パラダイス鎖国の恐ろしさ

日本の携帯業界はパラダイス鎖国という事になっている。私の仲間うちでは、パラダイス鎖国か鎖国パラダイスでチト揉めたのであるが、意味がわかれば枝葉末節はこの際どうでも良い事にしよう。

鎖国とは何か。 鎖国政策を徹底させた江戸時代、長崎奉行ですら世界の情報を正確に知る事は極めて難しかった。グローバリゼーションの最中にある現代、パラダイス鎖国政策をとる日本も、江戸時代と似たような状況にあるらしい。
池田信夫氏は経済学者だが技術に明るく、海外の情報に詳しく、特に日本の携帯電話業界の鎖国政策を鋭く批判して各方面の知識人や役人を唸らせている、アルファーブログ界では屈指の論客である。その池田氏が今回、iPhoneとアップルの戦略批判の中で、墓穴を掘る大きなミスをしてしまったようだ。以下に池田氏の記事と、批判コメントの内容を交互に列挙する。最初の行が本文から引用した誤り部分(全部ではないが)と、その下の斜体文はコメントから抜粋した正解である。

「全米で600万台のベストセラー」だって?
ただ、本文の「全米600万台」ってのは間違いで「全世界で600万台」が正しい筈なんですけどけどね(笑)

ノキア1100は2億台、モトローラのRAZRでも5000万台売れてるんだよ。
ちなみに「RAZRの5000万台」というのは、2004-06年という2年間で達成した全世界の販売台数で、尚且つV3,V3i,V3c,V3m,V3x,v3xx等、2G/3Gの変遷や仕様変更を伴った複数のモデルを合わせた数字ですよね?

iPhoneは携帯端末としては売れ行き不振だから、AT&Tに補助金をもらって見かけ上の価格を200ドル下げただけのことだ。
2代目ともなればハードの何とか法則ってやつと量産効果で更なるコストダウンもやってるだろうから200ドル程度でもトントンぐらいで十分ペイしてるんじゃないかな。

もともとiPhoneがAT&Tから出たのは、3Gへの対応が遅れて急成長するベライゾンに抜かれるのが時間の問題だったAT&Tが
それとべライゾンの好調さで(at&tを)追い抜いたわけではなく、オールテルを買収したことでトップになっているのであって、at&tが落ち目だということではないのですよ。

SIMロックなしのオープンアクセスが当たり前の欧州では、
これは嘘(筆者友人で、もと英国居住者に聞いた話し)

グーグルと提携してAndroidを採用し、
現実的な話しをすれば、Androidの携帯電話なんてそう簡単にできやしない(筆者友人の業界通より)

今ごろ3Gなんて騒いでいるのは1周遅れである。
ビジネス的な視点を持てば今のタイミングで3G対応するのは何らおかしい判断ではないはずです。

これらの間違い指摘だけで、恐らく大量のコメントがこの記事に集中しているはずだが、実際に承認されているのは、現時点で53個しかない。私も2回コメントを書き込んだが、未だに承認されていない。 この点について池田氏は、

きのうは6.9万PVと、また最高記録を更新しました。アップルネタは、アクセスも多いが、気違いのコメントも多いので、gooIDを必須にします。他にも、わけのわからない論争の延々と続いている記事はID必須に変更しました。今後もそうします

と述べている。私のまわりにはたまたま携帯業界通が何人かいて、この記事を見てもらったが、上記コメント(斜体文)と同じ事を言っていてナルホドと思った。池田氏のような人でも、パラダイス鎖国日本に住んでいると、本当の海外情報を得るのがいかに難しいのかという事であろうか。

池田信夫blogファンの私としては、記事を批判するコメントも含めて潔くオープンにして、それに対する池田節で反撃記事をぜひ書いて貰いたい。あるいは素直に間違いを認めて自己批判するかである。

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4 Responses to “パラダイス鎖国の恐ろしさ”

  1. marketer
    6月 21st, 2008 at 09:00
    1

    主張全体を間違いと言い切れるほどの反論にはなってないですよ。

    >ただ、本文の「全米600万台」ってのは間違いで「全世界で600万台」が正しい筈なんですけどけどね(笑)

    欧州での売れ行きは芳しくなく、主史上は米国ですので大きな問題ではないですけどね(笑

    >ちなみに「RAZRの5000万台」というのは、2004-06年という2年間で達成した全世界の販売台数で、

    携帯電話の世界での市場規模を知らずに騒いでいる人あまりにも多いので例として挙げるのは意味があることでしょう。
    iPhoneは2年でいくつ売れるでしょうね。

    >尚且つV3,V3i,V3c,V3m,V3x,v3xx等、2G/3Gの変遷や仕様変更を伴った複数のモデルを合わせた数字ですよね?

    iPhoneだって今後機能・世代で分化していくでしょう?

    >オールテルを買収したことでトップになっているのであって、at&tが落ち目だということではないのですよ。

    買収もビジネスのうちです。

    >SIMロックなしのオープンアクセスが当たり前の欧州では、
    これは嘘(筆者友人で、もと英国居住者に聞いた話し)

    両方ありますが主流はSimロック無。両方あることが重要。「当たり前」というのは少なくとも間違いじゃない。

    >現実的な話しをすれば、Androidの携帯電話なんてそう簡単にできやしない(筆者友人の業界通より)

    その人の主観でしょうが、そういう考えもあることは認めます。個人的には出てくると思ってますが議論があっていいポイントでしょう。

    >今ごろ3Gなんて騒いでいるのは1周遅れである。
    >ビジネス的な視点を持てば今のタイミングで3G対応するのは何らおかしい判断ではないはずです。

    「対応する」ことでなくて、「騒いでいる」ことをいってます。

  2. bobby
    6月 21st, 2008 at 10:52
    2

    「SIMロックなしのオープンアクセスが当たり前の欧州では」という文章は、「欧州の主流はSIMロック無し」という印象を読者へ植えつけようとしているように思えますたとえばイギリスでは、オペレータ系正規店で割引パッケージ(携帯、通話料1年契約縛り)で購入する人は、縛り期間はSIMロック有り。非正規店で購入する人は、はじめからSIMロック無し携帯。お店の数でいうと半々くらいと聞いていますから、主流とは言えないでしょう。

    中国の国内線にのったら、普通のおばさんみたいな人がiPhoneをもっていました。香港の街中にも、iPhoneを持っている人をよく見かけます。今はまだ、ジェイルブレイクという高いハードルがあって、一部の人しか購入していません。しかしながら、地元のお店で、安いデータ通信とパッケージで購入できれば、「欲しい」という人は私のまわりにも沢山いるようです。

    Appleの製品にはカタログスペックで表せない「味」がある事は、Appleに憑依されたユーザーを見れば明らかです。まったくITと関係ない友人でもiPodでAppleファンになり、iPhoneに期待している人が沢山います。彼らは、それを持っている事がライフスタイルなのであって、ソフトがインストールできないとか、電池が1日しか持たないとか、電話しにくいとかはあまり関係ないようです。

  3. marketer
    6月 24th, 2008 at 01:33
    3

    bobbyさん

    SIMロック付>プリペイド等を含む安物携帯
    SIMロック無>携帯電話単体の価値が高い携帯
    という傾向もあります。
    iPhoneは安物とは言えないので、SIMロック無で販売されてしかるべきでしょう。

    中国ではSIM解除された端末が数十万台でまわっているらしいのでそれを見られたのだと思います。

    >Appleの製品にはカタログスペックで表せない「味」がある事は、Appleに憑依されたユーザーを見れば明らかです。

    私も初代iPhoneを試用する機会がありましたので、iPhoneの端末としてのユニークさ、楽しさは実は体感しています。
    批判したいのは、「顧客の抱え込み戦略」という(まるでMSのような)AppleのiPhoneでの(Appleらしく無い)ビジネスモデルです。

    1984年のスーパーボールのCMでAppleはビッグブラザーにハンマーを投げつけていましたが、iPhoneのモデルではJobsは自身がビッグブラザーになろうとしてるとは見えませんか?
    そこも含めて賞賛しているメディアや、ネット上の識者たちに対して「もう少し冷静になろうよ」って言いたいだけなんですけどね。

    池田さんのブログは劇薬だけど、他があまりに偏っているのでバランスとる意味で有りだとおもうのですよ。

  4. bobby
    6月 24th, 2008 at 09:08
    4

    marketerさん

    >iPhoneのモデルではJobsは自身がビッグブラザーになろうとしてるとは見えませんか?

    私はまったく違う視点から、今回のAppleのやり方を見ています。

    弊社は10年くらい前まで、普通にハードを売り、受託ソフトの開発をしていましたが、ハードの利益率は年々悪くなるし、受託ソフト開発は管理が難しくて、これも年間で利益予測するのが難しい。そこで、ビジネスモデルを大きく変えました。ハードは売り切りから、ファイアーウォールなどを顧客へメンテ込みで貸し出す月額費用請求方式へかえました。ソフトもウェブ方式の業務アプリを弊社サーバーへホスティングして、顧客へ月額使用料請求方式に変えました。このようにして、ハード部門もソフト部門も、中長期的視野で経営する事ができるようになりました。

    このような事を行ってきた私からみると、Appleのやりたかった事は、ハードを売り切りの商売から、毎月利益を生む商品へ育てたかったのではないかと考えています。

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