手段が目的に置き換わる時

11月 14th, 2008 Categories: コンピュータ及び科学全般ネタ

昨晩、監査法人というNHKドラマを(ネットで)見ました。監査人の仕事ぶりは、システム屋という仕事柄、しばしば立ち会う機会があります。ドラマのように「命を削る」ような状況には立ち会った事がありませんが、私が華南のメーカーさんへ行っているシステム・コンサルの仕事と、監査人の仕事には類似性があると、常々思っていました。

塚本高史演じる主人公(若松)は、会社存続の為に、粉飾決算で銀行から借り入れしているクライアントの、不正な帳簿のからくりを見抜き、経営者へ改善の是非を問います。そこから更に発展して、どうしたら会社を再生できるのか、クライアントと再建案を模索する努力を始めます。

私が華南で行っている業務コンサルも、有る意味、ドラマの中の彼らの仕事に似ています。政府が定めた理不尽な通関ルールを、 ある経営者は知りながら無視し、ある経営者はまったくの無知から違反を繰り返しながら、いつかは莫大な罰金を科せられるのではないかという不安を抱えて、工場経営しています。

そのような工場に対して、通関と税務署の問題で、どこにどのような問題があるかを明らかにして、どのように改善してゆけば罰金の罠から遠ざかる事ができるのかを、経営者と一緒に問題を探して改善してゆきます。それだけでなく、経営の判断材料に足る製造原価になるような改善アドバイスなども行っています。

ドラマでは、帳簿を操作して不正を行うのは経営者が加担している事が多いのですが、中国での不正は末端で行われている事が多いのです。帳簿や工場伝票の分析の過程では、監査人が調べるような在庫や原価計算の根拠となる伝票の有無、運用の手順、帳簿の科目分類の方法などを調べて、適正に行われているかを確認します。中間管理者や現場責任者による不正が行われやすい環境にあるかどうかを調べて、できるだけ不正を起こしにくい記帳方式や運用方法へ改善してゆかなければならないからです。

我々システム屋の仕事は、販売したソフトの導入を成功させるのが目的だと思われています。そのように考えている人も多いのかもしれません。しかし、ソフトの導入は手段であって目的ではありません。その目的は、業務の改善や効率化、経営資料の迅速な作成です。

手段が目的に置き換わる時、ユーザーの不幸が始まります。

Facebook Comments
Tags:
Comments are closed.