敵を知り己を知らば百戦危うからず

10月 11th, 2010 Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ

尖閣諸島の問題で明らかになったのは、いまの日本にとって中国は、ある意味で当時のロシアに匹敵する潜在的な脅威となっているという事です。それに対処する為の力(軍事力、経済力、国際的影響力)が、いまの日本には十分にありません。

そういう日本のおかれた状況を客観的に把握して、その上で、どうするのか(中国の空軍・海軍に正面から対応できるだけの軍備増強をやるのか、核武装するのか、米軍との連携をより強化するのか、NATOへ加盟するのか、それとも中国の軍門に下り中国経済圏の中で香港のようになるのか)日本が実際に実行可能な方法を決め、それを長期戦略にして実行するしかありません。

戦略を練るためには、中国を良くを知り、日本の状況をよく知らねばなりません。

日本が中国と敵対する可能性を考えた時、我々は中国の事をもっと知らねばなりません。その目的の為に、中国人の領土意識について知るために臥薪嘗胆を、中国のおかれている国内事情について知る為に中国のジレンマ:治安が先か人権が先かを書きました。この内容に噛み付いて、「日本が中国の領土であった歴史は無い」と文句を言っても、一般の中国人はそう思っているのだから仕方ありません。また「だから人権よりも治安が優先すると主張してよいのか」と抗議したところで、中国政府は1ミリも態度を改めたりはしないでしょう。

同じく、日本の戦力や経済構造や社会へのインパクトについても良く知らねばなりません。単独で敵と戦うために、どれだけの戦力増強と訓練の時間が必要なのか、日本の企業と社会が中国にまったく依存せずに韓国や欧米先進国と競争してゆく事ができるとするならば、それにはどうしたら良いか、構造転換の為の時間と費用はどれだけ必要か。開戦時に欧米や東アジア諸国からの間接的な支援が得られるようにするにはどうしたら良いか。敵が中国内日本企業の資産凍結、南シナ海シーレーン封鎖した場合の日本の経済的ダメージは耐えられるか。それに対する日本側のダメージジコントロールをどうするか。戦力増強および戦費をまかなう為のトレードオフとして増税や借金や経済停滞をした場合に、日本国民はどれだけ耐えられるか。

そういった事を調査分析して、日本が取り得る現実的な長期戦略を作成して、軍事力を背景に正論を押し通すか、戦争するくらいならギブアップするかを決断し、最後までブレずに戦略を実行するべきであろうと考えます。

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10 Responses to “敵を知り己を知らば百戦危うからず”

  1. コマザワ
    10月 11th, 2010 at 10:30
    1

    「噛み付いて」「文句を言って」とは失礼な物言いですね。
    あなたへの異論は、噛み付きや文句ということですか?

    世の中のすべての人があなたのイエスマンではありません。反論したり、異なる意見を書くこともあるでしょう。
    それを蔑み、犬やクレーマーのごとく扱うとは残念です。

  2. 10月 11th, 2010 at 13:56
    2

    > そういった事を調査分析して、日本が取り得る現実的な長期戦略を作成して、軍事力を背景に正論を押し通すか、戦争するくらいならギブアップするかを決断し、

    「memo26 やコマザワさんの書いていることは正論である。非は中国にある。しかし、日本が中国に対抗することは不可能であると bobby は考える。ギブアップしたほうが得である。日本は中国の軍事力を増強するために、どんどん対中経済支援を行うべきである。日本がみずから進んで、どんどん日本を不利にすることになるが、やむをえない。現に bobby はいま、中国当局に媚びている。賢い者は、強い者にはへつらうのである。」

    要するに、これがあなたの主張ですか?

  3. bobby
    10月 11th, 2010 at 14:24
    3

    memo26さん

    >要するに、これがあなたの主張ですか

    私の主張の要旨は、この記事の表題と同じです。これらを正確に知る為には、日本の各省庁の官僚と民間シンクタンクが共同で、広範囲な情報収集と分析とシミュレーションを行う必要があると考えます。敵と己について正確に知るまでは、結論は出せません。

    しかしながら、極論的な結論の予測を行うとすれば、日本が中国と敵対しても戦争せずに生き残れる方法があるなら、相応の準備が整ったところで「強気」に出れば良い。中国と戦争無しに敵対関係を継続する事が不可能であるのなら、独立国家である事をギブアップして、米国の州になり米国の庇護下に入るとか、中国の日本特別行政区になり中国の庇護下に入るとか、それ以外に可能な生き残りの道を考えれば良いのだと思います。

    いかなる分析結果であるにしろ、私の結論の中に含まれていない選択肢は、民間の犠牲を伴う中国との戦争を行う事です。(北朝鮮が攻めてきた場合の防衛戦争は除外)国家の為に民(人や企業や民の財)が犠牲になる戦争は、本末転倒であり、受け入れられません。

  4. bobby
    10月 11th, 2010 at 14:31
    4

    (続き)
    外交に必要なのはリアリティーです。そういう事を抜きにして、彼我の事も十分わかず、戦略もなく、ただたた感情論に押されて「正論」を振りかざすのは「幼稚」すぎるというのが私の意見です。

  5. 10月 11th, 2010 at 16:41
    5

    私の主張の要旨は、この記事の表題と同じです。これらを正確に知る為には、日本の各省庁の官僚と民間シンクタンクが共同で、広範囲な情報収集と分析とシミュレーションを行う必要があると考えます。敵と己について正確に知るまでは、結論は出せません。

    情報収集と分析とシミュレーションが必要である、という点については、同意します。しかし、正確に知るまでは、結論は出せない、という部分については、同意しかねます。なぜなら、外交とは、「限られた情報のもとで、限られた時間のなかで決断しなければならない」ものだからです。

    > いかなる分析結果であるにしろ、私の結論の中に含まれていない選択肢は、民間の犠牲を伴う中国との戦争を行う事です。(北朝鮮が攻めてきた場合の防衛戦争は除外)国家の為に民(人や企業や民の財)が犠牲になる戦争は、本末転倒であり、受け入れられません。

    中国が日本を攻撃する可能性もあります。いまの日本は、「自分から戦争をしかける」ことはないと思います。日本についていえば、「他国から戦争をしかけられた場合にどうするか」が問題となるにすぎないでしょう。したがって、「本末転倒であり、受け入れられません」といったことは、そもそも問題にならないと思います。

    > 外交に必要なのはリアリティーです。そういう事を抜きにして、彼我の事も十分わかず、戦略もなく、ただたた感情論に押されて「正論」を振りかざすのは「幼稚」すぎるというのが私の意見です。

    これには同意します。念のために申し上げますが、私は、「ただただ感情論に押されて」正論を振りかざしているわけではありません。もっとも、私を指して言われたのではないかもしれませんが。

  6. bobby
    10月 11th, 2010 at 21:40
    6

    memo26さん

    >なぜなら、外交とは、「限られた情報のもとで、限られた時間のなかで決断しなければならない」ものだからです。

    我々は偶発的な個別局面について述べているのではなく、長期的な対中戦略に議論しているのだと理解しています。故に、十分(といっても最大数年以下でしょうけど)の時間をかけて、結論を出すべきであろうと考えます。

    >中国が日本を攻撃する可能性もあります。

    中国のしっぽ(台湾問題、尖閣諸島に代表される領土問題など)を意図的に踏み、更に強行な態度で「正論」で突っ張らない限り、中国に侵攻される可能性は十分低いと考えます。

    >もっとも、私を指して言われたのではないかもしれませんが。

    仰るとおり一般論です。

  7. 10月 12th, 2010 at 08:11
    7

    >そういった事を調査分析して、日本が取り得る現実的な長期戦略を作成して、軍事力を背景に正論を押し通すか、戦争するくらいならギブアップするかを決断し、最後までブレずに戦略を実行するべきであろうと考えます。

    日本は軍事力、政治・外交、経済力も全て駆使して、独立を保つのが最善の道です。

    ギブアップしたら、完全な中国人になるか(人権など認められない独裁政権下で、100年かけて先人が成し遂げた近代化以前に逆戻りして暮らすことになります)、ディアスポラになって国外離散することになります。

    ユダヤ人は2000年(?)もディアスポラをして来てそのつらさを十分知っています。そこで他人がなんと言おうと、イスラエルの建国第一日目から今日に至るまで戦闘が続いていても、決して妥協しません。ユダヤ人も平和を望んでいるのですが、降りかかる火の粉を払うためにはやむをえない状況でもあり、「独立国」を維持することに迷いはありません。

    拙ブログ内での個人的な経験話で恐縮ですが、
    http://blog.livedoor.jp/ap_09/archives/3531221.html
    かのアルメニア系レバノン人は、おそらく祖父母の代でトルコでの虐殺から逃れてレバノンにたどり着き、親の世代も自身の子供時代もレバノンの内戦、まともな暮らしを求めて渡米と、三代に渡って、今だにディアスポラを続けています。

    このような困難な生き方を選ぶよりは、自国をしっかりと守る方が、よほど豊かで安定した暮らしを保てると考えるのが自然な発想かと思います。

    また、中国人と日本人は文化的にかなり異なる(韓国人に比べるとずっと遠いですね)ので、日本人はすんなりとは中国人に同化できません。日本が中国に吸収される場合、中国政権下での社会安定のためには、中国は力による弾圧を選ばざるを得ません。

    日本の人口は中国の10分の1ですが、世界的に見て第10位の人口規模であり、経済のみならず、人口規模の点からも、決して小国ではありません。ましては少数民族などではさらさらありません。そのような国を中国が吸収にかかった場合、大変な抵抗、摩擦は避けられません。

    つまり日本は時間をかけてでも、政治・外交、経済、軍事力を整え行使して独立を保つのが、最も効率的で、かつ、実際には容易な道なのです。

  8. 10月 12th, 2010 at 11:39
    8

    > 中国のしっぽ(台湾問題、尖閣諸島に代表される領土問題など)を意図的に踏み、更に強行な態度で「正論」で突っ張らない限り、中国に侵攻される可能性は十分低いと考えます。

    日本が中国に譲歩し続けているかぎり、中国は日本を攻撃しない。当たり前です。しかし、あなたの主張は日本を犠牲にして、中国を利益を与える主張にほかなりません。短期的にも長期的にも、あなたの主張は日本を窮地に陥れるもので、説得力がないと思います。

    まさかとは思いますが、そのうちあなたは、

    日本が中国に九州・沖縄を「返還」するかぎり、中国は日本を攻撃しません。日本が強硬に「正論」で突っ張らないかぎり、東京が中国に侵攻される可能性は十分低いと考えられます。日本は突っ張らずに、中国に九州・沖縄を無償「返還」すればよい。日本が突っ張れば、戦争になります。戦争は国民に犠牲を強いるので、好ましくありません。日本は中国に九州・沖縄を無条件で「返還」すべきです。

    などと主張されるのでしょうか?

  9. 10月 12th, 2010 at 11:42
    9

    入力ミスです。下記のとおり訂正します。なお、私は ap_09 さんの意見に賛成です。

    「日本を犠牲にして、中国を利益を与える主張」
      ↓
    「日本を犠牲にして、中国に利益を与える主張」

  10. bobby
    10月 12th, 2010 at 12:22
    10

    memo26さん

    >しかし、あなたの主張は日本を犠牲にして、中国を利益を与える主張にほかなりません。

    繰り返しになりますが、私に主張は「敵と己を良く知れ、それから日本が進むべき長期的な戦略を「結論」として出して、それを実行せよ」です。

    直近の尖閣諸島ネタ記事には、中国と対立する場合のソリューションについて提案しているものもあります。そちらの方もご参照下さい。

    【普天間基地を尖閣諸島へ】
    http://bobby.hkisl.net/mutteraway/?p=2716
    【東アジア諸国との連携)】
    http://bobby.hkisl.net/mutteraway/?p=2760

    結論が出るまでの間は、両極端のケースについて検討する事は無駄ではないと考えます。別のコメントでも書きましたが、長年のプロジェクト管理の経験によれば、重要な戦略を策定する場合は、作成時はなるべく悲観的な姿勢で作成し、いざ実行する場合には、なるべく楽観的に実行する方が、結果として成功する可能性が高いという事かと思います。たとえば日露戦争における日本海海戦とかが良い例かと思われます。

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