人類は衰退しました(笑

9月 6th, 2012 Categories: 1.政治・経済

少しばかり荒唐無稽な未来の可能性について書きますが、なにとぞご容赦ください。

内田樹氏の「アメリカ抜きの日本外交がありうるか」という記事は、私の想像力を刺激するに十分な内容でした。ブロゴスで読む経済や教育に関する内田氏の記事は、残念ながら良いとは思えないのですが、「領土問題は終わらない」と今回の記事には深い洞察を感じました。

日本が終戦から今日までの対米従属と日米同盟の合理性については内田氏も認めております。この合理性は、しばらくの間は続くと思われますが、未来のいつかの日に、日本が対米従属以外の道を「選ばざるを得ない」状況が来かもしれません。そのような未来が来るとすればどういう世界になっているのか、という(ちょっと荒唐無稽な)状況について考えてみたいと思います。

日本に平和憲法をつくり、日米安保条約を結び、自衛隊の主要な兵器がアメリカ製となっているのは、内田氏の指摘する通り、アメリカと戦争しないように、アメリカによって誘導された状況です。これは終戦から冷戦の最中につくられたシステムですが、東西冷戦が終わり、共産主義国家もほとんど姿を消し、世界市場のグローバル化による融合が進む今日、東アジアの植民地争奪戦などは無意味ですから、日本がアメリカと戦争をする理由はちょっと見当たりません。

そこでアメリカ国内にも、アメリカが一方的に日本を守る(アメリカにとって不平等な)安保条約を改めようという意見もあるようです。しかし、安保条約によって安価に基地運用できる日本の米軍基地は、日本と言うよりアジア全体におけるアメリカの国益を守る目的で役に立っている事から、アメリカが日本に対して「そろろも安保条約を終わりにしようよ」と言う事はないと思われます。つまり、アメリカからそういう提案が来るまでは、日本の対米従属が合理的である状況は続くという事ですね。

ところでアメリカが、日本を含む海外に軍隊の基地を持っている理由は、アメリカ人(企業)が海外で安全に商売する事で、アメリカ政府へたくさん納税できるようにする為です。これを支えているのは世界市場のグローバル化です。経済的観点から見たグローバル化の目的は、単に市場を拡大するという事ではなく(もちろん、そういう目的もあるのですが)途上国と先進国の価格差を利用して、より大きな利益を得る事が主要な目的となっています。逆に考えれば、グローバル化による経済的なメリットが大きく損なわれると、現在のように多くのアメリカ人(企業)が海外へ出てゆく事を止めるかもしれません。そうなれば、多くの税金を消費するアメリカ軍の海外基地を維持する目的は失われ、アメリカが「そろそろ日米安保を辞めたいんですが」といって来る日はかなり近いかもしれません。

では、グローバル化の経済的なメリットが大きく損なわれるのはどのような状況かについて、以下に列挙してみました。

1)地上から途上国が消滅した場合。

地球上のすべての途上国が経済発展の最終段階に至り、世界中の国の経済が「それなりに裕福」な状態で均衡すると、多くの戦争の原因が失われるので、アメリカ軍の海外基地も日米安保も不要になります。(そういうバラ色の未来が来ればありがたいんですが、現実にはあり得ないでしょう。)

2)燃料高騰で遠距離物流が壊滅した場合。

グローバル化の推進剤である「地域間の価格差」は残っていても、物流コストの上昇が海外貿易の利益を吹き飛ばす状況が長期化する事態が生じると、ミャンマーで製造してアメリカで販売する事は困難になります。つまり途上国の工場も輸入貿易も壊滅します。その要因として考えられるのは化石燃料の供給不足で燃料費が高騰した場合です。(化石燃料以外で効率的に輸送機関が実用化されなければ、数百年後には避けられない未来となるでしょう。)

3)世界の経済が衰退した場合。

グローバル化がたどり着くバラ色の未来として1のケースを書きましたが、世界が一様に貧しくなる可能性も考えなければいけません。世界中の経済的に採掘がペイする地下資源を使い尽くすと、あとは資源の価格上昇がエンドレスで始まります。2のケースで書いたように物流コストも上昇しますので、「地域間の価格差」があるからと言って、地球の反対側から輸入する事はもはや困難です。すると先進国の経済が落ち込んで途上国のレベルと交差し、最後はどこも貧しい国ばかりという事になります。(最近、「人類は衰退しました」というTVアニメを毎週見ていますが、なかなか秀逸といえます。こんな未来なら衰退しても良いかもしれませんが...)

上記のストーリーにおける固定パラメタは、「世界の市場は地球上で閉じている」です。先進国である日本やアメリカが永遠に右肩上がりの経済発展をする為には、地球はあまりにも狭すぎると言えます。そこで、ホリエモン氏やエノモト氏が目指しているように、先進国の企業(と大勢の宇宙移民)が宇宙へ進出する事ができれば、市場は拡大に継ぐ拡大で、何百年にも渡って右肩上がりの経済成長を続ける事が(理論的には)可能となります。

ただし、人類が宇宙へ進出すると、今度は宇宙のあちこちの資源や植民地の利権を巡って、やっぱり戦争があるのでしょうね。その時にまだ日本やアメリカという国家制度が残っていれば、日米の宇宙戦争という可能性もゼロではないでしょうけど。

宇宙へ経済進出するには、技術的に乗り越えなければならない壁もあるし、ガンダムの世界にあるような植民地間の宇宙戦争の可能性も否定できませんが、それはそれとして、地上で文明が枯れてゆくよりは、経済に余力があるうちに、なんとか人類の宇宙進出が本格化してほしいものだと願っております。

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