新聞は事実の報道に色をつけるな

2月 6th, 2008 Categories: 1.政治・経済

毒入り餃子の(ウェブ版)新聞記事を読んでいて、気になる文章があった。ニュースとは事実の報道であるべきだが、事実の中に推測や憶測を紛れ込ませて、事実に色をつけて、読者を意図的に誘導しているように思えるのだ。

今朝の朝日新聞で、「異臭騒ぎ生かせず 毒入りギョーザから別の農薬」から記事を引用すると、

中国製の冷凍ギョーザによる中毒事件で、メタミドホスが検出されたのと同じ工場で作られた同じ商品から、今度は別の農薬成分「ジクロルボス」が検出された。どこでどう混入したのか。メタミドホスの混入と関係があるのかないのか。被害を防ぐためのシグナルは見逃されていなかったか。ギョーザへの不信が、また深まった。(斜体は当ブログにて追加)

ジクロルボスが検出されたところから、始まっている斜体の文章をご覧下さい。「混入したのか。」 「関係があるのかないのか。」 「見逃されていなかったか」 「ギョーザへの不信が、また深まった」。これらは、記事を読んだ読者が、自分の頭の中で考えるべき事であろう。ジクロルボスが検出されたという事実を知っても、そこから更なるギョーザへの不信と結び付けない人だっているはずだが、そういう人に対して、「不信を深め」ようと記者が読者を誘導しようとしているかのような印象を受ける。

「防ぎきれなかったことについて、販売者としての責任を感じる。原因究明は精いっぱいやってきたが、そこまでたどりつけなかった」

日本生活協同組合連合会の飯村彰常務理事は5日夜の記者会見で、苦渋の表情で語った。(斜体は当ブログで追加)

報道の中で感情の表現を行う事には、常に問題がある。感情の受け取り方は人により千差万別。客観的な事実とは言い難い。しかも、印象良く書くと、事件当事者への世論のあたりが柔らかくなり、悪く書くと、世論の怒りを誘導して過剰な批判を受けやすくなる。このような状況は、記者の思惑次第で、世論を良いほうへも、悪いほうへも誘導できる。日本たばこは優良(広告)クライアントだから、なんとか世論を静めてくれ、という社命があって、このように陳謝を印象付けようと世論誘導したと言われても不思議ではない。

一方、輸入元のジェイティフーズの親会社・日本たばこ産業(JT)も5日深夜、岩井睦雄・食品事業本部長らが緊急に記者会見。異臭の苦情について 「検査の結果、トルエンのような有機溶剤が流通段階で付着し、(袋の)中に浸透したものと判断した。農薬についての検査はしなかった」と述べ、製造工程の 混入とは考えられなかったと釈明した。

昨年10月の別の日に製造された冷凍ギョーザに続いて、その4カ月前の6月に同じ工場で製造されたギョーザからも農薬成分、しかも別の種類の成分が検出された。これにより、一連の事件で製品に毒物が混入したのは、中国の工場での製造段階だった可能性が強まった。(斜体は当ブログにて追加)

朝日新聞の記者に聞きたい。日本たばこは記者会見で、流通段階で付着して浸透したという判断を示している。昨年6月と10月に、同じ工場で製造されたギョーザから異なる成分の農薬が検出された事をもって、(上記の斜体部分にある)中国の工場の製造段階だった可能性が強まった根拠はどこにあるのか

食品衛生法に基づく残留農薬の基準値はニラだと、0.1ppm。今回ギョーザの皮から検出された濃度は、その1000倍にもなる数値だ。内藤さんによる と、体重60キロの大人がこの濃度のギョーザを約440グラム(推定値)食べると、中毒を起こす可能性がある。問題になったギョーザは40個入り560グ ラムだった。(斜体は当ブログにて追加)

ギョーザから検出された農薬が基準値の1000倍という値を強調したかったのだと思うが、体重60キロ(普通の体格の大人)が問題のギョーザを30個も食べると中毒を起こすという事だ。これは逆に、ギョーザ5皿分(一皿6個)を1人で食べ切らないといけないという事だ。こんなにギョーザばかり食べられるだろうか?という表現も有り得る。新聞記者はメタミドホスの検出量の表現を操作する事で、必要以上に危機感を煽ろうとしている。
ニュースメディアは、事実と記者意見は、明示的に分離させるべきである。

Facebook Comments
Tags:
Comments are closed.