長期の超円高に対応する企業戦略

10月 16th, 2010 Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ

藤沢数希氏は、今は円高ではないと述べています。現在の円高といわれるものが、もともとは円キャリー取引と巻き戻しの結果であるという事については以前にも述べましたが、藤沢氏は「グローバルインバランスの調整」という言葉で表現しています。

また小幡績氏は、1ドル80円を切っても為替介入すべきでないと述べています。世界各国首脳が元高に対して中国包囲網を構築している時期に、日本政府が単独で為替介入すると、円高に対する単が効果が無いだけでなく、世界各国からの批判を招くであろうとの事です。

日本政府が円高に介入する理由は、輸出企業を守る為だと思われます。国内で売買が完結している企業にとっては、決済はすべて円で行われるので、円高による為替差損は発生せず、財務諸表が痛む事はありません。

さて、藤沢氏が述べるのようにグローバルインバランスの調整結果であるという説が正しいならば、現在のような円高(場合によってはもっと高くなる?)が「本来の水準」だという事になり、いくら待っても為替介入しても円安にはなりません。米国が再び世界のお金で溢れ、世界的捩れが再生されるまで、円安の時代は到来しない事になります。

日本の輸出企業は、来るか来ないかわからない円安時代を待ち続ける事が、企業として正しい戦略と言えるでしょうか?

私はノーだと考えます。では、円高が長期的に続く時代を想定した戦略とはどのようなものでしょうか。私の提案は、日本の最終セットメーカー(キヤノン、三菱電機、トヨタなど)は、日本の輸出型企業全体の為に、決算で用いる財務諸表のベースカレンシーをドルに変更する事です。

ベースカレンシーをドルに変更する第一のメリットは、上場している輸出型大企業が、円高による為替差損の赤字で財務諸表が痛む事から開放されます。為替差損による損益の劣化で、株価が下がる事も少なくなります。

第二のメリットは、ドルとリンクしている中国元の為替差損からも逃げられるという事です。対中輸出額は、今後ますます大きくなると予想されていますから、この効果は非常に大きいと考えます。

第三のメリットは、最終セットメーカーの下にぶら下がる無数の中小零細企業が、円高による無理な値下げ圧力から開放されます。大幅な円高を吸収する為に、最終セットメーカーは常に、下請けメーカーへの値下げ圧力を強めています。

第四のメリットは、国内に残る輸出型メーカーの工場を一気にグローバル化する事です。販売単価がドルベースになると、国内で生産を続ける工場が為替差損をかぶり、国内に居続ける事ができなくなります。従って、下請けメーカーとして存続するには、中国やアジアへ進出せざるを得なくなります。ここで一気に、日本の輸出企業群のグローバリゼーション・シフトが完成し、大企業だけでなく中小零細企業も、長期の円高環境でも安定した利益を計上できるようになります。

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