終身雇用が日本を駄目にする

1月 29th, 2009 Categories: 1.政治・経済

池田氏がアゴラ記事でメディア企業について「要するに日本的雇用慣行のもとでは、専門知識を蓄積するインセンティブがなく、専門家を育てるシステムもない」と述べています。その事は、IT企業や会計士事務所など、専門技術に特化した企業を除く、ほぼ全ての大企業にもそのまま適用できる問題です。

大企業に入社した新入社員は、技術部門からキャリアを開始しても、部署全体が閉鎖されて全員が営業職へ配置転換されたり、やっと管理職になったと思ったら海外工場の総経理をさせられたり、日本に帰れば机がなくて総務部で冷や飯食わされたり、自分が次にどのような仕事をさせられるのか、本人にはまったくわかりません。中途採用の社員でも、2回目の人事異動からは、同じ条件になります。

日本の憲法22条で職業選択の自由が保障されていますが、日本の労働者はこのように、(面接する)会社を選ぶ権利はあっても、入社後の職種を選ぶ権利は事実上ありません。この問題の根本にあるのは終身雇用という慣習です。大企業は沢山の部署と大勢の社員を抱える一方で、不況時や部門閉鎖時の人員調整ができないので、専門分野で人を育てる事よりも、余剰人員の再活用の方が優先されてしまうのです。

大企業が終身雇用と配置転換を止めて、部門単位で職種別の採用と人員調整を行うように(行えるように)すれば、求職者は会社と職種の両方を(面接時に)同時に選択する事ができ、あとから不本意な職種へ異動させられる事もなくなります。企業側も部門毎に職種別の専門家を育てる事ができます。この方法において企業側が最もメリットを得られるのは、有能な専門化を得やすくなるという事です。

その中でも特に重要なのが経営者という職種です。経営者は専門知識と経験を有する、もっとも有能な専門職であるべきなのですが、日本では知識よりも経験、能力よりも人間性に重きが置かれているようです。本社の社長は別として、支社や工場長、それに海外法人の責任者は、経営の素人である中間管理職から選ばれる事が実に多いといえます。もう一つ、有能な専門職であるべき、(工場や事業所の)新規立ち上げ責任者に、これまたずぶの素人をあてる事が多いのです。新工場の企画立案や予算書作成、稼動開始までのプロジェクト管理は非常に専門的な業務です。また、せっかく貴重な経験を積ませた人材を、次の異動ではまったく関係無い部署へ送り、人材の大いなる浪費をしています。

もはや日本の大企業は、人材の浪費をしている余裕はありません。1日も早く部門別、職種別の採用と解雇調整が行えるように人事を改善し、社内で専門家を育て、役立てる体制を構築すべきです。

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