好況・不況をいかにして制御するか

10月 8th, 2008 Categories: 1.政治・経済

たんなる技術屋の私から見たサブプライムローン問題を通して、景気の制御方法について考えてみる。

サブプライムローンは、そもそもの始まりは返済能力の無い米国の低所得層へ「無謀」な住宅ローンを多数行った事です。貸し出す銀行から見て「無謀」に見えないように、返済不能のリスクを切り刻んで多数の金融派生商品の中へ紛れ込ませてしまいました。そして、サブプライムローンのリスクという「毒」が混入した多数の金融派生商品が、米国の不動産景気を追い風にして世界中へ広がった事が問題を深刻にしました。さて、ここまではいろいろな人がテレビやブログで述べています。これって、いま世間を騒がせている中国のメラミン入り乳製品の問題に似ていますね。どちらも確信犯が「毒」を混入した製品や半製品をつくり、毒入りとしらない人たちがどんどん流通させて、最終的にはいろんな人が被害を(自覚しているかどうかは別として)被る事になりました。

サブプライプローン問題は世界中に波及して、いまは世界恐慌の危機が叫ばれています。ここで好況とか不況とかを、ファンダメンタルズとか、フェアバリューとか、実際の損失額とかを持ち出してきて、現実の状況はこうだからこの先はこうなる、という未来予測を行う証券や経済の関係者が多いようです。わたしもその予測を「信じて」サブプライムローン問題を見誤り、昨年夏頃に株式市場から撤退する機会を逃してしまいました。悲惨にも、それらの株価は三分の一以下に下がって、見事な「株の塩漬け」になっています。

私は5年くらい前から、経済というものは「風船に入った気体」に似ていると考えています。風船の中には空気を構成する分子が入っています。分子の数は増減しないが、中の空気を加熱すると気体分子のブラウン運動が激しさを増して、気体が膨張し、風船も膨らみます。風船が膨らむというのは、経済が膨らむという事です。これは単に好景気という意味に留まらず、経済規模自体が膨らむ事をも意味します。これはたとえば、江戸時代より現在の方が経済規模が膨らんでいるという事でもあります。一方、風船の中の空気が下がると、風船は萎みます。これは不景気という意味だけでなく、文明の後退による経済規模の縮小でもあります。

さて、それでは風船の中の空気を加熱させたり冷却させたりする要因は何でしょうか?

長期的にみると、それは文明の発達とグローバリゼーションによる経済圏の拡大です。では短期的には何が要因になるのでしょうか?それは人間のエモーション(感情)であると思います。

現在の世界恐慌の危機の原因を技術的に言うと、クレジット・クランチというらしいのですが、直感的に言うと、お金の貸し手が「積極的に貸し出すムード」でない状態という事らしいです。お金の貸し手とは、単に銀行だけでなく、銀行へお金を供給している国や、国際的な投資市場へ資金を投入している大規模投資家集団などを指します。ところで不況や恐慌の原因は、お金の貸し手だけの問題ではありません。世の中全体が、お金を借りたくない、貸したくないというムードを醸成しているのです。世の中は常に需要(お金を消費する企業や個人)と供給(銀行、政府、大規模投資家)の関係で成り立っています。このうち、供給側は組織的に短期・中期・長期に考え、お金でお金を効率よく生み出す為の投資計画を立てます。しかし、需要側である企業や個人消費者は、実はそれほど計画的ではありません。企業のうちで大多数を占める中小零細企業は、MBAを取得したCFO(チーフ・ファイナンシャル・オフィサー)なんていませんから、自社のバランスシートを理解する能力も無く、銀行残高だけを見て経営している会社が多数を占めると思われます。個人にいたっては言わずもがなです。

需要と供給の関係において、供給側は計画的で理論的で効率優先であるが、需要側は無計画で非論理的で短絡的であるのではないか、というように考えました。この場合、好況・不況の原因をエモーションとした場合、需要と供給のどちらのエモーションにより注目すべきかというと、これは需要側であるといえます。なぜなら、非論理的なエモーションを動機とする需要側をどう「制御」するかで、好況・不況の制御ができるのではないかと考えた次第です。

需要側のエモーションを刺激して、消費意欲を高めるにはどうすれば良いでしょうか? 需要側が無計画で非論理的で短絡的であるならば、消費意欲を高める「引き金」は、多くの需要家が未来を楽観視するに足りる「手段」が必要になります。手段は、必ずしも経済学的理論において正しい必要はないが、Web上で叩かれない程度によい体裁を保っている必要があります。どうしても見方につけなくてはならないのはメディア(放送局と新聞社)です。社会のあらゆる層がWeb世論の影響を受けるには、あと50年くらい必要です。それまでは、既存目デイアの世論操作の力を使う必要があります。また手段は、サブプライムローン問題のように袋小路では良く有りません。好景気のあとに不景気が必然的に来るような筋の悪い手段は避けねばなりません。

いずれにせよ、需要側のエモーションをメディアの世論操作の力で刺激して、あたかもばら色の未来が来るかのごとき「幻影」を見せる事で、景気への引き金を引き、かつ持続させる事ができるのではないかと考える次第です。 (著者自ら言うのもなんですが、このような考えが荒唐無稽かつ陳腐な戯言である事を祈っています)

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