何事もやり方次第
読売新聞によれば、「防衛省、アフリカの情報収集・分析体制強化へ」だそうだ。この見出しを読んだ瞬間に、あるアイデアが閃いた。
記事の内容は以下の通り。
防衛省、アフリカの情報収集・分析体制強化へ
防衛省はアフリカ地域の情報収集能力を高めるため、来年4月から情報本部分析部門のアフリカ担当を強化する。
現在展開中の国連平和維持活動(PKO)の大半がアフリカに集中し、今後も自衛隊が派遣される可能性が高いが、情報収集体制が十分でないと判断した。
具体的には、情報本部のスタッフを増員し、〈1〉アフリカ各国の情勢調査〈2〉自衛隊活動のニーズの把握〈3〉他国のアフリカ支援の動向調査――などを中心に情報収集、分析活動を強化する。
日本政府は近く、スーダン南部に展開するPKO部隊「国連スーダン派遣団(UNMIS)」の司令部要員として自衛官を派遣する予定だ。また、アフリカにあるPKO訓練センターにも自衛官を講師として派遣する予定で、今後さらに、アフリカでの自衛隊活動の拡充が予想される。
しかし、アフリカは「日本から遠く、アジアのように『地縁』がないため関心が低い」(防衛省幹部)のが現状だ。UNMIS派遣を検討する際にも、治安や気候、生活・衛生環境などに関する情報が不足し、防衛省・自衛隊内で慎重論が強かった経緯がある。
各国によるPKOは5月末現在、全世界17か国・地域で実施され、このうちアフリカは8か国・地域に上る。不安定な政治情勢や民族対立などで、2000年ごろから大型ミッションが増加し、国際社会の関心が集まっている。
(2008年9月22日12時37分 読売新聞)
日本の役人が考える事は底が知れている。情報収集といっても対象国にある大使館員の報告書か、インターネット新聞で集められる程度の情報だろう。それくらいなら米軍かCNN記者にでも聞けば良い。どこにでも流通しているネタをいくら沢山集めたって、CIAのような分析力が無いのだから意味が無い。
それよりもっと面白いアイデアがある。自衛隊員からボランティアを募り、3ヶ月の有給休暇と、往復旅費と、バックパッカーができる程度の旅費を支給して、お気楽な貧乏旅行してもらうのだ。バスや汽車を乗り継ぎ、安宿に泊まり、市場や酒場で地元のあんちゃん達と安酒を酌み交わしながら、地元庶民との友好を深めて歩くのだ。
友好を深める事が目的ではない。たとえ一晩か二晩の友達でも、酒が入り、気心が知れれば、身近な話題で盛り上がる事になる。それは悪政の事であったり、生活苦の事であったり、ひごろの不満が口をついて出てくる。大きな不満のあるところで政情が乱れ、暴動やテロが起こる。そういう大衆の雰囲気を集めてまわるのだ。あるいは、どういう場所が「旅ができない」ほど危険な場所か、なぜ危険なのか、そういった生きた情報をバックパッカー仲間や、地元の旅行者から集める事ができる。
もちろん彼らはスパイでも特務工作員でもないから、バックパッカーや地元の旅行者が近づかないようなところへ無理して行く必要はない。身分を隠す必要もない。 外国へ行けば、軍人が休暇で旅行する事なんてめずらしくない。楽しい旅をして、地元にたくさん友達をつくれば、将来にその地へPKO派遣された時には、土地勘も知人も、何かの役に立つだろう。
こういう企画を防衛省の役人が立案するのは無理があるかもしれないが、休暇旅行を利用するのなら自衛隊で単独にできそうだ。自衛隊のお偉いさん、いかがですか?
1)楽しく拝見しています。
2)私は、1970年代に南部アフリカ(ザンビア、ケニア、南ア連邦など)に機械商談のために、延べ1年ほど長期出張しています。その経験や最近のメディア報道などを考慮します。はっきり言って、東南アジアの滞在経験とは、格差があります。
3)自衛隊によるアフリカ派遣「事前調査」について:
まず、下記の資料が有益と思われます。
3-1)岩波新書「アフリカ・レポート」松本仁一(2008年発行):アフリカの最新情勢を概観している。
3-2)下記サイト:
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/080527/index.html
Snowbeesさん、コメントありがとうございます。3-2のリンクを拝見しました。アフリカといっても、場所によって様々な「状況」があると思います。また、おなじ場所に発生する「状況」も、それを見る人の立場や価値観によって違ってきます。ビジネスマンの駐在員と、国連職員と、その町の庶民とでは、「状況」に対する解釈が異なってもおかしく有りません。
自衛隊が派遣先で「出来ること」は法律と命令によって厳しく制限されていますけれども、自衛隊が自衛隊らしくある為には、現地の状況を、自衛隊の立場と価値観によって知ることができれば、それはそれで役に立つのかなと思いました。