資本家の搾取は労働者の幻想(続2)

1月 21st, 2009 Categories: 1.政治・経済

資本家の搾取は労働者の幻想(続)について、A Workeさんから再び反論を頂きましたので以下のようにお答えします。

ご回答頂きありがとうございます。上記コメント1の質問内容が理解できました。販売原価に含まれる労賃の下限は日本でもアジア途上国でも、労働生産性ではなくて(ベーシックインカムのようなしくみが無い場合は)政府が決めた最低賃金によって決まります。最低賃金が低めに設定された途上国では、インフレ等により金額が年1回程度更新されます。これにより、フルタイムで就労した時の最低賃金は、A Workeさんが指摘される「さらなる1日間の労働力の再生産を可能にする原資」に相当するものと思われますから、それ以上に会社の利益の配分を要求する合理的な妥当性は見当たりません。

労働者が生活する最低限の収入を現在の賃金から得ている場合、インフレにより物価が上昇して、労働者が「昨年並みの生活」を維持できなくなったとしても、会社は労働者の生活の質を維持する法律上の「義務」は無い(それは政府にある)ので、春闘などで会社が賃金アップを行う必然性はありません。しかしながら、春闘などでのベースアップは、「政治的に正しい」ので、政府は業界へ政治的な圧力をかけますし、会社も労働力という資産の低下を防ぐ為に「妥協」して賃金アップを認めます。その為の原資として利益が用いられるだけの事です。

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10 Responses to “資本家の搾取は労働者の幻想(続2)”

  1. a worker
    1月 21st, 2009 at 07:37
    1

    まさにそのとおりですよ。政治的にしか労賃は決まらないのです。なぜなら、「労働者が生活する最低限の収入を現在の賃金から得て」いたとしても、それは労働力商品の再生産に必要な額に過ぎないからであって、労働者が労働の成果として産み出した価値ではありません。そこにある差額を奪還するために、政治的に労働者は資本家と交渉せざるをえないのです。搾取された分を取り戻すためには、労働者は団結して資本家と対峙しなければならない。最低賃金でさえ政治的に決まります。それが資本主義というものです。もし搾取の現実がなければ、そんな必要はないのですから。ですから最低賃金以上に労働者が受け取る法的な権利が無いのは当然です。おっしゃるとおりです。それが資本主義社会の法制度だからであり、搾取を法制度が公認しているからです。私はそれはそれで、そういうものだと思いますし、異議を唱えるつもりはありません。

  2. bobby
    1月 21st, 2009 at 11:13
    2

    資本主義社会では、商品の価値は原則として市場が決めます。A Workerさんが仰る「労働者が労働の成果として産み出した価値ではありません」という価値は、誰が決めた価値でしょうか。またその価値は、会社の利益の中のどれだけを占めるかを定量的に示す計算式はあるのでしょうか。

    「政治的にしか労賃は決まらないのです。」というのは、資本主義ではなくて社会主義的な考え方ではないでしょうか。A Workerさんは危惧しておられますが、労働力の客観的価値をつくりたければ、流動性の高い労働市場を創設すればよいのです。

  3. pugpon
    1月 21st, 2009 at 15:18
    3

    Bobby さん、お邪魔します。

    A workerさん
    もし労働者が搾取されていると感じているなら、つまり提供する労働力に対し報酬が不当だと思うなら、単に会社・職業を変えればいいだけの話ではないですか?日本では職業選択の自由があるんですよ。介護・農業・小売業などの人材不足に言及するまでもなく、このことは現象面をみれば明らかでしょう。実際、私もそうしてきたし、周囲の人も同様です。”労働者は団結して資本家と対峙しなければならない”といったことは、いったい誰が決めたのですか?また、最低賃金制度は、政府が労働市場全体をコントロールするために設けたわけではなく、ILO条約を1971年に日本が批准したためにできたわけです。これは、自分の労働に対する対価に対して判別不能なレベルの人を保護するためのセーフティネットみたいなものでしょう。ただ、該当のILO条約第26号はあくまで植民地主義の跋扈する時点でそもそも採決されたもの(1928年)なので、現在の日本にそのまま適用する弊害はあると思いますが。

  4. bobby
    1月 21st, 2009 at 15:50
    4

    Pugponさん

    実際に転職を実行されている労働者の貴重なコメントを頂き有難うございます。A Workerさんを含めて、雇用の流動性を高め、転職し易い労働市場を創設する意見に「尻込み」する方は多いようです。A Workerさんのような労働者がなぜ合理的な判断をしようとしないのかを別の記事に書きました。ご参照頂ければ幸いです。

    http://bobby.hkisl.net/mutteraway/?p=531

  5. a worker
    1月 22nd, 2009 at 19:58
    5

    労働者が搾取されているということ、だから労働者と資本家の対立は不可避だということは書きましたが、変えられる場合にでも「会社・職業を変え」るな、などと言った覚えはありません。職があるなら、変わってもいいでしょう。それは、搾取という一般的な状況に影響を与えるものではありません。個別に満足できる職場に移れて良かったという場合も当然あるでしょう。

    さらに、雇用の弾力化をするな、雇用規制を緩和するな、などと書いたこともありません。

    雇用の弾力化は行うべきです。なぜなら、失業率を低減させる効果があるからです。ただし、そこには条件を課すべきでしょう。労働者の移籍、再就職先の斡旋を現在よりも広範かつ効率的かつグローバルなレベルで行えるようにすること、負の所得税などの革新的な方法によって貧困対策を強化すること、独占禁止を強化して、雇用に対する需要が独占・寡占企業による買い叩き・買いしぶりによって低下することのないような措置を講じる必要があるでしょう。

    別に尻込みしているわけでも、尻込みを推奨しているわけではありません。

    当然、雇用の弾力化、解雇規制の緩和においては、公務員を特別扱いにすることも排除しなければなりません。身分差別を残す合理性がないからです。

    大きな政府が独占資本と結託している状況で、このような改革が可能かどうかは、わかりませんが。

  6. Yajikita
    1月 23rd, 2009 at 01:14
    6

    通りすがりですみません
    a workerさん
    >労働者が搾取されているということ、だから労働者と資本家の対立は不可避

    労働者がいやなら資本家になればいかかですか?
    でも資本家って株主ですよね。大企業の経営者は創業者社長でもない限りほとんど自社株を持っていないので資本家でありません。そういった意味では日本は経営と資本の分離はできています。それにしても日本の経営者の報酬は欧米と比べて少なすぎてかわいそうです。
    資本家になるには株式を買うか自分で会社を興せばいいじゃないですか。
    そのお金かスキルがなければ労働者でいるしかないのでは。ワタミの社長さんそのお金をためるために佐川急便で死ぬほど働いたようです。
    または金融機関などは大きな資本が必要な企業では、専門職が発達して近年では転職しやすくなっています。当然、売れるスキルを身につける必要があります。
    私も転職組ですが自分に価値があれば転職できるのでは?

    >大きな政府が独占資本と結託している状況
    日本でいう独占資本って誰なんでしょう?
    昔みたいに財閥があるわけでもないですし。

    Bobyさん
    私ももう30年以上アレルギー性鼻炎に悩まされております。
    漢方薬鼻スプレーはどこで手に入るのでしょうか。

  7. bobby
    1月 23rd, 2009 at 06:13
    7

    Pugponさん
    仰る通りです。搾取(つまり自分がもらう単位時間あたりの給料が、自分の生み出す付加価値より低い)されていると感じるならば、別の業種へ転職すれば良いのですね。工場ワーカーよりIT技術者の方が(生み出す付加価値が大きいので)何処へ行っても時給は高いですし、夜学に通って新しい技術やスキルを習得する人はたくさんいます。

    A Workerさん
    >労働者が搾取されているということ、だから労働者と資本家の対立は不可避
    コメント、有難うございます。日本の上場企業の配当は、欧米企業にくらべて極めて少ないので、資本家(株主)が利益を搾取しているとは言えないと思います。Yajikitaさんが指摘されたように、多くの社長や役員にしても、欧米のように億に達する金額をもらっている訳ではないので、搾取しているとは言えない。利益の多くは内部留保される理由は、次の設備投資の為と、不況時に吐き出す人件費の為と聞いています。つまり、日本の製造業では、誰も利益の搾取を事実上行っていないのです。私が理解できる労働搾取の実例は、唯一、派遣会社のピンハネくらいのものですが、派遣会社が流行る理由が、企業が仕事量の増減に応じて正社員の人員整理ができない硬直した解雇制度にあるのは皮肉と言えます。

    Yajikitaさん
    コメント有難うございます。仰るように、工場ワーカーでも資本家の仲間入りする方法がありますね。自社の株を買えば良い。自分の会社が上場していなければ、上場している主要取引先の株でも良い。株主配当をもらえば、だれでも立派な資本家の仲間入りができて、喪失した(と感じている)労働者の搾取を取り戻す事ができますね。

  8. a worker
    1月 23rd, 2009 at 08:04
    8

    「日本の製造業では、誰も利益の搾取を事実上行っていない」
    そのとおり、誰も意識して搾取なんて行っていません。別に日本企業に限定する必要はありません。内部留保に回すにしろポケットに入れるにしろ、そんなことは問題ではありません。商品生産社会の仕組み自体が搾取を内包している。

    「工場ワーカーでも資本家の仲間入りする方法がありますね」
    というのは正しいです。しかし、「工場ワーカー」と「資本家」の区別を前提にしている。それは商品生産社会だからですよ。そして、「工場ワーカー」でも、実質的な資本家としての権利を有効に行使できるまでの大株主となれば、その時点で彼は事実上「工場ワーカー」ではもはやなく、「資本家」になってしまう。被搾取者か搾取者しかなりえない(形式的にではなく、実質的に)。なぜ、そうなのか、資本主義社会だからですよ。

    ところで搾取があるから、資本主義をぶっ壊せなんて、私は言っていません。労資の対立は多かれ少なかれ不可避だ、と言っているだけです。利害の対立は否定できませんから。

    有効な労働者保護策、就職先の斡旋ネットワークを充実させるなら、独占禁止の徹底、競争推進政策がなされるなら、解雇規制の緩和は大賛成です。大きな政府と大企業べったりの自民党にそれができますかね?

  9. Yajikita
    1月 23rd, 2009 at 16:23
    9

    >「工場ワーカー」と「資本家」の区別を前提にしている。
    日本は従業員持ち株会なんて制度があるのであんまり区別されていないのでは?会社はだれのものかなんていう論議もあるぐらいですし。
    >大きな政府と大企業べったりの自民党にそれができますかね?
    独占資本=大企業ですか?
    自民党=大企業べったり、だとしたら民主党=組合べったりなのかな?

    お隣の国ですが、会社は従業員のものだと言ってストを打って経営者を閉めだしたりして資本の出し手である中国の自動車会社にさじを投げられてつぶれた双竜自動車っていうのがあります。労働者が会社を搾取した例でしょうか。

  10. a worker
    1月 24th, 2009 at 08:14
    10

    「日本は従業員持ち株会なんて制度があるのであんまり区別されていないのでは?」
     区別しているから、持ち株会なんてものがあるんでしょ。区別がないなら、株を買う必要ないでしょう。
     極端な例で言えば労働組合が株式を全部買い取る場合がありますね。これはいわゆる労組の自主管理やサンジカリズムですが、これは、そういう経営形態が社会的に広がらないと、結局は今までの労組幹部が資本家になるだけの結果になるでしょう。長続きしない。資本主義社会でそういう形態が成功するには、労働者の側に圧倒的な政治的な力が不可欠となるでしょう。別に私はサンジカリストではありませんから、資本主義を変えろとは思いません。

    「会社はだれのものかなんていう論議もあるぐらいですし」
    会社は株主のものですよ。だから区別がある。それが資本主義です。

    「自民党=大企業べったり、だとしたら民主党=組合べったりなのかな?」
    まったく、そのとおり。民主党の一部はそうですよ。
    だから、民主党になっても雇用規制の緩和なんてできないでしょう。政界再編が必要です。

    「お隣の国ですが、会社は従業員のものだと言ってストを打って経営者を閉めだしたりして資本の出し手である中国の自動車会社にさじを投げられてつぶれた双竜自動車っていうのがあります。労働者が会社を搾取した例でしょうか」
     共産党が労働者の国だと言って社会主義思想で洗脳しておきながら、他方で極端な資本主義化の経済政策をとって労働者・国民を騙した結果の混乱でしょう。別に私は共産主義者ではないので、中国共産党に騙された労働者の味方はしませんよ。悪い共産主義者・特権階級に騙されただけでしょう。自民党や財界に日本人が騙されて税金を湯水のようにムダに使われてきたのと大差ないかもしれませんが。
     とにかく、労資の間に利害対立がないなら、労働組合も貧困対策もみんな無用ですよ。
    利害対立を認めた上で、どうするかが重要なのでしょう。ILO条約がどうのと言っている人には、ILO設立の経緯に、以下の文言があります。

    There was keen appreciation of the importance of social justice in securing peace, against a background of exploitation of workers in the industrializing nations of that time.

     労資の利害対立を否定し、労働運動と労働組合の歴史的な存在意義を否定するなら、女工哀史を正当化することになってしまいますよ。というか、そういう脳天気な資本主義ハッピー史観で洗脳しようとするのが、資本主義の政府のやり方なわけで。現実は、利害対立の世の中なのに。

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