昨日の敵は明日の友

3月 19th, 2012 Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ

1)無能な政治家に期待してはいけない。
東アジアにおける日本の将来に不安を感じています。中国は経済力を梃子にして東南アジア諸国への影響力を強めるだけでなく、軍事力の急速な近代化によって周辺諸国への圧力を増しています。日本には日米安保条約がありますが、米国の経済力低下を背景に、日米双方で在日米軍は縮小の方向にあります。1992年にフィリピンが米軍基地を国内から追い出した数年後に、中国がフィリピン領南沙諸島を武力占領したような事件がありました。在日米軍が日本から撤退するような事になれば、中国海軍の日本に対する挑発行為が増大し、尖閣諸島などでおおきな事件が起こる可能性は否定できません。しかしながら日本政府の外交能力はといえば、2010年9月の尖閣諸島中国漁船衝突事件に対する日本政府の交渉能力を見ると、まったく期待する事ができません。日本はやはり、政治ではなく経済を主体として国家の方向性を決めるしか手段が無いという事かもしれません。

2)敵の敵は見方。
日本という国家が東アジアで生き残る上で、今後もっとも脅威となるのが中国である事に異論をとなえる人は少ないでしょう。中国は広大な国土と13億の民で構成される国家体制を安定的に維持する為に、常に経済成長し続ける必要があります。この要求を満たす為には膨大な量の化石燃料と大きな資本市場が必要です。中国が世界中のエネルギー利権を買い漁り、アフリカ等の後進国市場へ経済進出し、東アジアの漁場や領有権を強行に主張しているのはその為です。強引ともいえるそのような経済的拡張を支えていたのは近代化と拡張を続ける中国の軍事力でした。日本・韓国・台湾以外の周辺諸国は、中国の軍事力とまともに対抗できる兵力を持っていませんでしたので、この戦略はワークしていました。ところが最近になって、苦汁をなめていたベトナムはインドと手を結ぶ事で中国の圧力に対抗しようとしています。インドは中国と並んで急速に経済成長している最大のライバル国です。南シナ海へインドが進出してくるのは、中国にしてみれば自分の裏庭を荒らされたように感じているでしょうが、軍事力が拮抗し、ロシア軍とより強い関係を持つするインド海軍に対して、フィリピンやベトナムような対応はできません。米国の経済力低下と共に日米安保にも陰りが見える現在、米国一辺倒の安保戦略はそこまで持つのか正直不安です。そこで東アジアの中国圧力を牽制する為に、日本はもう一つの中国が苦手とする国をカードとして引っ張り込んではどうでしょうか。それは世界最大の陸上軍事兵力を持つ中国のお隣の国、ロシアです。

3)昨日の敵は明日の友。
幕末から第二次大戦終了まで、ロシアは日本という国家が存続する為に最大の脅威でした。ロシアは清の領土であった黒竜江の東の広大な領土をズブズブと侵食し、更に朝鮮半島へ進出しようとしました。日本よりも「固有の領土」に強くこだわる中国政府は、1960年代に中ソ国境紛争を起こしましたが大負けしました。中国は以降、ロシアに対して慎重な外交路線をとっていますが、ロシアが中国にとって軍事的に最大の脅威である事は間違い有りません。そのロシア(次期)大統領であるプーチン氏が、国内経済を発展させる為に日本との関係改善を強く望んでいる事がこちらで述べられています。東アジアにおける米軍のプレゼンスが長期的に低下する事が避けられない状況の中、日本が引ける対中牽制カードはインドとロシアです。しかし日本とロシアの国家間には、北方領土問題という深い谷があって、よほど強いリーダーを持つ政権が誕生しない事には、この谷を超える事はできないでしょう。それでは政府による正面からの交流によらずにロシアというカードを使う事はできるのでしょうか。

4)ロシアというカードのめくり方。
日本政府による対ロ経済援助とか、そういうアプローチがそもそも間違いです。そのような経済援助でプーチンが望むような経済発展が生まれない事は中国をみれば明らかです。中国の経済発展はODAで飛行場のような箱モノを作ったからではなく、民間企業の進出による雇用増、輸出加工貿易による外貨増、結果として生じた技術移転。これらの相乗効果によって中国の経済力の基礎体力が造成され、GDP2位の経済発展を遂げました。中国の発展を見れば、ロシアへのアプローチは明白です。日本企業が1990年代と2000年代に中国大陸進出したようにロシアへ工場進出して市場を開拓すれば良いのです。日本企業にとっての消費市場が分散する事は、中国政府の政治的影響力を減じる事ができます。サハリン等からパイプラインを引いて天然ガスを購入し、ロシア籍のLNGタンカーで輸送すれば、中国や北朝鮮が手出しする事はできないでしょう。このようにして、日本政府による国家間条約によらずに、ロシアカードをめくる事は可能であると考えます。

5)結論。
米国にしろ中国にしろロシアにしろ、どれか一つの国に依存する事は、すなわち自分の弱さを晒す事になるので長期的には相手につけ込まれます。日本が自衛隊の軍事力増強や独自の核保有によらず、都合のよいかたちで東アジアのパワーバランスを保つ為には、経済界が積極的に動いて、米国・中国・ロシア・インドそれぞれが日本から利益を得る事ができる経済関係を構築する事ではないでしょうか。

石水智尚 – Mutteraway

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