資本家の搾取は労働者の幻想(続)

1月 18th, 2009 Categories: 1.政治・経済

資本家の搾取は労働者の幻想について、A Workerさんから反論を頂きましたので以下のお答えします。

>「そうでなければ、労働者にはそのような権利はまだ無いといえます」
この件は私の勘違いのようです。私はA Workerさんが、労働者が自由に転職する権利(上記のその前の段落)について言及されているのかと思いました。A Workerさんが指摘されたもとの文脈に沿って改めてお答えすると、19世紀であろうと、労働三権が認められている現在であろうと、労働者が利益配当を求める法的な権利は今も無いと思います。労働三権は会社へ賃上げ要求を保障する権利でもありますが、これは会社に利益があろうとなかろうと交渉する権利を保障しています。故に、労働者の賃上げ要求の権利は、利益配当を要求する権利とは異なるものです。もし私の理解が間違っているようであれば再度ご指摘ください。

>搾取は幻想ではありません。...労働力商品の価格(賃金)と現実に労働者が産み出した労働の対価との差額がムダに使われた花火なのです。

この件については、A Workerさんと私にはかなり基本的なところで価値観の相違があるのかもしれません。会社が生産して販売し利益を生み出すとき、労働者は単なる生産手段の一部です。単純化すると、販売した金額から販売原価を差し引いた利益(付加価値)は原則として会社(経営者(役員報酬)と株主(配当))で分けるものと考えています。会社が利益をどれだけ社内留保しても、それは労働者からの搾取ではない、というのが私の意見です。

ただし、会社が利益をあげた場合、労働者からの賃上げ要求圧力は当然高まるでしょう。会社が譲歩して賃上げに応じた場合、これは労働者に逃げられたり、生産が止まったりする事を危惧する経営者の「妥協」にすぎません。
賃金が低止まりしている理由は、終身雇用に頼る労働者自身の選択によるものですから仕方がありません。

>再就職が可能な場合もあれば、そうでない場合もあります。それは必ずしも本人の才能だけに依存して決まるわけではありません。

労働者が離職してから次の会社に入社できるまでの期間、蓄えが尽きたり病気にかかったりした場合の為に、生活保護があります。その件については、こちらの記事に書きましたのでご参照ください。また、ある特定の場所に就職先がなくても、別の場所に移動する事で就職は容易になります。終身雇用が定着する前の日本では、職を求めて国内を移住する事は普通でした。

>労働法制が整備されていくことでしょう。それは企業が与えてくれるものではなく、自ら労働者が要求すること

中国では昨年1月に(日本に良く似た)労働法が整備されました。これは労働者ではなく政府の要求によるものです。現代の途上国では、国が発展すれば労働者が団結しなくても労働環境は政府によって整備されてゆくようです。

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3 Responses to “資本家の搾取は労働者の幻想(続)”

  1. a worker
    1月 19th, 2009 at 07:55
    1

    「故に、労働者の賃上げ要求の権利は、利益配当を要求する権利とは異なるものです」
    労働者が資本家ではないという意味で、これは正しいと思います。

    「販売した金額から販売原価を差し引いた利益(付加価値)は原則として会社(経営者(役員報酬)と株主(配当))で分けるものと考えています」
    販売原価に含まれる労賃は労働力の代金です。労働力は労働する能力のことであり、労働者を食べさせて労働者自身を再生産するのに必要な価格です。つまり、必ずしもその労働力を行使した結果生まれた価値とは限りません。もしそうでないなら、労働者の要求に「妥協」して賃上げ要求に応える原資はないはずになります。労働者が賃上げを要求すること、それに資本家が「妥協」する余地があることとは、結局一緒のことで、両者避けることのできない不可避の、必然的なことなのです。

    中国では暴動や争議が多発しているのではありませんか。政府による労働法整備もそれに対応するものでしょう(そうでなければ、今になって整備する必要があるとも思えません)。しかし、政府に頼っても、根本的な解決にはなりません。労働者は幻想を抱かない方が良いでしょう。資本家も政府の「改革」がリバタリアン的な自由主義を推進するなどと、幻想を抱かない方が良いでしょう。なぜなら、政府は独占的・寡占的な企業を優遇することによって、天下り先の確保、政府の権力と裁量の範囲を拡大しようとするからです。

    私は旧左翼のように、労働者は搾取されているから政府の介入を増やすべきだとは考えません。雇用関係の弾力化、柔軟化は必要だと思います。終身雇用にこだわっている労組の主張は非現実的です。他方で、スムーズに離職・再就職を支援するようなネットワークをより充実することが、新しい雇用関係に移行する上では必要となると思います。単に解雇を自由化するだけでは、新しい段階に進みたくても進まないでしょう。ソフトランディングを狙わなければ、成功しません。

  2. bobby
    1月 19th, 2009 at 11:37
    2

    A Wokerさん

    以下の意味が良くわかりません。
    「販売原価に含まれる労賃は労働力の代金です。労働力は労働する能力のことであり、労働者を食べさせて労働者自身を再生産するのに必要な価格です。」
    販売原価に含まれる労賃には、労働者の衣食住に必要な経費が含まれてると、そういう意味で仰られているのでしょうか。この点を明確にしてから、次のコメントを書きたいと思います。宜しくお願いします。

  3. a worker
    1月 20th, 2009 at 19:50
    3

    「労働者の衣食住に必要な経費が含まれてる」
    少なくとも、1日の労働力の代金は、さらなる1日間の労働力の再生産を可能にする原資とならなければ、労働者は餓死するという意味で、そうです。

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