構造改革による内需拡大と雇用創出

2月 7th, 2009 Categories: 1.政治・経済

ローリスク・ローリターンは今の日本人の国民性でしょうか。池田氏のこの記事によれば、家計ポートフォリオの国別比較で、日本の家計資産の50.4%は現金・貯金だそうです。日本人に必要な「最大の構造改革」は、株や投信など、もっとリスクを取った資産運用をする事だと述べています。私も同感です。それに対して、小倉氏はお決まりの一段論法で、「多くの投資信託の運用実績がマイナスである現在、預金を株式・投資信託に切り替えた家計がもっと多かったら内需はもっと落ち込んでいたのではないかという気がしなくもありません」と述べています。これは完全な論点のすり替えです。池田氏は、不景気の今こそ投信を買えと言っているのではなく、投資マネーが内需を拡大していれば、そもそも日本はずっと以前に「家計が実感できる」好景気になっており、今回の不況にあっても輸出企業がこけたら全国的な不況になるような事はなかったと言っているのではないかと思います。

まず小倉氏の「株や投信に切り替えたら内需がもっと落ち込む」という理屈について考えて見ましょう。下記の図を見てください。これが日本の現在の状況かと思います。株式市場が盛り上がっても、儲かっている企業は輸出型企業がほとんどですので、投資マネーはそこへ集中されます。しかしながら輸出型企業は、研究開発費を除くと、(高賃金の労働者と解雇規制などの為に)設備投資は新興国などへ行います。結果として内需は拡大されず、雇用も賃金も(輸出型企業以外に)増えず、それ以外の業種で働いている労働者の家庭では、好景気を実感する事ができません。

structural-reform-of-japan-5.jpg
ところがもし、輸出型企業以外の業種で、国内に儲かっている企業が多ければ、投資マネーはそういう国内企業へも分散されます。その結果、国内マネーは内需型企業へ再投資され、株式投資が内需をより拡大し、雇用を創設し、さらに外国の投資マネーを呼び込む事もできるようになります。それを表したのが下記の図です。

structural-reform-of-japan-6.jpg
このようにもうかっている内需型企業が多ければ、家計から株や投信へ貯蓄がシフトする事で、内需が拡大し、失業者が減り、賃金が上がる人が増えて、家計収入が増えるだけでなく、財産も増えるのです。

ところで下記は、家計あるいは企業の投資家が投資を行うに際して、リスクとリターンの関係を簡単な図にしてみました。リスクが大きくなる程、リターンも大きいくなります。図中で、もっともリスクとリターンが大きいのは起業家への直接投資です。極端な例ですが、アップルを創設した2人のジョブズに直接出資していれば、ものすごい大金持ちになっていたでしょう。ソフトバンクの孫氏は、初期のヤフーに直接出資する事で、上場後に非常に大きな富を得て、彼の事業拡大の弾みとしました。

structural-reform-of-japan-1.jpg

ここで、香港の例をご紹介します。香港人は非常に合理的なので、働いている会社の収益が自分の能力に依存していると思えば、どんどん独立して起業します。成功するか否かは別にして、会社を興すと社員が必要になりますので、経験者が募集され、いろいろな年齢層において雇用が創出されます。それだけでなく、会社を興すと事務所を借り、内装業者を雇い、机や椅子を揃え...と様々な出費が発生し、それが直接に内需を喚起します。また、これらの会社のいくつかは成功して、経済繁栄と雇用創出に貢献します。

日本人と香港人の環境は異なりますので、同じ事ができるとは思いません。しかしながら日本でも、企業内労働者であって、独立志向の強い人は少なくないでしょう。しかし日本では、事務所ひとつ借りるにも何百万円という金額が必要であり、なかなか個人の貯金だけで会社を興す事は難しいのが現状です。企業も、新しい取引との取引は消極的です。閉鎖的なこの状況を構造改革して、個人の起業と営業を容易にし、下記図のように企業の新陳代謝が高めると、内需が拡大され、雇用が創出され、結果として雇用の流動性も高まります。

structural-reform-of-japan-2.jpg

このような新規の起業や、異業種からの参入を集中的に起す効率の良い内需拡大について、2つの例を考えて見ます。まずは下記の図に示す、規制緩和による内需と雇用の創出についてです。たとえば通信・放送業界で、インターネットによる全国的なテレビ放送を解禁し、簡単な申請で事業を起せるようにしたとします。テレビ番組の作成は、実際にはテレビ局ではなく下請け製作会社が非常に低い値段で作成しています。インターネット放送は通信インフラ費用と設備投資が非常に少ないので、数百万円から数千万円もあれば、オリジナルの番組を制作して放送する会社を始める事ができると思われます。すると、異業種からの参入や、自分で起業して参入する会社が増えて、電波主体の既存放送局とインターネットオンリーの放送局が競争し、視聴者を多く集めた会社が生き残る事になるでしょう。倒産する既存放送局が出れば、経験値の高い人材が放出されて業界内でシャッフルされ、発展が加速します。このようにして放送業界は電波主体から電波放送、インターネット放送、混合放送などへ発展し、新しい内需型産業へと発展してゆく事ができると思われます。

structural-reform-of-japan-3.jpg

もう一つの例は、建築業界など斜陽産業(しかしニーズはある)における既存の大手企業へ政策的な支援を止めて、自力で生き残れない企業はつぶれるに任せます。寿命を迎えた企業をむりやり延命しても、昔のような元気を取り戻すのは難しい。すると当然、倒産する大手企業が出てきます。そこから生まれた空白の市場へ、既存企業や隣接業種からの参入組みや、新規に起業して参入する会社が集まって、市場を奪い合う競争が生まれます。その結果、新興企業や零細企業が大きく発展する機会が生まれ、そこに雇用機会が広がり、元気のなかった業界に元気な企業が生まれて経済と雇用を牽引できる可能性が高まります。

structural-reform-of-japan-4.jpg

日本人の(ローリスク志向)精神に対する構造改革、規制緩和による構造改革、そして企業の新陳代謝を促す構造改革を行って、内需を拡大し、雇用を創出し、更に海外からの投資マネーまで呼び込んで、全体のパイを広げて、企業と労働者の収入が共に増すしくみが必要とされています。

Facebook Comments
Tags:

2 Responses to “構造改革による内需拡大と雇用創出”

  1. snowbees
    2月 7th, 2009 at 19:20
    1

    1)【対外債権の債券偏重の原因と改善策】
    以上の通り、日本の対外投資ポジションは対外債務に比較して対外債権が債券保有に傾斜している結果、01年-07年の期間で約30兆円の期待利益を逸していることになる。こうした債券保有バイアスの原因として考えられる原因は次の通りである。

    2)そういう意味で、金融・投資リテラシーの教育と同時に、個人投資家が投資し易く、かつ手数料コストの低い海外エクイティー投資商品の導入、普及が、日本の対外投資リターンをマクロ的に向上させるために求められていると言えよう。
    http://www.iima.or.jp/pdf/newsletter2008/NLNo_11.pdf

  2. 民主党は日教組と在日の政党
    8月 24th, 2009 at 08:22
    2

    社会主義民主党の政策には、望ましい構造改革もない。
    民主党が政権をとれば、増税と経済の衰退があることを暗示している。

Comments are closed.