決定版、中国のバブルはいつ弾けるのか

10月 30th, 2017 Categories: 1.政治・経済

1997年の香港返還頃から最近に至るまで、中国のバブルはいよいよ弾けるぞという「予想本」が毎年のように自称中国専門家によって書かれて来ました。やれ上海万博の後だ、いや北京オリンピックの後だなどと言われて久しいです。直近では2015年に経済成長率が7%を切ったのでいよいよ危ないとぞと言われましたが、現在に至るまで「バブル経済」は寿命を保っているようです。いったい、これは高度成長でしょうか。それとも、高度成長が途中からバブル化しているのでしょうか。あるいは最初から評論家が煽っているだけなのでしょうか。

参考文献:中国の経済成長率の推移

私は中国でもっともエキサイティングと言われている深圳市に6年ほど前から住んでいます。私が住んでいるアパートがある龍華新区というところでは、15年前は日系工場もある工場地帯でした。いまでも鳴海精密工業(シャープを買収した台湾の会社)の超巨大工場が残っていますが、深圳市内と地下鉄が通じた為にベッドタウンとなり、新しくできた地下鉄駅の周辺にマンション群の建設ラッシュが続いています。この辺の新築マンションの売価は平米あたり100万円ですが、福田区や南山区の新築マンションだと平米で200万円を超えます。深圳市と広州市の間にある東莞市(工場地帯)の辺鄙な場所にある新築マンションは、3年前までは平米単価が14万円でしたが、いまは2倍に跳ね上がっています。

日本ではいろいろと言われていますが、私のまわりの中国は、依然として成長の勢いが衰えていないようです。先ほど、中国バブルと言いましたが、これは高度経済成長だという学者もいるようです。2000年から2017年までの中国の名目GDPを合計すると、1京1700兆円くらいになります。バブルというのは中身が無い状態で膨らんで行く事ですが、果たして中国の経済成長に中身はあるのでしょうか。

参考文献:中国のGDPの推移
参考文献:中国経済成長及びその制度的要因

そこで、中国が顕著に国内でのインフラ投資を開始した2000年以後で、社会的インフラやコンクリート系の箱モノをどれくらい建造し、どれくらい投資したのかを、容易に入手できるネット上の情報から探ってみたいと思います。

 

1)中国のコンクリート使用量が6.6ギガトン
中国で2011年から3年間のコンクリート使用量が6.6ギガトンだそうです。であるなら、2000年から2017年までに、総量でどれだけのコンクリートが中国全土の建造物になったのかは、つぎの項目から見て行きましょう。

参考文献:米国で100年間の使用量が4.5ギガトンらしいので、恐るべき使用量です。
参考文献:Have You Hugged a Concrete Pillar Today? (The blog of Bill Gates)

 

2)中国の高速道路網

国家が発展する為には迅速で安価な物流が発達する必要があります。それを支える基本的なインフラが高速道路です。中国で国道に指定されている高速国道の総予算は2005年から2020年までで31兆円。無料と有料の区間がありますが、有料の区間は主に民間投資により建設されているようです。高速道路の多くは高架道路で、大量のコンクリートを消費しています。

ちなみに発展著しい国内の自動車産業は、高速道路による長距離トラック輸送を多く利用しています。どれくらい長距離かというと、たとえば華東地区の蘇州市の工場で製造した部品を、東北地方の長安市の客先まで届けたり、華南地区の沸山市の工場で製造した部品を、武漢市の系列工場へ届けたりしています。

参考文献:中国の高速道路網

 

3)中国の高速鉄道網
中国は言わずと知れた鉄道大国ですが、「高鐵」と言われる高速鉄道網をものすごい勢いで国内に張り巡らせています。現在、新規で建設しているのは主に時速300キロ規格で、他に時速200キロ規格のものも少しあります。建設量ですが、2020年(あと2年ちょっと)で総延長3万キロ(複線なので距離としては1万5千キロ)、予算にして65兆円に達するそうです。

鉄道といえば1万5000キロの伏線の線路構築に使う鉄鋼を思い浮かべるでしょう。そうとうな鉄鋼使用量があります。しかし、その線路と車体をのせる1万5千キロに及ぶ長大な高規格の高架線路の建造に投じられたコンクリートの総量がいかほどのものであったのか、想像すらできません。

参考文献:中国の高速鉄道網
参考文献:中国の高速鉄道網が拡大、総延長で他国の合計を上回る

 

4)中国の原発

中国は原発大国でもあります。1999年に発足した中国核工業集団公司による原発は建設中のものを含めて48機。単純に1機あたりの建設費用を2000億円とすると、合計で9.6兆円もの投資になります。

参考文献:中国の原子力発電所

 

5)中国の大都市を走る地下鉄

2016年末の時点で、10都市で営業距離が100キロを超えた。上海の地下鉄は2017年3月時点で営業距離が617キロ。中国全体での地下鉄の営業呂姫は6000キロになる予定との事です。

参考文献:中国、10都市の地下鉄の営業距離が100キロ以上に

 

6)中国のマンション

中国は2000年前後から北京・天津・上海・広州・深圳など一部の大都市の立地の良い場所で、マンションの建設ラッシュが始まったと記憶しています。その後中国全土の大都市へ広がり、いまではけっこう辺鄙な場所へも建設ラッシュが到達しています。

考えてみればこれは恐ろしい事です。30年ほど前まで、それらは値段の付かない二束三文の土地でした。それが、高速鉄道と高速道路で大都市と地方都市がつながる事によって、二束三文の土地に値が付くようになりました。そこに建設された新築マンションは、ど田舎の安くものでも平米単価10万円の価値が付くようになったのです。

下記の参考資料によると、2016年7月時点で発表されている新規都市開発計画が3500件あり、これが全部建設されると、これだけで34億人分の住宅となる予定だそうです。(計画から建設完了まで5−10年とすると、達成は2026年ごろ完成でしょうか。)この計画発表時点では、まだ一人っ子政策は有効だったので、1家族を3人で計算するとマンション11億戸分。中国のマンションは1戸平均を120平米と仮定すると、建設延べ面積は1320億平米に達する事になります。これら全てのマンションの不動産価格を推定すると、新築ではかなり安い20万円の平米単価で計算すると2京6400兆円となるようです。

参考資料:34億人分の新築マンションを建設?!暴走する中国の都市開発

 

むろん、中国の官僚的な都市計画は時に壮大な無駄を生む可能性もあります。いわゆるゴーストシティーというものです。これは、いかにも不動産バブルが産んだ鬼子の象徴のような開発案件ですね。しかしながらこの記事によると、僻地に大規模な都市をゼロから建造するからには、ものごとは10年単位で進捗を見守る必要もあるようです。あと数十年もすると、すべてのゴーストシティーは、人で溢れかえっているかもしれません。

参考文献:中国の「ゴーストシティー」という神話

 

最後になりますが、現在の状況が仮に不動産バブルに突入しているとします。その場合、バブルはいつ弾けるのでしょうか。

結論は、日本人の多くが期待しているような派手な弾け方はしないだろう、というのが私の答えです。

そう考える理由は3つあります。1つ目の理由は、中国には国営系と地方政府系の銀行しかない為、素性の知れた大企業にしか金を貸しさない一方で、日本や欧米の銀行のような貸し剥がしもめったに行いません。2つ目の理由は、中国の大企業の社内には共産党の組織があります。もし金融不安が生じそうな時、中国政府は社内の共産党組織を通して経営者へ、「株の投げ売りをするな」とか「大口定期の解約をするな」と即座に命じる事が出来ます。3つ目の理由は、大手マスコミは政府に検閲されていますので、金融不安を煽るニュースは報道されません。

是非はともかく、上記のような「サーキット・ブレーカー」が銀行と大企業へ埋め込まれていますので、連鎖的な金融不安は極めて起き難いのです。ゆえに、仮に国家的な金融不安が起きかけたとしても、多くの国民が知らない間に、中国政府は強制的なソフトランディングを行うでしょう、知らんけど。。。(笑

参考文献:中国の銀行一覧
参考文献:中国の株売却禁止に識者「資本主義国の常識ではあり得ない」
参考文献:中国、不動産規制強化の動き広がる
参考文献:企業における共産党末端組織について
参考文献:中国企業に広がる「共産党支配」 3200社へ明文化を要求

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