なぜ公文書は失われるか

会計検査院は国有地を森友学園へ売却した事案で、財務省と国交省が8億円という異例の値引きを行ったごみ撤去費について、十分な根拠が確認できないとする検査結果を出しました。なぜ確認できないかと言うと、関連文書の多くが「廃棄」されてしまったからではないでしょうか。

参考文献:森友「特例」指摘次々 値引き「根拠不十分」 検査院

これを受けて財務省では、「手続きの明確化」と「文書の充実」で収束を図ろうとしていますが、これで抜本的な改善が行えるか、大きな疑問を感じています。


そうえいば加計学園の事案も「怪文書」からはじまりました。官邸が文書の有無をタイムリーに確認でずに二転三転した結果、「何かを隠している」という疑念が深まって、現在の大事案へ拡大した経緯があります。もし早期に確認して「◯◯担当者の個人メモである」と対応できていれば、早期に収束できた可能性は否定できません。

参考文献:安倍政権「出所不明」「怪文書」一転 加計文書再調査

 

私は公務員経験が無いので断定はできませんが、担当者の会議メモを含めて「印刷された書類」が公文書であるという制度あるいは慣習のようなものが根底にあるからではないでしょうか。

役所では毎年、膨大な量の印刷した書類が生成されますが、書架の容量には限りがあるので、その全てを何十年間も物理的に保管する事はできません。ゆえに紙の情報は、最重要なものを例外として、大半は短期間で廃棄せざるを得ない事は十分に理解できます。

一方で、オフィスや役所で作成される現代の文書の大半は、パソコン上でワープロ/表計算/プレゼン・ソフトで作成されます。手書きのメモも統合プリンターでスキャンしてPDFファイルへ容易に変換できます。電子ファイルの保管には大したコストを要しません。にも関わらず、どうやら現在の役所では、最終版として文書を印刷した後で、元になった電子ファイルは廃棄されているようですね。(加計学園の事案では関係者の共有ファイル保管場所から削除されていました)

 

そこで政府へ提案です。

「紙の文書」と「電子ファイル」と対で管理し、紙の文書を廃棄した後も、電子ファイルは無期限に保管するように、文書管理の法律を改正しては如何でしょうか。法律にすれば、役人は従わざるを得ません。

電子ファイルを保管するハードディスクという機器は、いまでは非常にコストが下がっているので、政府の全ての省庁のすべての担当者の電子ファイルを、50年間でも100年間でも、容易かつ低コストで安全に管理する事ができます。

 

また、電子ファイル(ワープロ/表計算/プレゼン等のデータ)の保管は、従来のファイルサーバーの共有保管場所を用いる方法は、ユーザーの利便性を考慮すると、削除や上書きが容易にできてしまいます。公的な電子ファイルの管理は、「文書管理システム」を用いるべきです。文書管理システムは、日本では数社のソフト業者から販売されています。

参考文献:ファイルサーバー
参考文献:文書管理システム
参考文献:文書管理システム選定は「目的」と「機能」から

 

「文書管理システム」を使用すると、恐らくは下記のようなメリットがあります。

1)履歴管理と承認:
会議中の「忘備録」から提出用の「最終版」までを、ファイル名の変更無しに、内容を変更して保存する毎に自動的に履歴を作成しながら、管理する事ができます。数日前に更新した古い版の内容を見る事もできます。最終版になって、上司が承認した後で、他の関係者へ閲覧を許可する事ができます。

2)バージョン管理と閲覧権限と配布時セキュリティー向上:
政府(省庁間)の関係者へ文書の配布を行う時に、紙に印刷したり、文書ファイルをメールに貼付したりせず、「文書管理システム」上の「リンク」だけをメール等で送りますので、アクセス許可ある人間以外には文書を閲覧できません。これはセキュリティーが高まる上に、常に最新の版を全員が閲覧する事ができます。

3)容易に検索:
「文書管理システム」に登録された文書は、内容の「文言」で検索して探す事が容易です。文章の内容だけでなく、文書の登録時にキーワード等の「属性」を登録して、それで検索する事もできます。

4)文書の賞味期限設定:
全ての文書を永遠に保存する必要が無い場合には、会議メモのように10年後に重要性が低下している文書について、「賞味期限」を事前登録しておいて、期限が来たらシステム側で自動的に消去する事も可能です。

上記のような「仕組み」を構築した上で、「文書管理システム」へ登録されていない文書は公文書でないという法律を追加すれば、加計学園の時のような「怪文書」の発生を防ぐ事ができます。

この機会に政府はぜひ「公文書」の電子管理の導入を検討ください。

 

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