素人でも解る「ゼロ金利政策の罪」解説

10月 30th, 2008 Categories: 1.政治・経済

麻生首相のメールマガジンによれば、「今、世界は、「百年に一度」とも呼ばれる金融危機の中にあります」という事になっている。先進国による利下げの後、90円台の超円高が始まった。その理由を、池田信夫blogのゼロ金利政策の罪は、ファイナンシャルタイムスの記事をもとに、主要な原因は円キャリー取引の巻き戻しだと述べている。大事な内容だというのは直感的に解るのだが、金融用語が多すぎてよく理解できません。そこで、用語を調べながら記事の内容を自分なりに解説してみる事にしました。

●まず、「円キャリー」って何でしょうか?wikiによれば、

円キャリートレード(円キャリー取引)は、円資金を借入れて様々な取引を行うことを指す。国際的にみて低金利である円を借入れて、円を売ってより高い利回りとなる外国の通貨、あるいは外国の通貨建ての株式、債券などで運用して「利ざや」を稼ぐ行為は、円キャリー取引と呼ばれている。内外の機関投資家 のほか、個人投資家もこの取引に参加している。個人がこの取引に入る形として注目されているものに外国為替証拠金取引(FX)がある。証拠金取引では、証拠金に比べて大きな取引をすることが可能だが、それは資金を借入れているのと同じ状態である。このような円借り取引の拡大もあって、本来は経常収支の黒字によって円高が進行するはずの日本で、円売りが多いために逆に円安が進行して注目されている。背景には日本の金利が2006年7月日本銀行によるゼロ金利政策の 解除以降も、なお絶対的にも国際的にも相当に低い水準にあることがある。

つまり、欧米の大規模な投資家が、欧米よりより遥かに金利が低かった日本で円を(銀行など)から大量に調達し、それをもとに欧米通貨を買い、そのお金で欧米の株や通貨などを購入して投資する事を「円キャリー」というようです。日本は、(実感は無いものの)いざなぎ景気を超えるといわれる好景気が続いていたにもかかわらず、池田氏blogで言及しているように、この5年ほど円安をキープしていました。(下図をご覧下さい)

5yr-usd-yen-exg-rate-table-2008-10-30.JPG
●次に「円キャリーの巻き戻し」ってどういう意味でしょうか?同じくwikiによれば、

しかし今後、日本の金利が上昇したり円高が進行したりすると、円借り取引を継続し ていると為替差損が拡大するリスクが高まるので取引を解消(手仕舞い)しようと、早めに円を買い戻す動き(巻き戻し)が出て円高が加速され急激な円高とな ることが懸念されており、円借り取引の問題は日本銀行の金融政策の新たな制約要因となっている。

円キャリー取引の資金の多くは日本の金融機関が用立てしている。そのためアメリカの株価が急落すれば、日本の金融機関は円キャリー取引の清算に失敗 した海外の投資家達の不良債権を一気に抱えることになり、最終的なババを引かされる可能性があるため、円キャリー取引の行方は日本経済にとっても重要な問 題である。

リーマン倒産などの金融不安により米国の株価が暴落を始めました。更に、金融不安を落ち着かせようと欧米の中央銀行が強調して大幅な利下げを行ったので、「円キャリー」の前提条件になっていた金利差が一機に縮小してしまいました。これは「円キャリー」で投資していた投資家にとって悪夢のような状況です。そこで投資家は、悪夢に対処する為に、いそいで投資を清算しようとします。その為に投資国の通貨(ドルやユーロ)を売って円を買い戻し、円キャリーを清算しようとします。このような動きを、「円キャリーの巻き戻し」というようです。

● 「円キャリーの巻き戻し」により、どのような事が起こるのか?
池田氏の記事によれば、

キャリー取引の実態はよくわからないが、Gold Researchは1.2兆ドルと推定している。Economistも昨年、1兆ドルと推定しているので、それぐらいの規模だろう。これは経済的には合理的な金利裁定で、このため低金利国(日本)から高金利国(アメリカ)へ資金が流出し、ここ5年ぐらいの円安バブルをもたらした。

この1兆ドル相当のキャリー取引が急激に「巻き戻した」結果が、下記の図にあるような、90円台の急激な円高であろう。

5days-usd-yen-exg-rate-table-2008-10-30.JPG
もう一度、池田氏blogを引用すると、

しかし金融危機でドルが暴落すると、キャリー取引によるインカム・ゲインより為替のキャピタル・ロスのほうが 大きくなるので、巻き戻しが起こる。10年近くにわたって蓄積してきたキャリー取引が一挙に解消されるとドルが暴落し、それがさらに巻き戻しを呼ぶ・・・ という正のフィードバックが起こっていると考えられる。Gold Researchは、この円キャリーの逆流が株安を世界の市場に伝播させる「破壊兵器」だとしている。

つまり、円キャリーで欧米の株式市場へ投資していた投資家は、「巻き戻す」必要から市場でまず株を売って資金を調達しなければならない。みんなが一機かつ大量に売れば、どこの株式市場でも株価は暴落するのは当然の帰結です。これを池田氏は、株安を世界の市場に伝播させる「破壊兵器」と言っているようです。

また、「今回の危機は、グローバルな資産価格のひずみが訂正される過程なので、日本だけでできることはほとんどない。」というのもうなずけます。ゆえに麻生総理が一般大衆へいくらヘリコプター・マネー(血税)をばら撒いても、ポイントが完全にずれているので、まったく効果が無いだろうという事です。

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