1年1ミリシーベルトの疑問

1年1ミリシーベルトの歴史をたどってみると、もともとは年間5ミリシーベルトであったものが、1985年のICRPパリ会議から、年間1ミリシーベルトになります。1988年に国連科学委員会が自然放射線の報告(世界平均で年間2.4ミリシーベルト、日本平均は年間1.4ミリシーベルト)がありましたので、その頃から自然放射線という考え方がICRPへ影響を与え始めたのだと推測します。実際の勧告で適用されたのは1990年からのようです。

自然放射線量が平地で年間およそ1ミリシーベルトだから、ICRP勧告の基準値を1ミリシーベルトにしたというのであれば、原子力発電所などから漏洩した放射線の被爆量を、自然放射線量の上に更に年間1ミリシーベルト加える事はできません。被爆量が年間2ミリシーベルトになってしまう可能性があるからです。

ICRPは、もともとは国際X線およびラジウム防護委員会( IXRPC)というで放射線医学の専門家を中心とした集まりであったものが、より広い範囲に適用する為に、原子力関係の専門家が加わってICRPに変更されたのだそうです。つまりICRPの勧告のターゲットは病院や原子力発電所などで、漏洩放射能に対する被爆量の管理が目的と考えられます。

そこで問題です。ICRP勧告の1年1ミリシーベルトは、

1)人間の被爆総量に対する許容値でしょうか?
2)病院や原発など放射線源を扱う者が、放射能を漏洩した場合の規制値でしょうか?

1)の場合には、自然放射線量の想定値が既に1ミリシーベルトより大きいので、福島第一の漏洩放射能は0.1ミリシーベルトも加える事ができません。また高地の自然放射線量は平地の2倍だそうですから、年間2ミリシーベルトの地域は除染しないと法律的に居住できない事になってしまうのではないでしょうか。

2)の場合には、自然放射線量は無視して、人工的に漏洩した放射線量だけを集計するので、福島第一から漏洩した放射線量が1年1ミリシーベルトという意味になります。しかし、両方足すと年間2ミリシーベルト(高地では年間3ミリシーベルト)になりそうです。ゆえに1990年以降のICRPの勧告が2)であるのなら、1年1ミリシーベルトは、被爆による健康被害の許容値ではないという事になってしまうのではないでしょうか。

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