新自由主義は魔法の杖ではない

2月 17th, 2009 Categories: 1.政治・経済

小倉氏が新自由主義の例を語る時、経済破綻した途上国への導入例ばかりあげています。チリは例外ですが、アルゼンチンやほかの国は、IMF主導(融資と再建案の抱き合わせ)で始まる事が多いようです。IMFの再建案はなぜ、新自由主義的な経済政策のかたちをとるのでしょうか。分かり易くする為に、国を企業に置き換えて考えて見ましょう。

倒産しそうな工場へ融資する事を例として考えてみましょう。融資は返してもらう事が前提です。倒産しそうな工場にはかならず問題がありますから、問題を解決しなければ経営再建はできません。製造の問題、営業やマーケティングの問題、経営の問題などです。将来的には、売れる商品を、良い品質で、儲かる値段で製造し、営業力を強化すれば工場を立ち直らせる事ができるでしょう。しかしまずは、大きな経費削減を行い、月次の赤字を縮小させないと、融資したお金がすぐに底をついてしまいます。経費削減は、経営者の報酬カットだけではありません。無慈悲に見えるでしょうが、社員の賃金や手当てのカット、社宅を売りに出し、社員数を最小限まで減らす事も含まれるでしょう。最初の期間は痛みばかりが目立つでしょう。痛みの時をやりすごして、改良された製品を売って、月次の利益が出るようになるまでは、何年も時間がかかるかもしれません。ですから経営者の手腕次第で、最後に成功する場合もあるし、途中で挫折して倒産してしまう場合もあります。つまり融資を得られたとしても、経営再建とは成功された約束の道ではありません。会社再建が大変な事は、経営の経験があればお分りの事と思います。

社会基盤も産業基盤もない途上国の場合も良く似ています。IMFは融資したお金をあげる訳にはゆきません。かならず返してもらう為には、合理的な再建案に則り、きびしい再建管理者になる必要があります。ここで言う合理的な再建案とは、予算削減して赤字を減らす事と、長期的に経済成長をもたらず為の合理的戦略であるところの、新自由主義的経済政策です。これは、倒産しそうな会社へ銀行が再建の為の融資を行うのと基本的に同じ戦略だと思います。

ところで経済破綻した途上国がIMFの融資を受け入れる条件は、先にも述べた予算削減です。どんなに厳しい財政状況であっても、IMFは、さらに厳しい予算削減を要求するので、社会保障費や教育費が削られる事もあるでしょう。産業道路や空港や港湾を整備するだけでなく、輸出入規制や産業規制を取り除いて外資導入を促進し、輸出産業の振興を迫るでしょう。社会構造が一気に変わり始めるので、最初の期間は失業者が大量に出て、経済格差が広がるでしょう。しかし、新しい産業構造が根付き、地元資本の輸出産業が拡大すれば、失業率が減るだけでなく、所得も増えて行き、最終的には多くの国民の生活が改善され、税収アップによる社会福祉予算を増やす原資もできます。税収アップで国の歳入が増えれば、いづれは国の国の借金も返済完了できるでしょう。

上記の説明をご理解頂ければ、新自由主義的な経済政策が魔法の杖でない事がお分り頂けると思います。池田氏がアゴラで述べていますが、新自由主義的な政策は経済成長する為の合理的な手段であって、それを運用する政府に十分な能力が無いとか、経済改革を途中で放棄すれば、借金と痛みの記憶しか残りません。

逆に、国を賢く経営し、国民の改革の意思を維持し、自身の結果やまわりの状況を見ながら逐次改善を加えて経済改革を継続すれば、最後には経済が発展して、国も国民の生活も豊かになる可能性は高いのではないかと思われます。

Facebook Comments
Tags:
Comments are closed.