弁護士はリスクを評価できるか

2月 22nd, 2009 Categories: 1.政治・経済

改正建築基準法の問題で、構造計算書偽造問題を改善する為の最も有効で効果的なソリューションは改ざん不能な構造計算プログラムにする事でした。またこの方法であれば、業界の混乱はプログラム改善するまでの一時的なものであり、現在のような官製不況を招く事もなかったと考えられます。

木村氏のこの記事や、建築基準法改正リンクさんのこの記事を読めば、小倉氏が擁護している(ようにみえる)改正建築基準法は、実は人命を守る為の役に立っていない事がよくわかります。この法律は役所が天下りを増やす為のが目的のようです。
小倉氏はこの記事で下記のように池田氏のこの記事を批判していますが、

「重要なのは、リスクと便益のトレードオフの中で何を選ぶかという目的関数の設定である」としても,「阪神淡路大地震クラスの大地震にあった場合に建物が 崩壊して人命が損なわれるリスク」に目を瞑ってまで選択すべき「便益」があることを,池田さんは説得的に主張し切れていません。

プログラム改善(それと大臣のプログラム承認手順の改善)で済んだ問題を、いまの改正建築基準法にしなければならなかった理由が何処にも見当たりません。リスクと便益のトレードオフの観点から、問題ある改正建築基準法を改善する議論をする事が、なぜ人命が損なわれるリスクを高めるのか、具体的かつ合理的に述べるべきではないでしょうか。この問題における小倉氏の批判は観念的であり、まったく説得力がありません。

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6 Responses to “弁護士はリスクを評価できるか”

  1. 2月 22nd, 2009 at 15:55
    1

    建築基準法が改正され施行されても、大臣認定済みの構造計算プログラムが存在しなかった(出来上がらないうちに改正法の施行が見切り発車された)ために、構造計算のチェックができずに、確認業務が滞ったという実態もあります。

    プログラムのベータ版が出てくるのに改正法施行後、確か半年くらいかかっていますが、それも1社だけ。池田氏も批判しているITゼネコンの一つです。社会保険庁の年金システムなどでボロもうけしたNTT系の大手業者です。日本の官公庁はこの会社やH,N,Fなどの、これまたITゼネコンでもある大手電機メーカーへのシステム発注が多いのですが、本来もっとオープンにすれば小さくても技術力のある会社が、より低コストで高性能なプログラムを迅速に提供できたはずなのです。

    それから、小倉氏の阪神大震災云々の主張ですが、あの地震でも倒壊していない建物は存在しているわけで、それは耐震基準云々だけで決まるものではなく、震源からの距離、地盤、地形、建物の固有振動数、築年数、構造など様々な要素で偶然に決まるものです。

    改正建築基準法を批判することが、人命を軽視してまで便益を確保しようとする姿勢であるはずもありません。多くの日本の建築技術者は優秀で、改正前の法律でも問題のある建物を設計した建築家などほとんど存在しません。改正法は角を矯めて牛を殺すようなものです。行政府の責任逃れの道具になっているだけです。池田氏のブログのコメントで「政府ガード」という言葉が紹介されていましたが、まさにそのとおりで笑ってしまいました。

    どんなに基準を引き上げたところで、その想定を上回る地震が襲ってくる可能性はあります。失われる人命を少なくするには、建築基準法だけで対処できるわけもなく、もっと総合的に考えるべきで、その一環として建築基準法のあるべき姿も議論されるべきです。

  2. bobby
    2月 22nd, 2009 at 16:40
    2

    フロレスタンさん、長文コメント有難うございます。

    「プログラムのベータ版が出てくるのに改正法施行後、確か半年くらいかかっていますが、それも1社だけ。」
    データの改ざんができないようにするのに、どうしてそんなに時間がかかるのでしょう。前の仕様がよほどデータ改ざんに弱かったのか、あるいは、この際だからと必要も無いのに何億もかけて全部を作り直したのでしょうか。

    「本来もっとオープンにすれば小さくても技術力のある会社が、より低コストで高性能なプログラムを迅速に提供できたはずなのです。」
    そうですね。仕様を公開しても問題ないはずです。というか、仕様を公開する事で多くの人の目に触れ、多くの開発者が参加する事で、問題があれば明らかになってゆくはずです。役所と業者が利権でつながっているのか、あるいは仕様をオープンにしてあとから役所が恥をかきたく無い為なのか。

    建築基準法改正リンクさんの下記記事を読んで、かなり勉強になりました。
    http://kk.category.jp/2007/11/post_46.html

  3. truf
    2月 22nd, 2009 at 19:44
    3

    関係者が身近にいるのですが、建築士法が改正され、新しい構造計算の資格や、何年かごとの講習が義務づけられ、それがなければ構造計算ができなくなるそうです。

    なんでも2級や1級の資格の死亡時の返上や名寄せができてないのでどれだけ建築士がいるのかも国土交通省は把握できていないようで、この改正によって建築士の規制も行いたいのでしょうが、講習を受けるのは都市部に偏り、地方では構造計算の資格者が足りず家が建たなくなることも将来起こりかねないとのことです。

    そもそも構造計算は算定方法によってかなり差が出るので明朗な数値を出すのは不可能ですから新制度に効果があるのか疑問の上、下請けの建築士は最低賃金並の給料、さらに構造計算業務が2倍以上増えるとなると建築業界の官製不況はまだまだ続きそうです。そもそも誰かが不正をしたならば損害賠償をすればいいだけの話です。

    構造計算の不正で問題になるのは大地震の時だけですし、その時の被害や賠償を考えると官も民も責任をとりきれないので一番立場が弱い建築士に責任を押しつけているとしか思えませんし、規制や資格が増えても施工の不正やそれによる問題は解決しません。

    不正があった場合の一定限度の保険制度を審査機関や施工主に義務づけるのが経済的な解決かもしれませんが、現在のCDSのような問題も起こるでしょうし、建物はできてしまうと欠陥が判明しにくい上に何を保証するのかが明確にできないために難しい問題ではあります。ですが規制のコストを考えずに誰かに問題を次々と押しつけ続けるのは社会や経済を閉塞化させるでしょうし、そうなりつつあるのが日本の現状でしょう。

  4. bobby
    2月 22nd, 2009 at 20:01
    4

    Trufさん、コメント有難うございます。改正建築基準法は、政府が責任を取らないようにする為の法改正だという人もいるようです。耐震強度は最低基準をクリアしていても、実際に大地震が来た場合、地盤などの環境条件や手抜き工事など様々な理由で、倒壊するビルは沢山出るでしょう。そういう場合に政府や大臣が責任を取らなくても良いようにする事だと...歴史はまだまだ繰り返すようですね。

  5. うにちゃん
    2月 22nd, 2009 at 21:06
    5

    「官製不況2.0」ってとこですかね……。

  6. 前田
    2月 24th, 2009 at 08:55
    6

    小倉さんは相変わらずですね・・・。

    よくあそこまで曲解してブログに載せられるなぁと思いますね。

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