南部美人は「しずく酒」

8月 6th, 2004 Categories: 日本酒

日本酒の会は毎月あるが、鑑評会出品酒を持参される蔵元さんは少ない。今回、南部美人の五代目蔵元である久慈さんは、モンドセレクションで金賞を受賞されたものと同じ、特別な大吟醸酒を持ってこられました。さて、それはどんなお酒だったのでしょうか。

7月28日の記事で予告しましたが、今回の日本酒の会は、岩手県二戸郡にある南部美人の久慈浩介さんが来られ、6種類のお酒の味を楽しみました。

久慈さんは、エネルギー溢れる方でした。まずは下の写真をご覧下さい。

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試飲したお酒を、順番に紹介します。

1.南部美人 特別純米酒
2.南部美人 純米夏のにごり酒
3.南部美人 純米吟醸
4.鑑評会出品酒大吟醸
5.南部美人 純米大吟醸
6.南部美人 オールコージ

試飲した6種類のお酒の中で、特に印象に残ったものは4つです。

●特別純米酒は、今日のお酒の中で一番手ごろな値段かと思いますが、私が座っていたテーブル(8人くらい)では、6つのお酒の中で、いちばんの人気でした。お米の味と香りが十分に味わえるお酒だからでしょうか。(次回は、ぜひ本醸造も出してください)

●純米夏のにごり酒は、5月にしぼったお酒を7月に新酒のにごり酒として出すので、とてもフレッシュな味のにごり酒です。極めて僅かに、発酵が終わったばかりの炭酸の苦味が感じられました。これがフレッシュ感を引き立てているのでしょうか。(私は、冬の濃厚な味のにごり酒を、冬の室温で、ゆっくり飲むのが好みですが)

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●オールコージは、古酒に近い色合いと味わいでしたが、これまで飲んだ古酒にはない甘さがありました。普通の日本酒は麹2割と白米8割でつくるのだそうですが、オールコージは麹10割でつくり、さらに低温で1年熟成させるそうです。小さめのグラスに氷を入れてロックで飲むのが久慈さんのお奨めでした。古酒のクセが苦手なひとはこうすると飲めますね。(紹興酒をクラッシュアイスで飲むと飲み易くなるように…)ところで私は、こってりした味も好きなので、ストレートでも頂きました。もう少し甘さを強く出来れば、ポートワインのような食後酒になるかもしれませんね。久慈さん、今後の研究に期待しています。

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●さて、4番目に出た鑑評会出品酒大吟醸です。もったいぶって、あえて最後にもってきました。久慈さんいわく、このお酒はもろみをしぼっていません。もろみをしぼると、雑味が混じるので、鑑評会へ出すお酒はもろみをしぼる事はしないのだそうです。

ではどうするかというと、袋の中に入れたもろみを上から吊るして、もろみ自身の重さで分離して落ちてきたお酒を、「しずく酒」として集めたのがこのお酒だそうです。

ひとつのタンクから、普通は2000本くらいのお酒がとれるのだそうですが、この「しずく酒」は40本しかとれません。なんて贅沢なお酒でしょうか。今回のしずく酒のボトルは、仕込み57号タンクからつくられました。

みなさんにも、このお酒を良く見ていただくために、ボトルをアップで撮って見ました。ご覧下さい。

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それほど貴重な大吟醸「しずく酒」を、いよいよ味わってみましょう。

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まずは、しずく酒をぐい飲みグラスに入れて、口元へもってきます。

グラスの口が鼻先へ3センチくらい近づいたところで、すばらしい香りが漂ってきました。それも、ほんのりとではありません。常人の私ですらはっきりわかるほど、強く香ってきました。純米大吟醸の香りをもっともっと強く、そして更にすがすがしくしたような感じでしょうか。あるいは、お酒の香りというより、花の香りでとでも言うのでしょうか。(稚拙な表現ですみません)

では、しずく酒を一口、口に含んでみましょう。

うーん、口中が花の香りに満たされたようです。こんなのは生まれて初めての経験です。これはもはや、花の香りのお酒とでも言うのでしょうか。香りが舌の上に広がり、ゆっくりと香りが薄くなってゆきます。そして最後に、さわやかな甘さが残りました。

1本しかない「しずく酒」を、2杯も頂いてしまいました。ちょっとしか飲めなかった方、ゴメンナサイです。

久慈さん曰く、「しずく酒」は日本酒度+5で明らかに辛口のお酒ですが、グルコース濃度が高いので、実際に甘味もあるのだそうです。

ところで、この「しずく酒」は非売品なので、全国どこの酒屋でも買えません。岩手県二戸市にある南部美人の蔵へ見学に行けば、しぼりたての日本酒が飲み放題だそうです。もしかしたら「しずく酒」も味わえるかも...

(次回の日本酒の会は、にんにく屋和三郎さんで、9月2日です。島根県の李白さんが、大吟醸や花酵母でつくったお酒などを持参されるそうです。レポートをご期待ください)

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