負の所得税は新種の公務員を生む出すか

1月 6th, 2009 Categories: 1.政治・経済

工場ワーカーの給料をベトナム並みに下げれば、世界中のメーカーが日本に工場建設を考えるだろうという記事を書いて、小倉秀夫氏のブログにTBしたところ、下記のようなリプライ記事を頂きました。

工場労働者の生活費のほとんどを国家予算で賄うということになります。いわば,労働の成果を特定の企業に帰属させる,新たな公務員を作り出すことになりそうです。

「新種の公務員を作り出す」というのは、工場ワーカーの月給を1万円(*1)程度に設定した場合、それだけでは生活できないので、国がベーシックインカム或いは負の所得税を支給して生活補償をするという意見への批判であると思われます。

国が所得を補填する方法は、ベーシックインカムと負の所得税は多少の違いがあります。私は前者の考え方の方が好きなので、ベーシックインカムを前提に議論を始めたいと思います。

ベーシックインカムの場合、大人も子供も、貧乏人も金持ちもみな平等に同額の支給を受け取ります。ですからこれは貧乏人の所得保障ではなく、国民すべてに対する生活保障になります。そのかわりに年金、失業保険、生活保護、農業や漁業などへの補助金などは一切止めます。ベーシックインカム(毎月ひとり5万円程度を考えている)だけでは当然ながら暮らせません。工場ワーカーの場合には、工場側で独身寮を用意して、月金の3食を工場で支給すれば十分に生活できます。東莞(中国華南)の日系工場は遠方からの出稼ぎ労働者ばかりなので、3食付きの寮を完備しています。日本の工場ワーカーも似たような生活になるのですね。工場ワーカーが結婚して世帯を持てば、共働きの世帯収入は12万円くらい。子供が二人できれば22万円くらいなので、終生下町のアパート住まいなら生活の問題はありません。

ベーシックインカムに「ほとんどの国家予算」が必要かどうかについてですが、山崎元氏のブログへのTB記事として、ベーシックインカムの実現可能性を書きましたのでこちらをご覧ください。山崎氏の試算によれば、いまの日本の国家予算(特別会計の収入を転用)ですぐにでも賄う事ができそうです。つまりベーシックインカムを国民全員へ支給しても、一般会計予算はこれまで通りに使えそうです。

ベーシックインカム(あるいは負の所得税)を導入すると、現在のスキームとはかなり異なった世界になると思われます。小倉氏はこれを「新種の公務員」と呼びましたが、「ある種の社会主義」と呼ぶ友人もいました。私のこのような見方はしません。私に言える事は、努力すれば金持ちになる余地が十分にあるが、仕事を辞めてドロップアウトしても餓死したり浮浪者になる必要がない、底辺に優しい社会。貧富の差が大きい格差社会になるが故に、高福祉社会にありがちな無気力感や停滞感が無い。そういう風に考えています。

(*1)ベトナムの最低賃金をググッたところ2007年度のもので7000円くらいです。しかしながらベトナムは人口が少ないので外資工場が集中する工場区では工員の奪い合いで、月給は最低賃金より上になると思われます。事情に詳しそうな友人にメールで問い合わせ中ですが、とりあえずこの記事の中では月収1万円程度に設定しました。

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