産業別労組による組合員の為のセーフティーネット

2月 22nd, 2009 Categories: 1.政治・経済

池田氏の記事によれば、北欧諸国の中でも「雇用の柔軟性(flexibility)と保障(security)を両立させることを目標にしている」のがデンマークとオランダだそうです。昨年見たNHKの北欧の特集番組でも、大手工場が大規模な人員調整する時に、(産業別)労組が支援して、他の企業の工場への転職を促し、失業者がほとんど出なかったという事を強調していました。これは日本が参考にすべき一つのモデルです。

上記の内容から思ったのですが、日本も企業別労組を全面的に産業別労組へ構造改革し、労働組合の目的を企業(搾取)との対決から、組合員の失業対策に置き換えるようにしてはどうでしょうか。「労働者の搾取に対して資本家と対決する」というのはもはや合理的でも必要でもありません。時代錯誤な内容を目的にしているから、日本の労組は目的を失って衰退しているのだと思います。日本にいる友人も、「今時、ストライキなどある筈もなく、組合費は無駄だから払いたくない」といっていました。

労働組合を企業別から産業別へ変更し、更に設立目的を「資本家と対決」する事から組合員の「セーフティーネット」になる事へと変更すれば、不確実な時代のニーズに適合するのではないかと思われます。

とはいえ、企業別労組から利益を得ている労組幹部にとって、産業別労組になる事は自らの利益を喪失させるものですから、大きな反対が予想されます。これは政府主導で力強く労組改革を行う必要があるでしょう。
労組は毎月の組合費から、以下のようなセーフティーネット・サービスを行います。

1)組合費の徴収

労組は組合費を徴収して、本サービスを維持する費用に宛てる。
2)失業した組合員への生活費補填

組合費の一部を失業保険としてプールし、解雇された組合員が再就職できるまで一定期間の生活費補填を行う。

3)失業した組合員の職の斡旋

労組が職安の機能を持ち、労組に加盟する企業全てから募集情報を集めて、職の斡旋を行う。また、産業別労組の各企業代表は、産業内で大きな人員調整がある場合には、自分の企業の経営者と話し合い、体力のある企業へ失職者を吸収できるように活動する。

4)職業訓練

労組が職業訓練の施設と能力を持ち、自分の産業で現在必要とする職業訓練を、失職した組合員へ行い、組合員を産業内で再活用する効率を高める。

就業中の組合員であっても、企業が新工場を建設したり新しい技術を導入する場合には、これらの職業訓練施設を利用して労働者の再訓練ができるようにする。

最終学年の学生や非組合員の失業者に対して、労組が無料の職業訓練を行う事で、新しい組合員(企業にとっては新入社員)を獲得する活動を行う。
他の産業別労組の企業が大きく縮小して、ひとつの産業別労組で労働者の再吸収が困難な時には、産業別労組間で労働者の移転を行い、それらの労組間を移転する労働者へ職業訓練を行う。

産業別労組が組織の目的を変更し、日本の企業労働者人口の7-8割をカバーするようになれば、政府は社会福祉サービスのコストが著しく低減するでしょう。逆に言うと、このような状況では、政府は労組に対して労働者の福利厚生サービスをアウトソースし、費用の一部を税金から支援する事も合理的ではないかと考えます。

高度成長期のある時期から現在まで、雇用の維持は産業界が自発的に担う事で実現されてきました。雇用の維持は企業の責任ではないが、企業にメリットがあったので実行されてきました。更にそれは長期の経済成長によって支えられてきました。しかし今後、日本企業はこれまでのように成長する事は無いでしょう。雇用の維持は産業界にとって重荷になるだけなので、雇用の流動化を支持する声が主流になるでしょう。これからは、雇用の維持と失業者の支援は、労働者の組織である労組が担うというのは、ひとつの有効な方法ではないかと考えます。

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