ジャガイモがダークホース

昨日の「そこまで言って委員会」は原発に代るいろんな代替エネルギーの専門家を呼んで、それぞれの方法のメリットをアピールしながら、どれに賛同するかを競うというものでした。その中で特に興味を持ったのは、亀井敬史の押すトリウム原子炉と、飯田哲也氏の押すジャガイモによるバイオエタノールの製造です。

トリウム原子炉は、ウラン燃料の原発にくらべて安全性が高いだけでなく、燃料交換が20-30年間という超長期なので燃料廃棄物が出にくいという利点があります。1万キロワット程度の小型ユニットにすると、空冷が可能なので、冷却水の為に海辺に建設する必要がないというのも素晴らしい。このような小型の発電ユニットを、広い敷地にずらっと並べて、30 – 50万キロワット程度の小規模発電所を、地方都市の近郊につくって行けば、大規模な送電施設のニーズを低下させる事もできます。また、燃料のトリウムは、レアメタルを掘り出した後の廃棄物として産出されるというのも興味深い点です。また、

トリウム原子炉も良いのですが、やはり原子炉としての問題点が根本的に解決した訳ではないので、いまの日本でこれを推進するのは政治的に難しいものがあります。その点でジャガイモによるバイオエタノール製造は、飯田哲也のユニークかつコロンブスの卵的な着想からいって、極めて可能性の高いアイデアといえます。

ジャガイモの廃材からバイオエタノールを製造する考え方自体は、こちらのように、既成のものです。ブラジルや米国では、とうもろこしから大量のバイオエタノールを製造しています。その為に米国では、人間や家畜が食べるとうもろこしが不足して、国際的な穀物の市場価格が高騰するという問題がありました。またとうもろこし等の植物を育てるには時間と手間を要するので、低いコストで大量につくるという点で問題があります。

ところが飯田哲也氏は、これらの問題をアイデアによって解決しました。

1)成熟が不要な芋類
  とうもろこしがバイオエタノールの原料になる為には、実が成熟する為に3-4ヶ月を要します。ジャガイモを含む芋類も成熟する迄に3ヵ月必要です。ところが芋類は、成長途中の未成熟の芋でも、バイオエタノールをつくるでん粉が含まれています。食用ではなくてでん粉を取る目的であれば、半分の1.5ヶ月で採集できます。飯田氏いわく、6週間位までの期間は成長速度が非常に速いのだそうです。この時期を過ぎてから収穫するのが効率が良いという事です。

2)段々畑
  植物が生長する為に日光が必要です。しかし大量の日光は植物にとっても「毒」なのだそうです。直射日光下のジャガイモは、97%の日光を捨てていると飯田氏述べています。そこで大きな建物に段々畑状の台を置き、(狭い日本の土地の)床面積を効率よく栽培できるようにすれば、単位土地面積あたりの収穫量を高める事ができます。ところで建屋の中につくるなら、水耕栽培が良いのではないかと考えます。水耕栽培は露地栽培の4倍から10倍の収穫になるという実験もあります。

3)食用市場と競合しない
  飯田氏のアイデアは、成長過程の芋類を収穫するので、食料用の農産物市場と直接競合する事がありません。更に、燃料用の芋類は品種改良や設備改良で、キロあたりの単価がどんどん下がってゆく事が予想されます。そうなると、食料用の高額な芋類が、燃料用市場に流入して、食料用の市場価格を高騰させる事はないと考えられます。

ところで燃料用の芋類を耕作するのにもっとも適しているのは中国だと考えられます。広大な土地を廉価で調達できます。水耕栽培に要する人件費も、上昇しているとはいえ、日本にくらべればきわめて低い水準にあるからです。

飯田氏は、芋を1キロ5円でつくれれば、石油に十分太刀打ちできると言っていました。専門外のため5円の内容を精査できないのが残念ですが、もれが正しいとすると、当面の目標は5円/キロの壁を越えられるかどうか、という事ではないでしょうか。

芋類でバイオエタノールの革命が起きれば、中東への石油依存度はかなり下がる事が予想されます。また、こういった燃料安全保障に極めて敏感な中国政府は、いずれこの分野へも資源を集中してくる事が予想されます。広大な中国で他国へ「売るほど」のバイオエタノールを安価に製造できるようになれば、日本は自国で製造するより、中国から輸入する方が合理的と言えるのではないでしょうか。

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