家計も企業も強いリスク回避傾向を改革すべし
小倉氏が述べた「1株あたりの純資産額を高めることは、株式の客観的価値を高めること」は低リスクが求められる業界や財務状況の悪い企業が株価を高める為には有効です。しかしながら、それ以外の健全な財務状況の企業にとって、余剰金を溜め込む事は経営資源の無駄であり、非効率な経営と言えます。
多くの上場企業の株主は、手元のまとまった余剰資金を(オペレーションに必要なキャッシュフローは除いて)できるかぎり(設備投資や企業買収などの事業拡張へ)投資して、将来に得られる利益をより大きなものにする事を望む傾向が強いようです。また、このように効率的な余剰金の活用の期待感によって、近い将来の株価は上昇し得ますし、その投資が実を結ぶ事によって株価は更に上昇します。
池田氏が述べた日本最大の構造問題は、家計だけでなく企業にもいえる事ではないでしょうか。企業が現金の内部留保を溜め込むのは、将来のリスクを軽減する為であり、それは家計が現金・貯金を溜め込んで株や投信の比重が低いのと同様の心理的な構造問題です。社会的責任や終身雇用慣行を肯定してきた経営者達が、なりふり構わぬ生産調整・人員調整を行っているのも、同じ理由によって、未知の金融危機への恐れから生じるリスク回避行動と理解し得えます。
更に言えば、日本の大手企業がグローバル戦略を優先し、積極的に内需喚起への投資を行ってこなかったのも同様のリスク回避行動といえるのではないでしょうか。
家計も企業も、リスクに対する嫌悪まはた強い恐れを乗り越えて、みずからリスクを取って内需拡大の為に投資するべきではないでしょうか。最終的には、自分自身の利益となって帰ってくるのですから。
少子高齢化が進行中で、生活水準が極めて高い日本が内需拡大に成功する可能性はあまりないように思います。
家計も企業もリスクを取るなら、ブラジルのような人口が増加し、生活水準もこれから向上するであろう新興国に投資したほうがいいのではないでしょうか?。
>家計も企業も、リスクに対する嫌悪まはた強い恐れを乗り越えて、みずからリスクを取って内需拡大の為に投資するべきではないでしょうか。最終的には、自分自身の利益となって帰ってくるのですから。
もし、日本が内需拡大に失敗したら、投資においても仕事の面でもダブルで損失を食らうことになります。よほどの金持ちでない限り絶対止めたほうがいいと思います。
尻毛さん
コメント有難うございます。尻毛さんのご意見は、過去の日本企業が下記図のように行ってきた道で、その結果がいまの大不況と解雇の嵐ですね。
http://bobby.hkisl.net/mutteraway/wp-content/uploads/2009/02/structural-reform-of-japan-5.jpg
今後、米国がサブプライムショック前のような過剰消費市場に戻る可能性は低いと言われています。という事は、新興国も投資対象としての魅力的は大幅減になります。
下記図に示すように、自分の将来は自分で切り開くべきです。
http://bobby.hkisl.net/mutteraway/wp-content/uploads/2009/02/structural-reform-of-japan-6.jpg
わかりやすいです。
いつも読んでいます。
これからも俗流経済学に挑んでください。
bobbyさま お返事ありがとうございます。
bobby様の言うことはごもっともだと思う点もあるのですが、どう努力しても人口減少が進む日本で内需拡大というのは「実現不可能な理想」のように思えちゃうんですよね。悲観的過ぎますかね?。
前田さん、有難うございます。過去・現在・将来の日本の経済について、自分の(香港とフィリピンで零細企業を経営している)経験を通して考えてみるのは、自分にとってもたいへん参考になります。
尾毛さん、人口が減少してゆく中で社会保障を維持しながらGDPを上げてゆくにはどうすれば良いのかを考えるのは興味深いですね。基本的には、構造改革を行い、国内の単純労働を縮小し、新卒就業者を高付加価値の頭脳労働へシフトしてゆくべきというのは、多くの人が賛同可能な方向だと思います。しかしその為には、政府と学校と家庭が今まで以上に子女の教育に力を入れ、数・理・工系の専門分野の高付加価値産業を増やしてゆく事が必要かと思います。既に就業中の単純労働者の再教育と高付加価値産業への移転対策も難しいところです。でも、これをやらないと、20年後には途上国レベルへ没落しているかもしれませんね。