悪魔のビジネスモデル

見る人を虜にする悪魔のデザイン、それがiPhoneだと述べた。ところが事はそれだけに留まらない。アップルはiPhoneとiTuneを組み合わせた素晴らしいビジネスモデルを用意していたのだ。

今日のCNET Japanに、ゲームソフトから見たiPhoneの魅力という記事が出た。ハドソンソフトの柴田氏はこう評価する。(下記の引用は筆者により編集されている可能性があります。オリジナル記事を一読される事をお勧めします)

1)ビジネスとしての自由度

  • (携帯電話)我々は海外も含めてずっと携帯電話向けのビジネスをやってきていますが、日本はこの2年ぐらいでかなり厳しい状況になってきています。大手企業が上場を廃止したり、廃業したりしている。海外を見ても、韓国、欧州、米国とかなり厳しくなっている。その最大の理由は、どれもがほぼ間違いなく、通信事業者がすべてを仕切っていたことにあります。
  • (アップル)iPhoneのビジネスモデルは、我々にとってある意味革命的なモデルだと思います。何よりも、通信事業者に一切お伺いを立てなくていい。例えば、我々が出すゲームタイトルについて、ソフトバンクモバイルに言う必要はないわけです。

2)販売手数料について

  • (携帯電話)海外の場合は通信事業者が自分たちのビジネスのことしか考えていなかったので、例えば売り上げの50%を持って行かれたりとか
  • (アップル)海外でカード課金にしようとすると、ものすごく大変なんです。国ごとにいろんなルールがありますし。それを、完成されているシステムでやってもらえるとい うだけでも30%払う価値はあると思います。この価値は、多分海外でモバイルコンテンツビジネスをやろうとしたことのある人でないとわからないと思いま す。

3)適用させる機械の仕様や機種範囲

  • (携帯電話)それはもう、ひどいです。画面の大きさもありますし、端末の処理速度も全然違います。端末だけでなく、通信事業者ごとにも違う。さらに、海外の場合は日本 のように端末の世代が変わるとみんなが買い替えるということはなくて、かなり古い機種でもずっと使われて残っているんですよね。これは携帯電話向けアプリの開発を経験したことがある人でないと分からないと思います。海外向けの場合、携帯電話に移植するだけで1000万円規模のコストがかかるときがあるんです。それぞれの端末に合わせるためだけに、半年近くかかります。
  • (アップル)iPhoneの場合は端末の種類が基本的に1種類(※編集部注:iPhoneは2Gモデルと3Gモデルがあるが、ディスプレイサイズなどは同等)なので、そこが既存の携帯電話とは大きく違います。あまり気付いていらっしゃらない方が多いのですが、我々ゲームメーカーにとって、画面のサイズというのが実は死活問題なんです。映像が中心であるゲームの 場合、画面サイズが変わると基本的にソフトは全部作り直しになります。その意味で、単一端末というのは我々にとってはものすごく大きなメリットです。単一 のものが数多く出荷されるという意味では、個人向けゲーム機に似ていますね。

4)対象となる端末の魅力

  • (携帯電話)世界的な数量だけ見れば、Nokia端末のほうが多いという話もあります。端末の数だけで言えば、Windows Mobile端末も多いです。我々は別にiPhoneだけをやっていこうと思っているわけではなく、本当に良いプラットフォームで、我々にメリットがあれ ば積極的に行こうと思っているのですが、残念ながら、iPhoneほど安心感のある環境を用意しているところは正直ないんです。あまり気付いていらっしゃらない方が多いのですが、我々ゲームメーカーにとって、画面のサイズというのが実は死活問題なんです。映像が中心であるゲームの場合、画面サイズが変わると基本的にソフトは全部作り直しになります。
  • (アップル)すでに600万台売れていて、それがこのまま伸びていく。少なくとも機種が増えるのではなくて、1機種が増え続ける端末というのは、ほかにないんです。アップルが通信事業者のような締め付けをされると困るのですが、基本的には何でも受け付けますという姿勢ですし、アップルの審査も公序良俗に反しないかど うかと、ウイルスなどのチェックという程度です。ある意味、我々が何を出そうが、値段をいくら付けようが基本的には自由なわけです。そんなプラットフォー ムは、今まで世の中に1個もないんです。PCでも、家庭用ゲーム機でも存在しない。ここまで整っているビジネスモデルを提供している会社というのは、世の 中で本当に初めてです。

5)商売のしやすさ

  • (携帯電話)海外の通信事業者を回って本当に苦労しましたので、「こんなにひどいのか」というのは何度か思い知らされました。「コンテンツに興味はない」と言われたん です。「ゲームの良し悪しにはいっさい興味はありません。売れるものだけ持ってきてください」と。つまり、ゲームがどれだけ面白いかよりも、有名人が出演 しているかどうかのほうが重要だと。その上、売り上げの半分を手数料として取られ、数百機種に移植しないといけない。また、海外は月額課金モデルではなく、都度課金モデルがほとんどなので、収益モデルとして不安定だったということもあって、ほとんどビジネスにならなかったんです。
  • (アップル)iPhoneは端末自体の魅力もすごいんですが、そこにビジネスモデルが合わさっているものはほかにないんです。ビジネスモデルだけがあるのもあります し、端末だけが良いというものもあるんですけれども、両方が本当の意味でマッチしているのは、iPhoneが初めてではないかと思います。

私も以前に、日本の某「占い」コンテンツを香港のあるキャリアへ、WAPコンテンツとして移植するお手伝いした事があったので、上記の苦労話は一部実感できます。携帯電話の画面サイズはいろんな種類があり、プログラムの挙動も少しずつ違うので何十、何百という機種毎に動作確認が必要で、ものすごい手間がかかります。だからコンテンツビジネスを考えたとき、携帯電話は単純に普及している台数だけで考える事はできない。その点、iPhoneは画面サイズが(今のところ)統一されているので、コンテンツ製作者は単一機種として考える事ができます。現在の600万台という数字は決して少ない母数ではないし、これから増える数字はすべてマーケットの母数として勘定できるのです。

ビジネスモデルとしても優れた特徴があります。iPhoneを使う人の多くが、パソコンやマックでiTuneを使用します。iTune Storeに登録されたコンテンツは、iTune(アップル)を通じてダウンロードと代金支払いができます。このしくみはまさに、悪魔のビジネスモデルです。

iPhoneはユーザーだけでなく、コンテンツ製作者をも虜にする魅力があるようです。

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One Response to “悪魔のビジネスモデル”

  1. bobby
    7月 20th, 2008 at 00:23
    1

    一昨日は1日のアクセス人数がひさしぶりに1000人を超えました。アクセス解析ツールによれば、その半分はゴーログの「iPhoneは世界を変えるか?」という記事から来ているようです。感謝、感謝。

    http://kimuratakeshi.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/iphone_f88d.html

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