後的に(労働契約を締結する段階で)応募者が選択すべきことで、最初からカードが少ない状態で行われるゲームはやはりアンフェアだと感じます。

  2. bobby
    3月 28th, 2009 at 15:00
    2

    Shiroさん、力の入ったコメントを有難うございます。私の返事も長くなってしまったので、下記記事に返事を書かせて頂きました。そちらをご参照ください。

    http://bobby.hkisl.net/mutteraway/?p=754

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