賞味期限は誰のため?

1月 3rd, 2008 Categories: 1.政治・経済

スーパーのレジで使用するバーコードは、JANコードという規格に従っている。このコードはまた、EANコードという世界規格の中の一つとなっており、いわば世界共通のレジ用バーコードともいえる。グローバリゼーションにより、世界中から商品が輸入される時代に、バーコードの国際規格というのは重要だ。ところが日本では、賞味期限の情報を付加する為に、国産のバーコード規格が検討されているようだ。

今朝の日経ネットによれば、

大手小売業のイオン、セブン&アイ・ホールディングスや食品メーカーの森永乳業など17社・団体は、消費期限や製造工場などがわかる新型バーコード を導入する検討に入った。レジで期限切れを自動的に警告するシステムに活用できるのが特徴で、2010年をメドに国内での普及を目指す。偽装問題が相次ぐ 食品分野で、安全性を確認できる情報技術を業界全体で整備し、消費者の信頼回復につなげる。

現行のバーコードは記載できる数字情報が限られるため、メーカーと商品の種類は識別できるが、いつ、どこで製造したかなどは加えられな い。新型は同じ印字スペースにより多くの情報を盛り込める。例えば消費期限切れの商品を店舗で精算しようとすれば、音などで知らせることが可能。消費者の 利点も多い。 (07:00)

これは「木を見て森を見ない」の典型であると思う。世間を騒がせた生産地や賞味期限の偽装問題をきっかけに検討されているのかもしれないが、根本的な問題を放置しているように思える。以下に問題点を指摘する。

まず最初に、賞味期限が誰のためのものかを議論すべきではないか。賞味期限を確認する最終責任が購買する消費者にある事が明確にできれば、店側が期限切れを警告するという必要性がなくなる。その為に必要な設備コスト、人件費が低減される。一方の消費者も、もっと自分で考えるようになる。過剰なサービスは、消費者を甘やかせるだけで、決して消費者の為にならない。子供の教育と一緒だと思う。

次に、商品のバーコードがなぜ世界中で統一規格になっているかを考えるべきではないか。日本人は問題が発生すると、その部分にだけスポットライトをあてて、その範囲で問題を解決しようとする。いまのJAN/EANコードのPOSレジ読み取り互換性を保ったまま、規格で産地区分・工場区分・賞味期限などの情報をバーコードに付加する事は、仕様の上で不可能である。グローバリゼーションが進む現代では、国内の物流もさまざまな方法で海外とつながっていて、国内向け商品がいつのまにか考えへ輸出されている。その海外のスーパーでも、JANコードは現地のPOSレジで読み取りできるが、新コードとなると無理であろう。JAN/EANコードとの互換性を保つ為には、商品に2つの規格(JANコードと新コード)のバーコードを併用するしかない。このような状況が合理的と言えるだろうか。

更に生産者のコストを増大させるという問題がある。大手生産者は問題が発生した特定工場の商品を、小売業者が店頭でを容易に分離できるので損害を最小限にできて便利だろう。しかし、あちこちに工場を持たない零細・中小メーカーにとってはメリットが見つけにくい。衣料や日用品など賞味期限の無い商品を生産するメーカーも同様である。それでもUNYやイオンのような大手スーパーが導入を決めれば、その棚にならぶ商品のメーカーはすべて、小売業者から新バーコードの使用をなかば強制される。協力しなければ、自動的に購買リストから排除されるだけなので、やらざるを得ない。一部のメーカーの為に、生産者全体が迷惑をこうむる規格だといえる。
そして最後に、生産者が意図的に偽装した商品は、新バーコードでは警告する事ができない。賞味期限を包装ごとつけかえれば、どうしようもないからである。

このような問題をぜひ17社といわれるメーカー各社は検討して頂きたい。

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