既に失われたものを保護する無意さ

12月 24th, 2007 Categories: 1.政治・経済

日経ネットによれば、総務省は、地上デジタル放送の番組をコピーできる機器に規制を加えようとしている。

総務省は地上デジタル放送の番組を録画して無制限にコピーできる海外製の機器の利用を規制する方向で検討する。デジタル番組は複製しても画質が落 ちないため、無制限に複製すると著作権者や出演者の利益を侵害し、コンテンツ(情報の中身)産業の育成の障害につながりかねないと判断した。

ここで総務省に明らかにしてほしいのは、コピーしても画質が落ちない事と、著作権者や出演者の利益を侵害する事との相関関係である。この点が私にとって納得がゆかない。

複製が家庭内で行われている限り、画質が落ちようが落ちまいが、既存のテレビ録画機器と何の違いがあるのか?販売目的の違法業者の心配をしているのであれば、それは警察が個別に取り締まるべき問題であり、機器の規制とは関係なかろう。 Youtube等へのアップロードを心配しているのであれば、録画画像を劣化させずに番組まるごとアップロードさせるのはファイルサイズ的に言って無理があるので、本件規制理由とは無関係と言える。

コンテンツの育成うんぬんについては、各方面で既に指摘されているように、テレビ番組等のコンテンツ産業育成を阻害しているのは、テレビ局が下請け・孫受けの製作会社へ丸投げしている業界構造そのものである。コンテンツ制作能力が、無規制コピー機普及で、これ以上低下する合理的理由が明らかでない。

ニュース記事の内容はもっともらしく書いてあるが、実際には辻褄があっていない。具体的に何を保護しようとしているのかが曖昧である。コンテンツ制作能力の事を言っているのであれば、コピー機規制より前にやるべき事がある。このような規制に見られるような、著作権うんぬんを盾にした業界過保護を撤廃し、インターネット上での放送を容易にし、新規参入や効率的な経営やコンテンツの質的な競争を促して、業界自体を強くするべきではないのか。

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