マーカーワクチンは口蹄疫対策のイノベーション
山内一也氏の「人獣共通感染症 第116回追加 口蹄疫との共生」によれば、ワクチンと感染の抗体を判別できるマーカーワクチンの技術は、1970年代後半に開発されているそうです。
(引用開始)
新しいタイプのワクチン開発は1970年代後半に組換えDNA技術が生まれた際に、その応用問題第1号としてベンチャーのGenentechが試みたことがあります。これはウイルスの被殻の蛋白VP-1を大腸菌で産生させた、サブユニットワクチンでした。しかし、1980年代初めにできてきたワクチンは現行のワクチンよりも免疫力が弱く実用化には到りませんでした。
その後は、殺処分という国際方式が存在している中でワクチン開発をしても企業利益にはつながらないために、企業によるワクチン開発はこの30年間ほとんど試みられていません。その間にほかのワクチンでは第2世代、第3世代ともいえる新しい技術が試みられていますが、口蹄疫は取り残されたわけです。一部の国立研究所でDNAワクチンやベクターワクチンなどの新しいワクチン開発の試みが細々と続けられているだけです。
(引用終わり)
山内氏も、人とモノのグローバル化が進む現代に、殺処分だけで清浄状態を保つ事はますます困難になっていると指摘しています。口蹄疫という恐ろしい感染力を持つウイルスへの対策は、科学的かつ合理的なリスク管理が必要です。政府と地方自治体は、可及的速やかに、この疾病への本格的な対策組織を発足し、発生予測、迅速かつ経済的な予防ワクチン摂取、自衛隊による地域封鎖、発生時の客観的なリスク評価など、経済的なダメージコントロールを容易に行えるように法律を整備するべきです。
参考記事:口蹄疫殺処分は、食肉輸入の非関税障壁を維持することが目的である 井上晃宏(医師)
>マーカーワクチンの技術は、1970年代後半に開発されているそうです。
(引用)
新しいタイプのワクチン開発は1970年代後半に組換えDNA技術が生まれた際に、その応用問題第1号としてベンチャーのGenentechが試みたことがあります。これはウイルスの被殻の蛋白VP-1を大腸菌で産生させた、サブユニットワクチンでした。しかし、1980年代初めにできてきたワクチンは現行のワクチンよりも免疫力が弱く実用化には到りませんでした。
(引用おわり)
マーカーワクチンの技術が1970年代に開発されたとかの話は一行も書いてませんよ。
これは、
「ウイルスの「殻」の部品のタンパク質を、遺伝子組み換え技術で大腸菌に大量につくらせて、ワクチンとして使用してみたよ。でも、やっぱり本物の「殻」と比べ、免疫を誘導する効果はかなり劣るものであったよ」という話だけです。
書いてない内容のような気が・・・??
http://www.pref.nagasaki.jp/shokuniku/tameninaruhanasi/wakutin/wakutinkouza.htm
↑おすすめいたします。
ウイルスとは、ワクチンとは何なのか。
おおよその基本的な知識が書いてあるかと思います。
これくらいの知識があると、今の問題に関してよりきちんとした議論ができると思います。
ちなみに、
不活化ワクチンにおけるマーカーワクチンをつかってウイルス感染症を制御したのは、近年のイタリアにおける鳥インフルエンザです。
http://ss.niah.affrc.go.jp/disease/poultry/infl_vaccine.html
↑なかなか、むずかしいようですが・・・。
どうもほかのコメントのところをみても、いわゆる専門家が書いたページの、自分の論理展開に都合のよいところのみが目についてしまうようですね。。。
結果、書いてないことを読んでしまう、と。
山之内先生のページの意見はいわゆる「エキスパートオピニオン」で、つまり、偉い先生はこう言ってると、それだけです。
やっぱりap_09さんのように、すくなくともその偉い先生がその論をもつ根拠となった研究、論文、それが実際どうなのか、というところまで突っ込まないといけないのでは。
OIEのページから、元の資料をみたり、オランダやイギリスの対策を
(Netherlands FMD )
(UK FMD outbreak )などの検索語でググってみたり、南米であれば、(Uruguay FMD)
などでググッてみてください。
欧米は結構、太っ腹なのか、もとの学術論文がPDFでただで読めたりします。
foobirdsさん、微妙なところを突いてこられましたね。山之内氏の記事は、文中でマーカーワクチンを暗示しているのではないかと考えました。ところでマーカーワクチンは、この世に既に存在するようです。下記の文献を参照ください。マーカーワクチンを製薬会社から購入可能であれば、日本政府の殺処分は、ポリシーとしては有りかと思いますが、「ワクチンを接種すると感染と区別できない」という理由は破綻するかと思われます。
Intervet/Schering-Plough Animal Health
New legislation and the development of marker vaccines and test kits allows for the use of vaccination as part of a FMD control strategy.
http://www.foot-and-mouth-disease.com/
Marker vaccine potential of a foot-and-mouth disease virus with a partial VP1 G-H loop deletion.
Previous work in cattle and pigs demonstrated that protection against foot-and-mouth disease (FMD) could be achieved following vaccination with chimeric foot-and-mouth disease virus (FMDV) vaccines, in which the VP1 G-H loop had been substituted with that from another serotype. This indicated that the VP1 G-H loop may not be essential for the protection of natural hosts against FMDV. If this could be substantiated there would be potential to develop FMD marker vaccines,
PMID: 20199761 [PubMed – in process]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20199761
bobbyさん、
こちらの記事が最新のようなので、前回のお返事の返事をこちらで致します。
>ちなにみ、別の方のコメントへ反論するために英文記事を調べていたところ、口蹄疫のマーカーワクチンはすでに調達可能なようです。下記のコメント欄の英文記事をご参照ください。
http://bobby.hkisl.net/mutteraway/?p=2418&cpage=1#comment-22463
ええと、残念ながら、調達可能なマーカーワクチンの英文記事は見当たらなかったのですが、どれでしょう?
繰り返しになりますが、6月8日付けのコメントにも添付した同じリンク先をもう一度お示しします。以下が私が探し当てた最新の専門家筋の情報です。有料なので要旨部分しか手に入りませんでしたが。
ひとつは2010年4月時点での概説、それでは口蹄疫のマーカーワクチンの実用化は今一歩のようです。
もうひとつは2010年4月の研究論文で、マーカーワクチン開発のために有望な発見のようですが、まだ実用化の話ではありません。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20021307
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20199761
>ええと、残念ながら、調達可能なマーカーワクチンの英文記事は見当たらなかったのですが、どれでしょう?
すみません、当該コメントがスパーム疑惑で承認待ち状態になっていました。二つ上のコメントをご参照下さい。
お示しになった論文の本文を手に入れてよみましたが、やはりコマーシャルベースでの供給の話はひとつもでてないですよ。
pubmedでみられるアブストラクト部分にもその話はないです。
研究段階です。
あとはアゴラのほうにも書いた話になるので、割愛させていただきます。そのうちコメントが承認されて見られるようになると思われます。
foobirdさん、ap_09さん
私がコメント中で紹介した上側の資料中にある Intervet社のmarker vaccines and test kitsの、テストキットにあたるのが下記商品だと思われます。Intervet社のどのワクチンがmarker vaccinesに該当するのか、あるいは既存のワクチンに対してCheckit FMDが、ワクチンと感染の抗体の違いを判別するのかは今のところわかっていません。
【マーカーワクチンの検査キット:Checkit FMD】
http://www.foot-and-mouth-disease.com/product_information/checkit_fmd_test.asp
【Checkit FMDの詳細な説明】
http://www.foot-and-mouth-disease.com/Binaries/68_33112.pdf
英国のウェブニュースの2つの記事を紹介します。
【NB Warmwell.com】
http://www.warmwell.com/aboutfmd08.html
(April 12th 2010 ~ When will the UK follow the Dutch example on Foot and Mouth?という記事中の抜粋)
The Dutch contingency plan for FMD now specifies the use of vaccination or marker vaccination in a radius of 2km around a source herd.
この記事はオランダでがmarker vaccinationがすでに実戦投入されている事を示唆しています。
(April 22~ Farmers were told in 2001 and still believe the unscientific nonsense that it is impossible to sell vaccinated pedigree cattle..という記事中の抜粋)
..yet a test that discriminates FMD vaccinated cattle from those that were previously infected was invented in the US in 1994 – fifteen years ago – and such tests are marketed by several companies. Intervet’s Checkit FMD-3ABC is endorsed and validated by Pirbright and a FMD vaccine is specifically designed to be used with that test.
この記事は検査キットが市場で販売されている事を示唆しています。
お返事をエントリーにいたしました。よろしかったらどうぞ。アゴラの方にもトラックバックしました。http://blog.livedoor.jp/ap_09/archives/3272556.html
NB Warmwell.comというのはニュースというより「噂」か「プロパガンダ」のようで、ちょっと信頼性に欠けるのではないですか?
ap_09さんの記事にコメント入れさせて頂きました。ご指摘の内容は、テストキットは100%ではないという事です。しかし、100%でないから使えない、という事であれば、この世界に「使える」薬やワクチンは非常に少なくなっています。要は、どう利用するか、という事ではないでしょうか。利用されれば、どんどん改善される事も明白です。
bobbyさんの物言いだと、なにかどこかにあるマーカーワクチンを導入すれば片付くように(自分には)聞こえます。
テストキットだけでなく、ワクチンも100%の効果ではないです。だからこそ、色々なことを控えめに見積もるべきです。
自然に対して人間ができる対策というのも、100%のものではないです。だから
たとえそこに人為的なミスがあったとしても、今回の感染を完全な人災とするには根拠が薄すぎます。
貴方は議論によっていろいろなことが発展すれば良いと考えるようですし、たしかにそれはあります。
しかし、いままさに苦しんでいる人がいるなかで、水におぼれた犬をたたくような話を、ある程度大きなPVのあるところでする井上晃宏氏も、その対策の限界を指摘する声に対して「これがあるじゃないか、なぜ使わなかった、ないならないと証明しろ」と言わんばかりに、浅く読んだ資料を基にコメントを続けるあなたにも、問題があるように思います。
議論をするなとは言いません。言論の自由がありますし、議論は大事です。
でも、いまするべきじゃないんです。
言論の自由は、人を傷つけていい自由ではないんです。
もしかしたら、井上氏の言ってたようなこともあるかも知れませんが、いまの状況を見ながら、「自業自得」という人がいますが、神経が知れません。
だから、今、議論をするのであれば、言い方に慎重になるべきと思っています。
twitterなどを見ても、アゴラの記事のトップが池田信夫氏のところからたくさんRTされていますが、これも問題です。
いままでのアゴラの記事内容に、井上氏が一言もコメントレスを返さないのもおかしいと思います。
この辺がはっきりするまでは、まだすこしアゴラを見ています。
foobirdsさん
私は、ここでもアゴラでも、100%のワクチンやテストキットがあるとは書いていません。しかし100%でなければ「使用に耐えない」という事でもないと思います。
私がCheckit FMD-3ABCにたどり着くまで、マーカーワクチンや市販のテストキットがあるという前提で議論していませんでした。私がそこへたどり着いたのはfoobirdsさんやap_09さんとの議論のおかげです。私がそれをアゴラでコメントしたのは、それによって議論の方向性を修正できるかもしれないと考えたからです。正しい議論には、常に、正しい前提が必要です。間違った前提があれば、気付いた人が気付いた時に、随時修正すれば良い。我々は専門家集団でも政府の顧問でもないのだから、それは許されるでしょう。
ところで日本人には「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という悪しき習慣があるようです。だからこそ、今まさに、この課題を語りつくすべきであると思います。
>今回の感染を完全な人災とするには根拠が薄すぎます。
日本に再び口蹄疫が来る事を、10年前に山之内氏は警告してたようですが、行政は十分なリスク管理を行っていたでしょうか?どのようなcontingency planを持っていたでしょうか?ウイルス禍は政治的なスタンドプレーや、汗や涙で制御する事はできません。contingency planの作成には専門家が集まって議論をつくすべきですが、一度発生したら、プランを実行するのみです。そしてプランが有効でないと判明し、その内容に問題が発見された場合、それは行政の責任(つまり人災)といえるのではないでしょうか。
目前の現実を見据えない限り、正しい判断はできないと思います。違いますか?
>目前の現実を見据えない限り、正しい判断はできないと思います。違いますか?
それは正しいと思うんです。
ただ、それを言うための前提となる、「現実」を、どれだけ理解しているかが問題なんです。
いまap_09さんや私が言っているのは、その「現実」というのが、そんなに甘いものではない、ということです。ブレイクスルーなんて簡単には見つからないんです。
口蹄疫は、人類がかなり長い間をかけて戦ってきた病気です。農民や、獣医や、それまでの歴史のさまざまな戦いでも、国の財政のかなりの部分を畜産物の輸出で担っている国でもなかなか対処できない問題なんです。
>我々は専門家集団でも政府の顧問でもない
なら、なおさら、最適解を見出す可能性は低いです。自分の専門分野でもなく、生活が脅かされる実感もないままに議論しているわけですから。
目の前の「現実」を見据えるというのであれば、なにか目新しい解決策が目についたとしても
・それは日本において適用可能であるか
(今後も含めて)
・もしそうなら、なぜいままで適用できなかったのか
などを検討する必要があります。
それを検討する必要があるから、わざわざ貴方が提示したページの先や、関連文献も読んでいるわけです。
私は人間の医者で、獣医ではないですが、自然とそういうことをするわけです。
本来、緊急時の初動体制については、こういうことが起きる前に取り決めておくほうが良いんです。
ただ、その場合、実際に起きたときの被害がおおきなものほど、アラートの閾値を下げる必要があります。
「大変だ!」といって、初動体制を引いて、結果、何でもなかったら「よかったね」といって終われば良いんですが・・・。
日本のだめなところは、そこでなにもなかったときに「大騒ぎしやがって」と責める人がでてくるところだと思います。
これがあるから、危機管理体制がちゃんと築けないんです。
人間相手の医療でも、いくらでも同じようなことがあります。
他の分野でも同じだと思います。
この辺をわきまえる文化が、日本にはまだ育ってないんですよ。
それを一分野の人だけを責めるのもどうかと思います。
今回の初動体制を責める人もいますが、今回の口蹄疫は、初期の症状が口蹄疫とわかりにくかったんです。ここでオーバーな初動を許す社会(あるいは法整備)があればよかったのかもですけど、それは畜産業界だけの問題ではないと思いますよ。
行政だって同じです。
一般人が役所に過大な期待をするから、役人が意固地になって無謬性を追求するから、不便さやねじれたへんなところが出てくるんです。
そういったものも含めての「現実」は、googleの検索結果をひとなめしただけでは判らないんです。
>それを言うための前提となる、「現実」を、どれだけ理解しているか
wikiでは既に、「平成16年に農水省が作成した口蹄疫マニュアル(防疫指針)は「机上の空論だった」として改訂すべきだ」との意見が述べられています。現実は「いまそこにある」状況です。これを理解するのは専門家でなくてもリテラシーがあれば可能だと考えています。そうでないとしたら、アゴラで議論する意味がありませんね。
>最適解を見出す可能性は低いです。自分の専門分野でもなく、生活が脅かされる実感もないまま
経済問題は、政府でもないのに議論しています。防疫問題はなぜ駄目なのですか?私は医療の専門家ではないが、IT関係の専門化であると同時に、企業における諸問題を解決する専門家だと思っています。アゴラにはいろんな業務のプロがコメントを寄せていると理解しています。繰り返しますが、世のかなのほとんどの問題は、情報とリテラシーがあれば理解し、判断する事は可能だと考えています。
>日本のだめなところは、
銀行が統合するプロジェクトで、ディーリングルーム統合のプロマネをやった事があります。銀行というのは私企業の中では実にお役所的なところなんですが、統合にともなうシステム引越しのリスク管理はきちんと認識しており、コンテンジェンシープランも作りました。日本だって、やればできると思いますよ。
>それを一分野の人だけを責めるのもどうかと思います
自治体の初動が遅れたのは、末端での口蹄疫の識別と報告のしくみがきちんと徹底されていなかったからではないでしょうか。(事後的な評価はアンフェアかもしれませんが、知事への報告が遅れた事実は変えようが無い)また、権力には責任が伴います。悪い結果が出た場合、知事や大臣が責められるのは当然です。
>「現実」は、googleの検索結果をひとなめしただけでは判らないんです。
これは逆に、現実逃避の逃げ口上のように感じられます。googleが見せてくれるのは、事実でしかありません。
私からも2つ質問があります。
ap_09さんのブログでやるのは申し訳ないので、ここでしますが、まず
>オリジナル資料で100%と書いているのに、勝手に感受性の%を引き下げて議論するというそもそもの問題
自社広告の宣伝文句をそのまま信じますか?
まともな医者は、製薬会社等が持ってきた資料は割り引いて考えます。
ちなみにコメント#67であなたが提示していた160Pの資料中においては、ワクチン接種後に感染している動物を見つける感度(Sensitivity)は70%くらいと書かれているけど。。。(160P中の92Pにある表)
そうすると、ap_09さんの本文中の
>研究の137例の感染個体で100発100中の検査でも、1000頭の感染例に検査したら750頭でしか陽性にならず、250頭の殺処理すべき感染例を見落として、かえって流行を広げてしまうかもしれません。
と大体一致します。
これをどう評価しますか?
あと、アゴラのコメント#42の
>2)国内でワクチン接種を行う対象地区は、発生場所と地理的に近いか、発生箇所との人や物の交流が大きい、畜産エリアを検討する。
これのエリアをどう設定するかという質問にはどう答えますか?たとえば韓国で起こったとして。
現実認識として、おおざっぱでよいので答えてみてください。
ここからは私の意見ですが、
最初の初動をどうするかを決める決断をする人間を切り捨てるような社会では、危機管理ルールはうまく行かないと思うんです。その基盤は、既存の当事者、専門家(とくに最前線にいる人)をある程度重んじる社会だと思います。
もちろん専門家がその地位に甘んじず、常に矜持をただすことが重要です。それは人間相手の医師にも(もちろん自分自身にも
)言えることです。
「なぜ、そうできなかったのか」を、その人の立場にたって考えることこそが、解決の糸口になると思っております。
>自社広告の宣伝文句をそのまま信じますか?
鵜呑みにする必要は無いが、勝手に割り引いて考える必要もありません。製薬会社の情報に感度100%(とap_09さんが指摘)とあれば、とりあえずそれを前提に議論を進めれば良いと思います。検査個体が3桁、4桁増えた時に、感度が99.9%になるのか70%になるのかは、やってみなければわからない。であれば、それを我々がここで議論する必要がありますか?
>これのエリアをどう設定するかという質問にはどう答えますか?
いろいろな考え方があると思いますが、たとえば下記はひとつの方法かと思います。
国土が狭い日本は、大規模な畜産地域は限られています。そういう地区を予防ワクチンの摂取対象地区にすればよいでしょう。
海外の人と物は、まず国内の空港や港湾などの「継ぎ口」へ来ます。監視対象の「継ぎ口」から保護対象地区への物流の状況は国内問題なので、(日本を含めて各国の)政府が単独で調査できます。
調査方法は、目に見えにくいが無害な細菌、土、化学薬品などのマーカーを選定し、監視対象の「継ぎ口」を通過する人やモノに対して無作為に付着させます。(そういう事が可能になる法令が必要でしょう)その上で、保護対象地区の農家の作業員や家畜の餌、あるいは家畜そのものに、どの「継ぎ口」からのマーカーが到達したかを調査し、それを分析します。
次に、口蹄疫の発生する可能性がある国と国の間の流れを調査します。上記の方法で日本政府が勝手に調査すると、相手政府から怒られますので、相手政府の同意を得て、双方の政府組織が協力して行います。
最後に、お互いの国内調査結果を持ち寄る事により、2国間の畜産地域との関連性が分析が可能になるかと思います。
>国土が狭い日本は、大規模な畜産地域は限られています。そういう地区を予防ワクチンの摂取対象地区にすればよいでしょう。
そうすると、近隣の国でアウトブレイクがおこるたびに、日本の畜産業のかなりの部分でワクチンをうつことになりそうですが。
>調査方法は、目に見えにくいが無害な細菌、土、化学薬品などのマーカーを選定し、監視対象の「継ぎ口」を通過する人やモノに対して無作為に付着させます。
と、簡単におっしゃいますが、こういう試みがもし実際に可能である、あるいは可能に近いのであれば、多分どこかで試みられていると思います。資料を探してみますが、もしよければ、実際の実験結果などを教えてください。
家畜のトレーサビリティが、これに近いかと思いますが、それが機能していたはずなのに、(しかも、それなりにしっかり対策しているはずのオランダでも) UKから持ち込まれた家畜に付着していただけのウイルスから感染が広がってしまいました。なかなか実際にうまくいくかどうかは判りませんね。
>次に、口蹄疫の発生する可能性がある国と国の間の流れを調査します。上記の方法で日本政府が勝手に調査すると、相手政府から怒られますので、相手政府の同意を得て、双方の政府組織が協力して行います。
こうなると、向こうの国の事情も絡んでくるわけです。
だとすると、アゴラのコメント#22
>定義にしがみつく事は、国内畜産業界の都合の問題といえます。
と簡単にいえません。
たしかに周辺諸国からも口蹄疫はたくさん発生していますが、国際的な協力関係をきちんと築けるかはなかなか難しい問題だと思います。
以前からこれに取り組むべきであったといわれればそのとおりだと思います。
しかし、南米諸国連合(メルコスール)内で以前から協力体制があるはずでも、対策の温度差から問題が持ち上がったりしているのを見ると、簡単な道ではなさそうです。
だから、業界とか、今までの行政が、と簡単にその人たちのせいにできないと思うのです。
今回の大騒ぎがあったことが、少しでも良い方向に働けばと思います。動物の病気に限らず、最初の疑い例を発見するための閾値が下がり、その初動において起こってくる不都合さをすこし我慢する冷静さが国民の間に育てば、また違ってくると思っています。
>近隣の国でアウトブレイクがおこるたびに、日本の畜産業のかなりの部分でワクチンをうつことになりそうですが。
これは調査に基づく分析の結果次第という事になります。
>こういう試みがもし実際に可能である、あるいは可能に近いのであれば、
技術的に可能であると想いますが、実績があるとは想いません。(少なくとも表に出てはいないと想います)
>界とか、今までの行政が、と簡単にその人たちのせいにできないと思うのです。
未来の仮定の話しをしているつもりです。
>今回の大騒ぎがあったことが、少しでも良い方向に働けばと思います。
仰る通りです。何の役にも立たないのであれば、たとえ私個人の時間であれ、たくさんの時間を使ってネットで調査する意味がありません。アゴラは政治家や官僚が見ているという期待値にかけています。