ガラケーが日本経済を駄目にしている
日本では最近、自動車が売れなくなったそうです。(参考1、参考2)その理由をいろいろ推測する人がいるようですが、ガラケーが若い人の文化を変えた結果、自動車ローンの原資がケータイの通信費に流れている、と指摘する人もいるようです。若者の自動車離れの理由がガラケーの通信費であるのなら、日本経済にとって困った状況と言わざるを得ません。
自動車1台(200-300万円)がローンで販売された場合に経済成長への波及効果(この言葉自体が胡散臭い響きをもっていますが...)は、ガラケー1台(8万円)よりも(GDPを押し上げる)効果がはるかに高い大きいと推測します。自動車はケータイより、部品点数と種類が1桁以上多いと思われます。製造に関わる下請け業者の数もそれだけ多いでしょう。更に、完成品入手後の消費を見ると、ケータイの場合は月額費用の大部分をキャリア1社が吸い上げるのに対して、自動車の場合は、ローンの金利は銀行へ、ガソリンはスタンドへ、週末にドライブすれば観光地の飲食店へ、と広範囲の消費が期待できます。ガラケーの普及によって、それらが失われているとしたら大変な事です。
さて、ガラケーを(扶養家族である妻や子供を含む)若者へ浸透させた最大の原因は何でしょうか。アゴラで松本氏が繰り返し述べているところによれば、高額で多機能の端末を安価で普及させる事ができた理由は、高額の販売奨励金をキャリアが払う事ができたからだそうです。(参考3、参考4)また、キャリアの販売奨励金を可能にしたのは、SIMロックとキャリア専用端末と専用サービスのバンドルによるユーザーの長期囲い込み戦略のようです。
先の仮定(ガラケーが人々を内向きにし、ガラケーの月額費用が自動車ローンの原資を喰っている)が正しいとすれば、政府はルールの変更等により、消費文化の誘導が必要なのかもしれません。
携帯電話で、消費・時間が吸い取られているといのであれば、それは、ガラケーでも、iPhoneでも同じ。
私は、外に数年すんでいたけれど、いつも、日本へ帰って違和感あったのは、電車のなかで携帯をピコピコやってる人が異様に多いことと、高校生・中学生の異様な携帯電話保持率の高さ。
知り合いのアメリカ人に話しても、親が丸抱えで通信費用を払ってる、とか小学生でも携帯電話もっているのがいるというのを信じられない、と言う人が多かった。
ガラケーが日本全体では大きな損失(海外での惨敗と表裏の関係)になっているという本当の理由は、
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070620/275348/
が、よく書けている。
なお、自動車に関していうと、政府のエコカー助成のせいか、日本でのハイブリッドカーの普及率は、世界でも1、2を争う高さなのではないかと思う。問題は、売れ線のハイブリッドカーを揃えているのが、トヨタ、ホンダだけで、あとは、ない。というところか。あと、軽自動車で、長い歴史を持つ産業にもかかわらず、そして、いま、小型車の時代が到来しつつあるわりには、海外展開できているKカーメーカーは、スズキのインドくらい、というのが、物足らないところか。
ガラケーもiPhoneも消費と時間が吸い取られる点は同じですね。ただiPhoneはApple Storeを通じて多くの大企業でも個人でも、ビジネスチャンスの間口が広いのに対し、ガラケーはキャリア側の要求が厳しいようで、サービス提供できる会社はかなり限られているようです。国内経済への波及効果という意味では、iPhoneはなかなか良いビジネスプラットフォームだと思いませんか。
日本のドラマ見ると、小学生でも持っているようですね。うちの中学の息子を見ていても感じますが、若年者はこういうモノにはまり易く、ケータイを通して、内向きの文化になり易いのかもしれません。
ご紹介頂いた記事は早速読んでみます。有難うございました。
蛇足で恐縮ですが、政府のエコカー助成は減税効果でニーズを「先喰い」しているだけ、と言う人もいるようですね。
ガラケーのダメなところは、今も昔も、外へ持っていけない。
だから、最初からパイの大きさは有限だ。
iPhoneは、コンテンツプロバイダー(ソフトウェア)にとっては、グローバルビジネスへのプラットフォームということで意味があるが、日本の製造業にとっては、寄与分は、小さい。
iPhoneのよくないところは、Appleがなにからなにまで決めていて、商売できるのはAppleの意にそうひとたちだけ、ということ。(それでも、ガラケーのオペレータよりましだと思うが)
Prius,Insightなどは、ガラケーと違って、外で売ることが可能なので、エコカー助成などで、国内で台数を稼げると量産効果は出てくるので、外で売るにも、その効果のいくらかは、効くのではないかと。
heridesbeemerさん、
iPhone普及のおかげで、Xperiaのようなアンドロイド端末にもチャンスが出てきました。PDAの技術力を持つ東芝、シャープは躍進の可能性がありますね。
また、アンドロイド端末の世界は、海外側主導でソフト配布するエコモデルを構築してくれるので、日本のメーカーは得意な高密度実装や品質で勝負できるアドバンテージがあるのではないでしょうか。
残念ながら、あなたは、アウトサイダーなので、そこが、わかってないですね。
確かに、Androidの出現は、スマートフォンの作り方を大幅に変えましたが、だからといって、それが、今のマルドメでゾウガメのような国内ベンダーをヘルプするとは、思えませんね。
(だいいち、シャープも東芝も、既に出遅れている)
というのは、コアな所は、Googleがつくるにせよ、携帯電話というセルラーフォンは、依然として、software intensiveな製品だし、そのソフトウェアが、日本の大企業はダメダメだし、携帯電話の高密度実装での日本の優位性は、とっくの昔に消え去っていると思いますけどね。(あけて、わかるレベルの技術だ。)
品質でいうなら25年ノーエラーのDRAMを作ることにうつつを抜かしていた、日本の半導体産業の壊滅がいい例なんでは。
必要なのは、そこそこの品質でマーケットにニーズにあう商品を、ジャストインタイムで出すこと。
ワールド携帯で、これから、のし上がっていくのは、まったくの新星が、海の外で出てくるでしょう。日本は、赤色矮星みたいなのがつぶれないと、新星は出ないんではないでしょうか。
(理由は、池田信夫の本がよくかけている)