河野太郎氏へ、反原発政策の再考を望む

9月 9th, 2012 Categories: 1.政治・経済

私は河野太郎氏を応援しているファンですが、今日は貴殿に対して、ちょっと辛口の批判をしたいと思います。

貴殿は今回の自民党総裁選に出馬する事を希望しています。それで「自民党総裁選にあたって」というブログ記事の中で、自分が政権をとったら(つまり総理大臣になったら)こんな政策をやりたいという事を書いておられます。経済、社会保障、農業、エネルギー、外交、教育と幅広い内容ですが、おおむね同意できます。その中で一つだけ、普段の合理的な思考と相容れない、辻褄の合わない政策があります。原発問題への姿勢です。私はいつか、貴殿が本当に総理大臣になる日が来ると思っています。故にあえて、反原発という主張にツッコミを入れ、再考してもらいたいという事を、ネットという場を借りてお願いしたいというのがこの記事の趣旨です。

貴殿は自身のブログで、超党派の「原発ゼロの会」のメンバーであるとしており、原発は採算が合わない、使用済み燃料の廃棄ができない、だから新設もしないし、既存原発の再稼働もしない、という事を主張されているようです。(もし誤解があればご指摘ください)

GEのCEOは原発が(天然ガスなど)他のエネルギーと比較して相対的にコスト高になっていると指摘し、「(経済的に)正当化するのが非常に難しい」と語ったようです。また日本では、原発を立地する為に地元へ支払う費用などもあり、合計すると更にコスト高になっています。経済合理性の観点から、いま新たに原発を新設するのが望ましくない事は私も納得します。(長期的に見たエネルギー安全保障の観点から原発の技術と運用知識を温存する事については、ここではあえて触れません。)

さて、問題は既存の原発をどうするかです。貴殿は、使用済み燃料の地層処分ができない、天災時に広域の放射能汚染リスクを解決できないので、既存の原発も再稼働するべきではない、という意見かと思われます。しかし、そこには1点、おおきな問題があります。

地層処分が見解決のまま全ての原発を廃棄しても、いまそこにある核燃料、使用済み核燃料の行き場がければ、原発内のプールで永遠に仮貯蔵を続ける以外に現実的な方法はありません。福島第一の4号炉の火災と放射能拡散で明らかなように原発の放射能拡散リスクは炉心だけではありません。使用中や使用済み燃料を保管しているプールは冷却の為に電気と水とその施設を動かす人間が必要です。このまますべての原発を廃炉しても、最低50年間は、原発プールの維持費が必要になります。廃炉費用とは別に、この間の維持費の全額が電力料金へ上乗せされます。プールの冷却が不要になった後も、使用中・使用済み核燃料はまだそこにあるので、施設メンテと警備の費用がほぼ永久に必要になります。

電力料金は、悪名高い総括原価方式を改める事ができたとしても、化石燃料費用の増大で発電コストが増大しています。ここへ更に原発の廃炉費用やプール維持費用を加えれば、電気料金の大幅アップは必然です。原発の天災リスクは、稼働していてもいなくてもそれほど差がないと仮定すれば、使える原発は稼働させ、原発で利益を稼ぎながら段階的な廃炉や、使用済み燃料保管のコスト負担をするのが、経済合理的に考えて、国民はより大きなメリットを受ける事ができると考えます。

つまり貴殿が原発行政に最優先で向き合わなくてはならないのは、地層処分を行う場所を政治的に決める事です。

次に、既存の原発の天災時リスクについて述べます。

福島第一の教訓から言える最も重要な事は、全電源喪失しても、2次冷却水を喪失しても、非常時の炉心冷却機能と炉心圧力の減少機能が仕様通りに作動すれば大きな問題は生じないという事です。これは技術的な問題でもあり、管理能力の問題であり、スキルの問題でもありますが、福島第一の後は電力会社も真剣に取り組む事ができるので、乗り越える事が可能と考えます。必要に応じて、すべての原発で非常時炉心冷却の机上シミュレーションを行い、それでも不安なら実際のリハーサルを行う事で仕様上の機能を確認する事ができます。

原発稼働については、効果の見えない「ストレステスト」などではなく、非常時の炉心冷却機能と圧力弁開放機能の確認をする事で、まずはボトムラインとしての、福島第一の再発を防ぐ事ができます。この方向で考える事が合理的です。

最後に除染と避難地区の問題ですが、なし崩しに行われている1mシーベルトという基準を見直し、5から20シーベルトの範囲へ収まるように、法律で決めるべきではないかという事です。各方面から指摘があるように、1mシーベルトは平時に政府が核物質を管理する為の政治的な基準であって、健康を守る為の基準ではありません。日本の(自然界に普遍的に存在する放射性物質による)被曝は年間2.5mシーベルトだそうです。年間で100mシーベルト以下(の継続的な被曝の蓄積)では、統計的には、喫煙や大気汚染による癌の死亡率の中に埋没してしまい有意な差が見られないというのが現在主流となっている科学的な知見かと思います。そして、福島第一の放射能被曝で死んだ人はまだ1人も確認されていませんが、非難途上と避難地で死んだ人は既に600人以上と言われています。

真の国民の利益を考えるならば、政治家として今やるべき事は、1mシーベルト以上は危険だという国民の認識を改め、除染レベルを改めて、非難解除できる地域をできるだけ増やす事です。

国民の願望はときに合理的ではなく、思い込みや刷り込みに大きく影響されます。そんな時に、本来どうあるべきか、現在から長期的な未来について、どのようにすれば国民の得になるのかを考えて、そのアイデアを国民に納得させる事が国会議員の仕事であり、貴殿はそれができる資質と実行力があると信じております。

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