電機メーカーの生存条件

1月 13th, 2013 Categories: 1.政治・経済

国土の狭い日本には、大手とよべる電機メーカーが8社(三菱・東芝・日立・パナソニック・シャープ・ソニー・富士通、日本電気)もあり、どこかのメーカーが付加価値の高い新製品を開発してもあっという間に競争相手に真似されて混戦となり、短期で価格競争が始まって利益率が低下してしまうという事を繰り返して来ました。それでも以前は、海外市場で稼ぐ事で収支を合わせる事ができましたが、欧米先進国の長期的な不況と韓国・中国メーカーの台等によって海外市場で稼ぐ事が難しくなり、いまや業界再編の危機を迎えています。

家電や携帶電話だけではありません。IT関係を含めると、大手と言われるセットメーカーは更に8社(キヤノン・エプソン・ブラザー・リコー・沖電気・カシオ・京セラ・コニカミノルタ)がしのぎを削っています。1つの国に、グローバルに名の知れたメーカーがこれほどある国って、他にあるでしょうか?たとえば北米の場合、新しい市場が生まれると雨後の筍のように沢山の企業が生まれて競争を初めますが、買収による統合を繰り返し、最後は数社による寡占状態で安定します。(今の中国はある意味で日本に似た混戦状況になっています。家電からIT機器まで含めた多数の大手のセットメーカーが戦国時代さながらに競争していますが、中国の場合は広い国土に13億人という市場があり、日本とは単純に比較できません)

先日、私はブログでソンビ企業は間引くべしと書きました。これは国内の狭い市場に大手メーカーが沢山あると、常に過当競争が生じて大企業といえども利益体質を維持し難いので、市場原理か政府の誘導で整理統合して、1つの市場ごとに数社程度の大企業へ収束させる事が、短期的には数社による寡占状態で経済を安定させる事ができ、中長期的にはゾンビ企業を退場させて新興企業が大企業へ成長する事で経済成長(GDPのゲインをかせぐ事が)できるという趣旨でした。

しかし、先の記事のコメント欄では、大企業は1社で数万人の雇用があり、下請け孫請けを含めると経済と雇用に大きなインパクトを与えるという意見も多く見られました。そこで、自力再生可能な電機メーカーの生き残り戦略について考えてみました。

日本の電機メーカーは戦後の初期、いまの中国メーカーのような「安かろう悪かろう」戦略でバンバン輸出して稼いでいましたが、じきに品質改善に成功し、安いけど良い品質で信頼を得て、海外でどんどん売れて外貨を稼げる(GDPアップに貢献できる)ようになりました。企業力がアップするにつれ、品質が良いだけではなく、同じ値段でより高機能という戦略で欧米先行メーカーの市場を食う事で成長して来ました。そして最終的は、高いけど品質・デザイン・機能ともに市場で最高レベルの製品を売るようになりました。こう言うと聞こえは良いですが、実際のところは高機能の高い商品しか作れなくなっていたのです。ところが、サムソンに代表される韓国メーカーは、かつての日本が「同じ機能なら安い」、「同じ値段ならより高機能」で売れるようになった為に、日本の電機メーカーはアドバンテージを失ってしまったと言えます。

日本の電機メーカーが韓国に負けた原因はいくつもあると思いますが、主要な理由の1つは、日本の電機メーカーの主戦場は1億2千万人の国内市場であり、商品開発も国内優先であり、国内向けに開発した製品の中から適当なものを海外向けに焼き直して「ついでに」販売していたのに対して、韓国メーカーは輸出先ごとに市場に適した製品開発を行ない販売していました。韓国は国内市場が小さいので、サムソンやLGのようなグローバル企業は製品開発を国内市場優先で行う事ができず、結果としてそれが功を奏したと言えるのではないでしょうか。

たとえば中国市場では、日本のデジタル家電はハイエンド商品しかありませんが、サムソンは売れ筋のボリュームゾーンからハイエンドまで広い価格帯で製品を投入する事が出来ていました。中国でオリンピックが開催された2008年、液晶テレビが爆発的に普及ししましたが、サムソンは中価格帯の液晶テレビを投入して市場シェアを大きく伸ばしました。それを見ていたパナソニックは「アジア向けの安い商品を開発するには最低数年が必要だ」というような事を言っていたのを覚えていますが、その時点で既に遅すぎました。

日本の電機メーカーが生き残る為には、アジア・アフリカ・南米の途上国を主戦場として定め、各市場のボリュームゾーンに適した安価で(それなりに)品質の高い製品開発と製造を行う事が、必須条件ではないかと考えます。

いくら過剰な品質や機能があっても、市場のボリュームゾーンで売れなければ、大企業として収益を維持する事はできません。それでは雇用も維持できません。ならば日本国内向けのハイエンド商品開発は子会社へ分離するなどして、あくまでニッチ市場として扱い、大企業本体はいかにして世界のボリュームゾーンから利益を得る事ができるかに専念するべきです。

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