総背番号と総確定申告のモデルケース

2月 27th, 2012 Categories: 1.政治・経済

大阪維新の会の「船中八策」には、国民総背番号制と国民総確定申告性が盛り込まれています。先進国でこの2つの制度を同時に実施している国はほとんど無いのではないかと思います。米国は社会保障番号が国民総背番号に相当するキーとなっていますが、厳密な意味での国民背番号という訳ではありません。英国は国民背番号カードをまだ検討している段階です。ところが英国のもと植民地である香港は、まさにこの2つの制度が実施されています。維新の会の方々は、もしまだご存じないようであれば、香港の制度を勉強されては如何でしょうか。以下に、概略について簡単に説明致します。

【香港の身分証(ID CARD)】

香港では180日以上滞在する11歳以上の全ての者が、IDカードの取得と常時携帯が義務付けられています。IDカードはスマート化されており、表面とチップの中に、個人を特定できる国民背番号が付いています。香港人も外国人も、IDカードは移民局で取得します。外国人が香港に継続して7年居住し、移民局に申請して承認されると永久居住権がもらえます。するとIDカードが永久居住者用のものに変わりますが、背番号自体は変わりません。背番号は個人の身分や資産や国境の出入りを追跡・照合するキーとなる重要な番号なので、原則としては一生変わりません。

香港は歴史的に中国からの不法入境者が絶えなかったので、不法入境者と区別する為にIDカードの常時携帯が義務化され、警官による職務質問の時に不携帯が見つかると罰金です。

IDカード番号は、銀行の預金口座作成、クレジットカードの作成、不動産の契約書、雇用契約書、会社登記時などに身分を証明する為に利用されます。その為、IDカード番号をキーにして、特定の個人の資産やお金の流れを追いかける事は技術的に容易です。

IDカードを持つ香港人や外国人が香港から出国する場合に、パスポートではなくIDカードで出国登録します。(永久居住者でない場合は、IDカードの他にパスポートの提示も求められます)IDカードがスマート化されて以来、出国の手続きは機械による無人手続きも可能になりました。 日本のパスポートは更新する毎に番号が変わるので、特定の個人の出入国履歴の追跡をパスポート番号だけで長期に渡ってトレースする事が困難です。国民総背番号カードによる自動出入国マシンの導入は、日本でもぜひ行いたいしくみです。

IDカードで個人の特定と身分の証明ができるので、運転免許証は簡易的なカードになっており、免許証を管理する番号のようなものもありません。基本的にIDカードとペアで使われる事が前提となっているからだと思われます。日本の運転免許証も、同様の運用形式にすれば大幅な関連公務員の経費削減になるかと思われます。

銀行の窓口で現金をおろす場合、サインの確認の他に、かならずIDカードによる本人確認を行います。 日本の金融機関の窓口でもぜひ導入したい制度です。

【香港の納税 】

香港の企業が正社員や契約社員に給料やバイト代や日当を支払った場合、企業は年末に、支払った全ての人のIDカード番号と総額を記入した書類を作成して内国歳入局(Inland Revenue Department:IRD)へ報告します。次にIRDは給料をもらった本人に、白紙の確定申告用紙を送り、本人に収入を申告させます。IRDは特定の個人がどの企業からどれだけの給料総額をもらったかをコンピュータで簡単に集計できますので、申告者は嘘の無いよう慎重に申告する必要があります。また仕事をしていない主婦にも確定申告書が届きますが、夫と合算で申告した方が控除額が倍になって税金が安くなる場合には、IRDはそのように申告するようにアドバイスしてくれる事もあります。中には書き方がよくわからない低学歴のおじさんやおばさんも多いようで、そういう場合は名前やサインだけして確定申告書を送り返すと、IRD側で必要な事項を埋めて、税金がやすくなる方法で申告してくれるという事を聞いた事があります。

確定申告書を記入してIRDへ送ると、納税通知が送られています。香港の税金は、原則として来年の税金を今年払う方式です。来年の税金は昨年と今年の収入額を比較してIRD側が推測した額です。その金額に、昨年支払った今年の税金の調整額が増減されます。給料が毎年増えている人は、増えた割合から来年の税金額が決まります。転職して給料が大幅に下がっても、その年の税金は昨年の収入をベースに上昇分を加味した額なので、払えない額の請求が来る事があります。その場合にはIRDへ電話して事情を話すと、納税額を再計算してくれたり、複数年度の分割払いにしてくれたります。

【日本への応用を考えてみる】

日本の国民総背番号カードをIDカードと呼ぶ事にしましょう。IDカード番号は、徴税、社会保障、身分証明、運転免許などを 包括的に管理する番号です。これらは日本国の成人だけでなく、未成年の就業者、中長期で滞在する外国人が含まれる必要があります。故に日本のIDカードも、総務省の下の部局で、日本人と外国人を包括的に管理できる部署で発行するべきです。

警察の運転免許証、健康保険証、年金手帳はIDカード番号による管理へ統合し、個別的な管理番号の発行による管理は止めるべきです。但し地方自治体の住基カードは、IDカード番号とリンクさせる事を前提として存続させても良いかと思います。

金融機関で口座を開設したり、不動産や自動車を購入して登録する場合に、関係する企業た行政機関はIDカード番号で名寄せができるようにシステムを作成させるようにするべきだと思います。

企業が月給や日当を労働者へ支払う場合、企業は税務署へ氏名、IDカード番号と支払額を報告する義務を負わせて、それ以外の人件費を経費け計上できなくするように会計の法律を変更するべきです。また、すべての有限会社や株式会社は会計監査法人による年度末の外部監査を義務付けて、上記が守られている事を担保します。このようにすると、企業の支払う人件費について、どの企業が誰に支払われたかを税務署のコンピュータはIDカード番号で容易に集計できます。これが可能になる事により、政府はすべての特定の個人の総収入を効率的に把握できるようになり、ベーシックインカム(あるいは負の所得税)や生活保護などの富の再配分をフェアに、効率的に行う事ができるようになると考えます。

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