TPPと日中韓FTAの相互関係

4月 9th, 2013 Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ

米国主導の通商協定であるTPPについて、日米政府間で事前協議がまとまったようです。TPPでは、「交渉にすら参加するべきでない」という不思議な意見が議員や民間の中に多くあり、大きな違和感をもって様子を眺めておりました。それが安倍政権になって、やっとまともな方向へ舵取りができるようになり安心しています。

TPP日米事前協議で合意…7月にも交渉参加へ

ところで、TPPは日本の輸出入産業とってどれほどのメリットがあるのでしょうか。日本から見たTPPにおける主要な大市場は米国だけです。米国の景気は上向きのようですが、民間の極端な消費傾向がみられなくなった現在、米市場はそんなに魅力的なのかという疑問があります。おおきな下請構造をグローバルに展開している自動車や電機メーカーにとって、生産国としてマレーシアとベトナムしか交渉参加していないので、どれほどの利用価値があるのかもやはり疑問です。

やはり日本がTPPに参加する真の目的は、米国の対中政策という政治的な目的が強いのではないかと感じられます。

その一方で日中韓FTA交渉がつい先日、3月28日に行われたようです。こちらの方が、自動車・電機・鉄鋼など製造メーカーにとってはより関心の高い通商交渉ではないかと思われます。日本のグローバル製造メーカーが工場を展開している中国とASEAN諸国には、中国主導でACFTAが存在しており、以前に書いた「中国が仕掛た東アジア経済ブロック圏」(ここをクリック)で紹介したように、参加国間の関税はかなり下がってきています。このACFTAにとって重要だが除外されているのが日本と韓国です。日本と韓国は、このエリアにたくさんの工場をもっていますが、ACFTAでは日本と韓国は商品を経由する事しか許されていません。

しかし日中韓FTAが成立すると、日本・韓国から中国工場へのコア部材の輸出の関税がゼロまたは低減され、製品のコストをより低減させる事ができます。また、中国工場で製造した製品をASEAN諸国へ無・低税率で輸出する事もできるようになります。

最終的に日中韓FTAがACFTAに融合すると、東アジア経済圏の下地のようなものが出来上がるのではないでしょうか。

ところで、日中韓の国家間関係はかならずしも良好とは言えません。そんな状態で、日中韓FTAの交渉がまとまるのでしょうか。そこで鍵になるのがTPPの交渉です。日中韓FTA交渉とTPP交渉は相互に影響を及ぼし合っているようです。米政府はTPPを中国に対する牽制に使いたいようです。中国から見ると、日本が米国に取られる前に日中韓FTA交渉を早く成立させたいようです。そういった綱引きをうまく利用して、日本政府は通商および外交的な政策を進めるべきではないか思いました。

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