労働者はなぜ転職を恐れるか

1月 21st, 2009 Categories: 1.政治・経済

労働者にとって、自由で流動的な労働市場が創生される事は大変に望ましい事です。雇用主が労働者に及ぼす支配力が減り、労働者は将来の選択の幅が広がり、労働力の市場価格が形成され、自分の労働力の本来の価値を知る事ができるようになります。また、転職により賃金や能力が高まる可能性が増します。良い事は多々あります。しかし、多くの労働者は、「雇用の流動化=失業と貧困」と悪いイメージしか思い浮かべません。いくらメリットを語っても聞く耳を持ちません。賃金をアップしろ、利益をもっとよこせと不満を募らせながらも終身雇用にしがみつく理由は何故なのでしょう。労働者は何故、合理的な選択をしなたがらないのでしょうか。

渡辺千賀さんが大変興味深いNew York Timesの記事を紹介しています。経済神経学者の記事ですが「将来に恐れを感じていると、人間は現状維持に走り、新しいものを探索する、リスクを取るといった行動は抑制される」ということ。そんなの当たり前じゃないか、と思うかもしれないが、ポイントは「非論理的なまでに」現状維持を図り、「非論理的なまでに」新規探索を拒む」のだそうです。

労働者が転職を恐れ、流動性の高い労働市場を恐れる理由は、まさに「恐れが非論理的な決断を産む」典型的な例である事がわかります。前の記事で触れましたが、終身雇用は労働者に「小さな自己満足」を与えて社内に囲い込む手段であって、労働者が自分の価値に見合った賃金をもらう為の手段ではありません。池田信夫blogで述べられているように、「彼らが自由に企業を移動することを支援する制度が必要」なのですが、それには労働組合の圧力を跳ね返す事ができる強い政治家を待つ事になるのでしょう。

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