結納の起源

11月 9th, 2010 Categories: 3.中国ネタ, 5.閑話休題

スパーム・ドナー(精子提供)―人工授精の子供達(1) のコメント欄で、ap_09さんと結納の起源について話す機会がありました。この記事は、その時のコメント内容をまとめたものです。

結納の起源を調べると、

「結納の起源は4世紀から5世紀頃、仁徳天皇の時代に遡る。仁徳天皇の皇太子(のちの履中天皇)が黒媛を妃に迎えるときに贈り物(納采)を贈ったことが最初とされ、宮中儀礼の「納采の儀」として脈々と受け継がれている」

とあります。日頃炉路お世話になっているwikiですが、日本の結納が国内で単独で発生した文化であるとは、なかなか信じる事ができません。私は香港に長年住んでいますが、香港人同士の結婚式には結納と良く似た儀式があります。香港の結納が日本から伝わったとは思えません。

中国で結納は何と言うのでしょうか。wikiで日本の結納のページを開き、ページの左側にある中文(結納の中国語の説明)をクリックすると、納徵のページが開きます。納徵は、「三書六禮」とい中国の伝統的な結婚の儀礼を定めたルールブックの中の主要な儀式のひとつのようです。三書六禮のルーツは、西周(紀元前11世紀から紀元前771年)まで遡る事ができる大変古いもののようです。

さて、三書六禮で納徵(又稱過大禮)の内容を見てみましょう。

納徵(又稱過大禮):即男家把聘書和禮書送到女家。在大婚前一個月至兩週,男家會請兩位或四位女性親戚(須是全福之人)約同媒人,帶備聘金、禮金及聘禮到女方家中;此時,女家需回禮。

(以下、意訳)
夫側の家は「招聘状」と「贈り物リスト」を妻側の実に送ります。「大婚」の1ヶ月前から2週間前までに、夫側の実は女性の親戚が仲人を伴い、結納金と贈り物を持って女性側の家を訪れます。この時、妻側の実は返礼が必要です。

これはどうやら、日本の結納に非常に近い儀式のようですね。ところで三書六禮にはもうひとつ、納采という儀式があります。その内容は、

納采:當兒女婚嫁時,由男家家長請媒人向物色好的女家提親。男家在納采時,需將大約達三十種有象徵吉祥意義的禮物送給女家;女家亦在此時向媒人打聽男家的情況。

(以下、意訳)
息子の縁組み相手の女性を探す時、夫側の実の家長が仲人に、妻になる良い女性を探してもらい、縁組を持ち込んでもらいます。夫側の実は「納采」(仲人経由で縁組を女性の家に持ち込んでもらう)の時、大体30種類に達する「めでたい贈り物」を女性の家に送ります。女性の側の家も、この時、仲人に夫側の家の情況を尋ねます。

これって、息子を持つ家の親が、仲人さんにお願いして、縁組相手の女性を探してもらう手続きの事ですね。この時に、男性側の家から女性側の家へ、30種類の目出度い贈り物を贈って、「どうかうちの息子をよろしく!」と売り込む為の儀式のようです。

さて、日本の結納の起源である「納采の儀」が、三書六禮の納采と同じ文字である事は、偶然の出来事でしょうか?何の物的証拠もありませんが、本来は納采というべきであった結納の儀式が、翻訳ミスあるいは伝達ミスによって、同じく結婚の儀式である納采という名称で宮中の儀式として定まったというのが、私の推理です。

みなさんはどう思われますか?

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2 Responses to “結納の起源”

  1. 11月 10th, 2010 at 09:05
    1

    面白い考察ですね。
    中国語の納采というのは結婚に伴う贈り物の一般の名称であるようですが、日本では宮家の儀式についてのみ使う言葉のようですね。一般人が同じ言葉を使うわけには行かないので、かわりに結納という言葉ができたのかもしれません。

    宮内庁に直接聞くか、「教えてgoo」にでも質問してみられてはいかがですか?
    自分で調べるより、手っ取り早く詳しい方のお話が聞けるのではないでしょうか。

  2. bobby
    11月 12th, 2010 at 00:58
    2

    ap_09さん

    >中国語の納采というのは結婚に伴う贈り物の一般の名称であるようですが、

    納采というのは、現代的に言うと「採用する」というような意味で、三書六禮では「贈り物」ではなく「見合いの斡旋」のような意味合いではないかと思います。

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