工場ワーカーの真実を見よ

1月 10th, 2009 Categories: 1.政治・経済

昨日の記事に対して、小倉秀夫さんからリプライ記事を頂きました。予想通りいくつかの「間違い」をされているようです。

1つ目は、1万円ワーカー(ベーシックインカムとあわせて6万円)の生活レベルが悲観的過ぎます。前の記事に書きましたが、工場が衣(制服)食(3食)住(社員寮)を全額負担しますので、物価がベトナム並みにならなくても生活には困りません。但し、ベーシックインカム導入の為に農業の補助金などを廃止しますので、中国産の肉や野菜が輸出価格+輸入業者のマージンだけで、かなり安価に輸入されそうです。ですから、食に関する限り、物価は(ベトナム並みとは言いませんが)かなりやすくなりそうです。

2つ目は、工場ワーカーの購買力を低く見積もり過ぎています。1万円ワーカーの場合、独身者の可処分収入は6万円です。月収6万円のほぼ全額を自由に使う事ができます。ワーカーどうしで結婚して家族寮へ移れば、共働きで毎月12万円が、子供が2人生まれれば月額21万円(母親が専業主婦として家庭で育児を行う)が可処分収入です。無駄遣いしないで貯金するか月賦販売を利用すれば、パソコンも大型液晶テレビも中古の自動車も買えそうです。

3つ目は、日本全体の購買力を低く見積もり過ぎています。工場ワーカーの賃金は1万円と言いましたが、事務管理職やエンジニア、プログラマなどは、その生産性の高さに応じて高い賃金をもらいます。たとえば大企業で新製品を設計するエンジニアや、産業デザイナー、プログラマなどハイテク職種は、今よりずっと高い賃金になっているでしょう。これら職種の現在の賃金が欧米に比べて低いのは、工場ワーカーが、その低い生産性に見合わない高い賃金をもらっているからです。ホリエモンも述べているように、高い創造性や付加価値を生み出す少数の高能力職種のホワイトカラーが、未来の日本の経済を牽引するのです。

4つ目は、治安の悪化について悲観的過ぎる事です。これは前の記事で引用したベーシックインカムの実現可能性に書いた身分証明カードの導入により、治安の悪化を効果的に抑止できます。日本国民と中・長期に滞在する外国人はすべて、背番号付きの身分証明ICカードの取得と常時携帯を義務付けます(私が住む香港をモデルにしている)。香港の例をみれば、身分証カードは治安維持に非常に有効です。警察官が路上で職務質問する時、身分証明カードで住所氏名職業その他を即時照合でき、顔写真や指紋確認ができますから、身分を偽る事が困難になります。そして、就職時、銀行口座作成時、不動産契約時、長距離移動交通機関の切符購入時や長距離移動時に身分証明カードの確認を実施すれば、不法入国者、ヤクザ、マフィア、窃盗犯、殺人犯などを効果的に摘発でき、手配中の犯罪者の逃亡を困難にする事ができます。また、やくさ組織に「加入するだけで違法」と法改正する事で、組織犯罪の抑制に大きな効果が期待できます。

20世紀後半から進行したグローバリゼーションにより、名だたるメーカーは主要な生産工場をアジアへ移転させ、それら工場から吸い上げた富の蓄積により国内工場とワーカーの延命を図ってきました。日本で生活している人は、小倉秀夫氏を含めて、その事実が見えていない。日本メーカーが、本当は国内工場は不必要だが、しかたなく稼動させている事を理解していません。国内工場の正社員ワーカーと派遣ワーカーは、海外工場の富で賃金補填されて来たのだという事を、いまこそ認識すべきです。真実は何かといえば、メーカー経営者の心の奥底では、国内工場そのものを切りたいという欲求が湧き上がっているのです。

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One Response to “工場ワーカーの真実を見よ”

  1. bobby
    1月 19th, 2009 at 14:28
    1

    小倉さんからリプライ記事を頂きました。素人のTBにお答えいただき、有難うございました。

    >我が国は、これらの資源を国際相場で調達しなければならない
    中国・ベトナム・タイなどの発展途上農業国で、ジャポニカ米(日本と同じ丸いお米)や日本向け野菜や穀類を大規模に栽培して輸入し、国内のローエンド消費市場へまわせば良いのです。(逆に、高所得層の為に現在のような価格帯の市場を維持します。)

    >その分労務コストが上昇しますので、ダンピング競争には勝てないと
    途上国の工場地帯でも寮を立てて労働者の食住を供給しています。条件はかわりません。

    >日本の工場労働者に、世界でも最低レベルの生活水準を押しつけ、
    間違っています。日本という先進国環境の中で、ベーシックインカムという「国の補助金」によりそれなりに文化的な生活がおくれると何度も申し上げています。

    >国内消費者を対象とするサービス業をも破壊する
    間違っています。アジアの途上国のサービス業を見れば明らかです。工場周辺で工員相手の格安な飲食業や娯楽業もあれば、高収入なサラリーマン相手の(10倍以上の値段の差がある)飲食業や娯楽業も成り立っています。

    小倉氏は、日本中が最低賃金の工場労働者で溢れてしまうと錯覚しておられるのではないかと思います。確かに工場における工員とホワイトカラーの比率は5:1から10:1かもしれません。しかし日本の産業全体をみれば、日本の総人口対工場労働者の比率は大きくないでしょう。

    たとえば東芝や日立の国内工場のワーカーが月給1万円になっても、同じ社内の設計、マーケティング、営業などの関係のホワイトカラーは月給100万円になるかもしれません。このように給与原資の配分比率が、工場ワーカーなど低生産部性の部門には低く、高生産性の部門により高く配分されるので、全体としてみれば経済は十分に繁栄するという事です。

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