「こんなの論外だ!」と怒っていても仕方なし

10月 30th, 2011 Categories: ブログ評論, 釣りネタ, 1.政治・経済

新刊だけでなく、これまでに出した全ての書籍を電子化する権利を渡せというんです。しかも、それに対して出版社側は拒否権を持てないというんですと怒り、嘆くのはS出版社の編集長です。というのも、アマゾンから送られてきた契約書の内容が、アマゾンに一方的に都合の良い条件で書かれているからなのだそうです。

「こんなの論外だ!」アマゾンの契約書に激怒する出版社員 国内130社に電子書籍化を迫る

記事の内容だけを読むと、たしかに「アマゾンって何様よっ!」って怒りを感じる人がいるかもしれません。でも、私から見ると、この編集長さんはビジネスの「ビ」の字も判っておられないのではないかと、逆に心配になってしまいます。

送られてきた契約内容が一方的であるので、編集長さんは、あたかもS出版社(ひいては日本の出版業界)が見下されていると感じたのかもしれません。日米出版界の文化的な違いがあるかもしれませんが、大きな相手とのビジネス交渉は、幕末の通商条約を見るまでもなく、いつの場合も不平等な条件が出発点と考えるべきです。土木ゼネコンや大手家電メーカーの下請け契約書などは不平等契約の代表例かもしれません。実際のビジネスでは、そこからどのように良い条件にもって行くかが問われるケースが多々有ります。

では相手とどのように交渉してゆくかというと、私ならこんな感じでやるかと思います。
1)個々の出版社の持つビジネスは小さいので、出版社が集まって商権を集約し、買い手に対する相対的な交渉力を高める。
2)アマゾンの競合であるアップル国内の取り次ぎ業者を引っ張り出してきて、複数の「買い手」が互いに競争するように仕向ける。
3)相手がアマゾンとなった場合、日米出版界の商習慣の違いに詳しい代理人を立てて、交渉を委託する。

上記は作家と出版業界が一体化している場合にはそれなりに有効かと思われます。しかしながらこちらの記事を読むと、「あれれ、出版社もアマゾンの事をあまり言えないよね」的な感じですから、出版社と作家の関係に楔を打ち込む戦略で対抗された場合には、大きな異変が生じる可能性は否定できません。

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