賃金原資が一定だと雇用数は増えるか?

1月 17th, 2009 Categories: 1.政治・経済

桜チャンネルで、池田氏の「賃金原資が一定」という説明に突っ込んでくる意見が多いようです。私は「ロジックを明確にするための仮定」は当然の事であるとおもいます。その辺のところを私なりに考察してみました。

利益の算出は単純化すると販売額、間接経費、販売原価(製品在庫、仕掛品在庫、製造原価(直接材料費+製造費+直接人件費+間接材料))という変数の組み合わせで下記のような計算式になります。
production-cost-for-china-account-2008-01-12.jpg

販売額(生産量)と、人件費を含むその他の販売原価の変数が一定と仮定すると、直接人件費の単価(賃金)が下がれば、雇用可能数は当然大きくなります。

あるモデルを数式化してシミュレーションする場合に、池田氏が述べられたように「ロジックを明確にするための仮定」は、当然の事です。もしこれに突っ込みたければ、どの変数をどのようにいじるかを明確にするべきです。そうでないとシミュレーションできません。

次に、シミュレーションではなくて、現実世界で直接人件費の単価が下がった場合の影響について、私の経験から考えてみました。ただし、販売額(生産量)は直接人件費単価が下がる前と後で変化しないものとします。

日本国内のように直接人件費が高い場所で生産する場合、工場は利益を確保する為に、経営者から生産現場へ、直接人件費予算を抑制する圧力が高まります。つまり、生産現場で本来必要とする人数を確保できず、少ない人数で無理して作業するなどの状況が常態化しています。

このような状況で直接人件費の単価が下がると、雇用できる労働者枠が(本来必要とされる人数まで)増えるというロジックは成り立つでしょう。つまり現実世界でも雇用数は増える可能性が高いのです。

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4 Responses to “賃金原資が一定だと雇用数は増えるか?”

  1. 小泉
    1月 19th, 2009 at 04:38
    1

    はじめまして。池田信夫先生のblogから来ました。

    私は池田先生の主張が正しく、賃金原資が実際に変化している云々ということはその主張の本質を変えないだろうと考えていますが、私自身の理解にはおぼつかないところもあり、理解を深めるための議論をしたいので、この記事にコメントさせていただこうと思いました。(池田先生の元記事のコメント欄は単純に場違いであることと、私が考えていることが枝葉末節に当たる部分なので、混乱を助長しそうだと思い避けました)

    本題に入ります。元記事で話題になっている、賃金原資一定の仮定が成り立つのか、または成り立つかどうかは本質的な問題なのか、という議論ですが、私は次のように考えています。

    1)池田先生の主張にとって、賃金原資が「時間的に一定」である必要はない。問題になるのはある時点での企業の行動決定に解雇規制の存在がどう影響するかということなので、賃金原資が時間的に変化しているかどうかはその議論には関係ない。

    2)(言うまでもないけれども)ある企業の賃金原資が、需要の後退によって減少し、その結果「1000万円の労働者を首にしても500万の労働者が2人雇用されない」事態が生じたとしても、それはその企業が「過剰な賃金原資を適正値に修正する」作業を行っただけのことで、解雇規制緩和の有効性とは別問題である。(例の番組で司会者が混乱したのはこの点だと思います)

    私が今気になっているのは(1)の考えが正しいかどうかです。これがもし正しいとすると、番組で池田先生が「時間的にも一定になっている」ということに言及したことが、その時間的一定性が先生の主張にとって必要条件であるという誤解を招いたのではないかと考えています。

    記事内容と直接対応しないコメントで申し訳ないのですが、上の疑問を書き込むのにふさわしい場所がほかに見当たらないので書き込みさせていただきました。記事内容に直接関係のない話ですから、興味がわかなければ返信は不要ですしそれを期待するわけでもありませんが、もし興味とお時間があればご意見をいただければ幸いです。長文失礼しました。

  2. bobby
    1月 19th, 2009 at 11:59
    2

    >小泉さん
    コメント有難うございます。上記1は、雇用原資という変数を意図的に一定にキープしようとしたのだと思います。

    池田先は桜チャネルの中で、労働者の賃金単価が下がれば雇用数が増える事を、単純な数式モデルで説明したかったのだが、両隣の方々は数学的素養が低くて、池田先生が数式モデルの話しをしていると気づかなかったのでしょう。

    あるいは池田氏の意図を汲み取り、その単純モデルの弱点である「不況下では賃金原資は減少の一途をたどる」という点をついて、池田氏の説明の要点を意図的に不明瞭にしようとしたのかもしれません。

  3. 小泉
    1月 19th, 2009 at 22:44
    3

    >Bobbyさん

    返信ありがとうございます。

    両隣のお二人の数学的、あるいは科学的素養の問題もあるのでしょうが、私はそれと同時に口頭での議論というのがコミュニケーションの手段として不十分であるという感想を持ちました。(ついでにいえば、ブログコメント欄や掲示板に書き込むという方法も不十分だと思います)経済学や自然科学の問題について明瞭な議論をするのは、例えば黒板やホワイトボードの前に立ち、お互い図や数式などを書きながら疑問点を詰めていく、というようなやり方でないと難しいのでしょうね。

    また、Bobbyさんのいうような、
    >池田氏の説明の要点を意図的に不明瞭にしようとしたのかもしれません。

    ということも実際にあると思います。つまり彼らの反応は、池田氏の議論を十分に理解する素養の不足と、氏のような主張を否定したがるバイアスとの両方の結果だと思っています。そのような反応に対して、池田blogのコメント欄では司会者たちの不見識をなじるような声も聞かれますが、このような「素養の不足と、否定的なバイアスを両方持った聞き手」と議論しなければならないシチュエーションは現実に数多くありますから(もちろん私自身がそのような聞き手になることもあるでしょうし、それが特別責めるべきこととも考えません)、そのようなシチュエーションで建設的な議論を行いやすいようなコミュニケーションの方法が採れれば良いなあ、という感想を持っています。

  4. bobby
    1月 20th, 2009 at 00:02
    4

    >小泉さん
    >済学や自然科学の問題について明瞭な議論をするのは、例えば黒板やホワイトボードの前に立ち、お互い図や数式などを書きながら

    池田先生のコメント欄で提案したように、A4横のプレゼン用紙芝居を用意すべきだったと思います。あるいはパワーポイントによるプレゼンか。

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