労働者に配当は間違い

1月 11th, 2009 Categories: 1.政治・経済

昨年流行ったノンワーキングリッチという言葉について、小倉秀夫氏が池田氏に噛み付いています。池田氏は「働かない高齢高給管理者」と「若年労働者」の世代間闘争と位置づけているが、現実をみれば「有産階級」と「労働者」との階級間闘争であろうと。ところで小倉氏は基本的なところで大きな間違いをされています。

労働者が受け取る配当(給与等)の総計は約6兆円減少したのに対し、この期間株主が受け取る配当の総計は約9兆円増加しています。

労働者の給与は企業にとって経費あるいは生産原価の一部です。会社法によれば配当を受け取るのは株主だけです。企業は資本金があって始めて起業でき、労働者を雇用し、運営できます。その資本金の所有者が株主です。労働者が生産性を上げられるのは、有能な経営者がいるおかげであり、経営者を任命して企業活動に必要な原資を供給しているのが株主です。生産性が向上して利益が上がった時に、株主がより多くの配当を得るのは資本主義社会のしくみとしては当然です。資本主義の恩恵の中で暮らしている小倉氏が、それに対して文句を言うのは「天に唾吐く」のと同じ事ではないでしょうか。

もし、利益の「配分」は労働者の権利だというのであれば、労働者の雇用契約は企業の業績に連動した賃金体系を明示しているのでしょうか。利益を配分する、しないは企業のオプションだと思われます。そのかわり労働者には辞めるというオプションがありますね。

池田氏によれば、バブル崩壊以降に日本の経済を支えてきたのは輸出企業です。それら企業の利益の大部分は、低賃金で働くアジア工場から吸い上げたものと、安い日本円による好調な売り上げが主であって、国内労働者の生産性が上がったからではありません。

まとめると、利益が上がったから労働者も「配当を増やせ」という考えも、利益の主因が国内労働者にあるという事も、小倉氏の間違いです。しかし、弁護士先生が「配当」の定義などという基本的な間違いを犯す事は考えにくいですから、派遣村の人達を「かわいそう」としか見ないようなナイーブで世間知らずのイナゴを釣るのが目的なのでしょうか。

蛇足1:

池田氏はノンワーキングリッチと表現していますが、小倉氏はノーワーキングリッチとしています。意味はわかりますが、せっかくなので正確に表現された方が良いと思います。

蛇足2:

労働者には持ち株会があって、労働者も株主として配当を受け取るしくみがあります。多くの大企業には持ち株会がありますから、株主への配当を一方的に非難するのはどうかと思います。但し、派遣や契約社員など非正規労働者は除外されていると思います。

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