経費を節減して利益を減らす愚

世界不況の中、多くの会社で経費削減の圧力が高まっている。知人の会社(華南の工場)も、経費を節減する為にIT投資を見直すようにとの指示が、日本の本社から来た。さて、経費節減は大事だが、その目的は何かという事である。

大事な事は、会社の利益を増やす(あるいは減少を少しでも抑える)事だ。これが目的である。そして経費節減はその為の手段である。総論はだれでも理解できるのだが、個別の事例になったとき、いろいろな問題が生じるようである。

ところで知人の工場で行っているIT投資の主な目的は、製造原価を製品毎に精度よく算出する為のシステム化だという。いまは製品別の原価管理は行っておらず、製品全部を含むひとつの実際原価を(会計部門で)算出しているだけだ。生産技術部門で計算した材料消費量(理論値)と実際に在庫が減っている量との間には大きな差(在庫の減りは理論値よりだいぶ多い)があって、社内で問題になってると聞く。実際の消費量を理論値に近づけて、材料消費を少なくして、今より製品一つあたりの利益を増やさなければならない。ゆえに現在のシステム化投資は、製品の利益率を上げる為に必須のツールになると期待されている。

ゆえに総経理さんは、工場の為に1日でも早くシステムを完成させて、製造原価の管理を行わなければならないという事を良く理解しておられるのだが、サラリーマン社会では、上司が黒といえば白も黒になってしまう場合があるようで、IT投資を削減する圧力をどのように回避しようかと頭を悩ませている。
ところが、日本側にいる上司は、目先の経費削減目標を達成する事が「目的」になっているらしい。日本の会社組織内では、いつの間にか手段が目的化する事はよくある事のようだ。

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