中国会計における生産原価の算出方法

独資で進料加工を行っている輸出加工メーカーと、国内販売を行っている全てのメーカーでは、毎月の納税金額の算出の為に、会計では生産原価を算出する必要があります。日本から財務管理者が来て指導している場合は別として、現地の総経理が会計作業を現地の担当者に一任している場合には、私の経験では、10人中8人か9人は下記の方法(あるいはこれの簡易版)で行っていると思われます。

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この表だけを見ると、当たり前の計算式のようですが、下記の点に注意が必要です。

●在庫評価単価の問題

完成品在庫金額・仕掛品在庫金額・材料在庫金額の単価は、だれが、いつ、どのようにして作成し管理しているか、単価の作成と更新をしている実担まで追跡してあなたの目で確認する必要があります。管理責任者はしばしば、古い情報に基づく思い込みで解答する場合が少なくありません。

●在庫数量の信憑性

月末の実地棚卸を毎月の月末に行っていない会社がけっこうあります。そういう会社では、会計監査の為に1年に1回(年末)だけ行っています。つまり、年中の月末在庫数量は机上の理論値ですので、 実際の数量と異なっていると考えた方が無難です。

●倉庫の物理在庫と会計の月末在庫で入出庫の基準が異なる

倉庫の入出庫は物理的な出入りを基準に在庫数量を管理しますが、会計の場合には購買請求書の受領と販売請求書(発票)の発行を基準に在庫の数量を管理します。そこで、以下のような差が発生します。

末締め翌末払いの支払条件で(国内納品する転廠のケースで)売りの発票を発行している会社の場合、出荷日と請求日が一月ほど月ずれします。この場合、会計の在庫引落としは売りの発票の発行後であるので、物理在庫と会計在庫に大きな差が生まれます。このような処理を行う理由は、中国におけるもともとの発票(請求書)のコンセプトに代金後払い(信用取引)のコンセプトがなかったからではないかと推測しています。この場合の対処法として、売りの発票は出荷月に発行し、別に売り掛け管理表を作成して支払い入金の管理するように社内の管理方法を変更する事で改善できます。

●仕入れていない商品は販売できないという理屈による在庫差の発生
販売会社では仕入れ業者から請求書(発票)をもらうまで、客先へ売りの発票を発行しない処理を行う人がいます。この理由は、「仕入れてないものは売れない」という理屈です。このような場合の対処法として、業者から請求書(発票)を受け取っていなくても仕入れの仮計上を行うように社内ルールを変更することで改善できます。

ちなみに生産原価の計算方法を社内で変更する場合には、財政局へ届出が必要になります。大きな影響が出る場合には、原則として年初である1月のはじめに届け出る事になります。変更を行う場合には、御社の監査法人に相談して下さい。
文化の差により、意外なところに落とし穴が発生します。くれぐれも気をつけてください。

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