中国の治安維持規制と緩和状況

11月 24th, 2010 Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ

アゴラに投稿した記事で、kaku360さんから下記の質問を頂きました。内容がすこし長くなるので、アゴラのコメント欄ではなく、こちらで回答します。下記内容は、私が思い出せる限りのもを列挙しており、体系的な資料をもとにしていない事をご了承下さい。

>「治安維持を目的とした規制の緩和」とありますが、本当にそのような緩和が起きているのでしょうか?

私がはじめて香港(当時は英国統治領)から中国大陸に足を踏み入れた1989年当時は;

1)中国人が遠距離移動する為に飛行機のチケットを買うには、役所の許可が必要だったようです。
2)外国人は、開放都市以外への出入りが認められていませんでした。
3)一般人の外国旅行は極めて困難でした。
4)中国ではじめてできたシンセン市の中のシンセン経済特区は、第二国境と呼ばれるゲートで人の」出入りを管理しており、中国人が経済特区へ入るには専用の許可証が必要でした。
5)外国人を宿泊させる許可を持つホテルは限られており、外国人がビジネスホテル級の安ホテルに泊まるのは比較的困難でした。
6)外国人が一般の民家を訪問して宿泊したり居住するには公安警察への届出が必要で、民家に外国人が出入りすると、周辺の家から公安へたちまち通報されていました。
7)個人が公的な場所で意思表示する事は、壁新聞であろうとビラであろうと極めて困難でした。
8)中国人の労働者による労働者の為の労働組合は事実上禁止されていました。

2010年11月現在は;

1)中国政府が発行する身分証があれば、だれでも、国内の何処へでも、飛行機のチケットを買って、移動する事ができます。
2)チベットのように暴動など治安上の理由で出入りを制限されている場合を除き、中国全土が開放されています。
3)沿岸部都市に戸籍を持つ一般人などの比較的多くの人が海外旅行を行うようになりました。
4)シンセン経済特区の第二国境は事実上なくなりました。
5)地方都市の安いビジネスホテルの非常に多くが、外国人を宿泊させる許可をもっています。
6)外国人の民家への滞在には公安への届出が必要なルールは今でもありますが、大都市の公安は、平時は黙認しているところが増えているようです。周辺家庭からの通報もあまり無いようです。(みつかると罰金を取られます)
7)ネット上の掲示板やブログでは、1日に膨大な数の更新があり、日常的な行政への不満など含まれていますが、おおくの更新についてはいちいち削除される事はありません。一部の中国人がわざわざVPNなどでTwitterへアクセスして情報交換する事も黙認されているようです。
8)労働者による労働者の為の労働組合が認められています。

ちなみに、今でもけっこう厳しく規制されていると感じるのは;

1)言論の自由や、民主化を目的とした集会やデモ。
2)政治的な意見を伴うデモや集会。
3)多くの注目を集める、ブログや掲示板の政治的記事。
4)大企業や地方行政への苦情の意思表示を、街頭などで行う。

1と2は、主に民主活動家によるもので、予防的措置と推測。
3は、一般人の記事が、たまたま多くの注目を集めた場合で、予防的措置と推測。
4は、地方名士の企業や地方政府の不正・腐敗を、地方政府の公安が庇う場合。本来これは中央政府的には不正対象が処罰されるべきだが、中央政府のポリシーから逸脱した地方政府が自己防衛的にもみ消そうとし、そういう不法な処理に中央政府の目が届かないケースと推測。私は常々、実世界で不正対象に対して直接的な活動を行うよりも、ネットを使って、世論と中央政府に対して効率良くアピールする方が、抗議者のリスクを小さく保ちながら不正の暴露と処罰という目的を達成しやすいと考えますが、抗議したい当事者達はネット・リテラシーが低い人たちが多いのを歯がゆいと感じています。

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